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高丸功の女子プロゴルフを100倍楽しく見る方法

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高丸功の女子プロゴルフを100倍楽しく見る方法

学習院大教授として「ゴルフ」を教える

私がゴルフと出会ったのは1998年、25歳で大学に助手(体育教員)として就職した時でした。教養科目の体育実技種目にゴルフがあり、週一回の授業と夏季休業中の集中授業がありました。当時、学内にある練習場で学生の授業のサポートをしながら練習をし、夏休みに初めてコースデビューをしました。

初ラウンドのスコアは147でしたが、プレーの内容は覚えていません。夢中で走り回っていたのだと思います。中学から大学まで陸上競技部(棒高跳び)で体力には多少自信がありましたが、思い通りにならない道具でボールを打つゴルフには陸上とは異なる魅力があり、急速に惹かれていきました。それ以来、雑誌・書籍・テレビ放送や、当時始まったばかりのインターネットからゴルフに関する情報を積極的に収集するようになりました。

ちなみに、現在は週2時間(2コマ)、計54名の学生に一般教養科目の体育としてゴルフを指導しています。所属コースは上野原CC(山梨県)で、ハンディは5.1。「読むゴルフ」も大切な趣味のひとつで、愛読書は「もっと深く、もっと楽しく。」(中部銀次郎著)や夏坂健氏の著書等です。

女子プロゴルファーに興味をもったきっかけ

当時は不動裕理選手の黄金期でした。その後、アマチュアだった宮里藍選手が「女子高生V」(2003年、ミヤギテレビ杯ダンロップ女子)を遂げてフィーバーを巻き起こします。

教員として、女子学生のゴルフ指導に悩んでいたこともありました。女性の筋力は一般的に、男性の3分の2程度であり、ゴルフクラブを振ることが苦手です。しかし、テレビ画面の向こう側の女子プロゴルファーはいとも簡単にボールを飛ばし、「すごいなー」と驚きました。そこからゴルフ指導のヒントや自分自身の技能向上も含め、参考になるものはないかと食い入るように観戦しはじめました。

その後、石川遼が登場して男子ツアーも盛り上がりますが、男子よりも女子に関心をもったのは、次々と新たな才能を持った選手が現れること、ひたむきにゴルフに取り組む姿、ギャラリーやマスコミに対して真摯に対応していることなどが理由だと思います。

毎週末の中継を見ている中で、新たな興味が次々とわいてきました。勝敗・順位はもちろん選手のスイングに個性があることや、プロフィール、用具・ウエアの契約、キャディー・コーチ、試合運びなど、様々なことを分析して楽しんでいます。現在は土日の地上波放送以外にも、BS・CSの「一番ホール完全中継」なども視聴。チャンネル権は家族にあるため、録画して深夜にひっそりと観ていたりします。

解説者によって語り口は様々

女子ツアーの中継は、各テレビ局が工夫を凝らしています。選手のプレー映像に加えて、テレビ局のアナウンサーによる実況とプロによる解説で構成されています。解説者はベテランプロが多く、ゲスト解説を加えて2名体制や、オンコース・ラウンド解説として注目組に帯同するレポートも多くあります。

それぞれの解説者が、各々の経験や情報をもとに独自の解説を行なっており、試合の行方や選手の心理を推測するのに役立ちます。解説陣の顔触れは平瀬真由美、村口史子、山崎千佳代、中野晶、塩谷育代、森口祐子、小田美岐といったベテラン勢で、最近では古閑美保、茂木宏美、馬場ゆかりも登場します。プレーヤーに近い視点での解説は、自分がプレーする際の参考になります。

「褒める樋口」「辛口の岡本」

何と言っても樋口久子、岡本綾子の両巨頭は特徴的な解説をします。両者とも日本女子プロゴルフ界の先駆者として、また世界のトップとして活躍した経験があるため、コメント内容には奥行きがあるのですが、二人の解説には根本的な違いがあります。「褒める樋口」「辛口の岡本」――。そのように分けられるかもしれません。

樋口プロはLPGAの顧問という立場もあり、組織全体を考えて「母親的」な視点で話すのでしょう。常にポジティブに物事を捉え、各選手の長所を取り上げて褒める解説をします。

一方、岡本プロは「勝負師」として勝敗の機微に精通した解説をしてくれます。渋野日向子が優勝した全英女子オープンの放送は、テレビ朝日の解説が樋口プロと戸張捷氏、CSゴルフネットワークの解説は岡本プロでした。最終日の18番ホール、渋野のバーディーパットは約5m。私は、決めるには微妙な距離だと思いましたが、樋口プロは「渋野さんはこのくらい距離があったほうがいい。強気で打てるから入ると思う」とのコメントをしており、事実、そのようになりました。

一方の岡本プロは最終日の12番ホール、「風はフォロー。池の水面も波が立っていない。木の上の風を予測して」という趣旨のコメントで、ドライバーでのワンオン狙いを支持しています。後日、デイリースポーツに掲載された【綾子の視線】でも「あそこはドライバーを持たなければいけないし、私なら持ちます」とコメントしています。ゲーム全体の「読み」が適格だと思ったのは、16アンダーで15番ホールをプレー中、「あと2つはバーディーが欲しい」と、優勝の18アンダーを予測していたこと。

2位のリゼット・サラスが17アンダー、3位のコ・ジンヨンが16アンダーで終えたことを考えれば、まさにその通りの結末を迎えたわけで、ゲーム全体の流れを読む目は凄いの一語に尽きるでしょう。

さらに岡本プロは、「私なら、カメラに向かって駄菓子食べませんね。優勝しなかったら、駄菓子やめなければいけませんねー」など、遠慮なく先輩競技者としての意見を言っています。しかし、その言葉には愛情や叱咤激励の意味が込められているように感じられます。
 
一躍スターに駆け上がった渋野と黄金世代の活躍で、女子プロゴルフから目が離せません。毎週末のテレビ放送では、各解説者の解説ぶりを分析するのも楽しみのひとつです。個人的には岡本プロの「辛口解説」が好きですが、宮里藍さんの解説も聞いてみたいと思います。

ちなみに、女子ツアー観戦で得た知識は学生のゴルフ指導にも生かせます。代表的な2例を挙げると、①非力な女子(筋力は男性の2/3程度)でも合理的なスイングをするとかなりの飛距離を出すことができる。②合理的なスイングをするためには、下半身を安定させ体幹をしっかり使い、軸をブラさず、脚→体幹→腕→クラブへ力を伝える運動連鎖が的確に行えていること、などがあります。趣味と実益を兼ねて、今後も女子ツアーをウオッチしていきます。


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ライター紹介 ライター一覧

高丸功

高丸功

1972年香川県生まれ。香川県立観音寺第一高等学校卒業。東京学芸大学教育学部卒業。東京学芸大学大学院修了(教育学修士)。青山学院大学助手、青山学院大学非常勤講師を経て、2004年学習院大学専任講師着任。現在、同大学スポーツ・健康科学センター教授。総合基礎科目として講義「スポーツと健康を考える」及び実技「スポーツ健康科学Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」を担当する。担当する実技種目は、ゴルフの他、体力トレーニング、ソフトボール、テニス、スノーボード(集中)である。

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