ツアーサポートの舞台裏「アイアンは打ちたい距離でロフト調整、 バランス軽視の米国流セッティング」

ツアーサポートの舞台裏「アイアンは打ちたい距離でロフト調整、 バランス軽視の米国流セッティング」
今回は池田勇太プロのクラブフィッティングです(2019年8月6日現在 千葉県 ザ・カントリークラブジャパン)。現在クラブ契約フリーの池田プロですが、アイアンはヨネックスと日本シャフトの組合せを使用中で、今回は新モデルのテストとフィッティングを一日かけて行うことになりました。 当日はヨネックスの稲垣氏(開発担当)と日本シャフトの江見氏(ツアーレップ)が中心となって行われました。 まずアイアンですが、長さ、総重量、バランス、ロフト角、ライ角を正確に設定したクラブでフィッティングのスタートです。 アイアンの距離ですが、池田プロが求める飛距離に合わせて調整をします。ロフトが規格通りであれば距離が打ち分けられるとは限りません。打ちたい距離に合わせて距離感を作るわけです。 アイアンは打ちたい距離でロフト調整、 バランス軽視の米国流セッティング 具体的には、ロフト44度の#9アイアンで打ちたい距離が160ヤードだとして、実際44度で165ヤード飛んでしまう場合、ロフト角を44.5度に寝かせて調整。 ロフト40度の#8アイアンで打ちたい距離が170ヤードに対して、実際は167ヤード平均の場合、今度は反対にロフト角を立てて39.5度に調整することで、番手間の飛距離を10ヤードにすることができます。 クラブのロフト角とライ角が合っていれば、アイアンのヤーデージは均等になると考える方もいますが、実際にツアー現場でのフィッティングでは弾道測定器を使用して各番手間の距離をロフト角の調整で揃えています。「ロフト角とライ角が合っていれば」という考え方は危険極まりありません。 近年、弾道測定器の使用が常識となり、このような考え方が特に定着しています。 アイアンは打ちたい距離でロフト調整、 バランス軽視の米国流セッティング 池田プロは4年ほど前から米PGAツアーへの参戦が増えて、米国ツアープロのセッティングやスイングに影響を受け、トレーニングを開始して大幅に飛距離を伸ばしたとのことです。 現在のクラブ調整に対してはその影響が大きく、バランスや総重量、ロフト角、ライ角はともかく、実際の振り心地や球の捉まりを重視して、調整をしています。 球筋の調整やシャフトのしなり方を変化させるために、グリップ内部やグリップ下、ヘッドに貼る調整用鉛も0.1g単位で調整を行い、確実に球筋の変化とシャフトのしなり方、またスピン量、ミート率などを変化させています。 細かな調整が、これほど影響を与えることに少し驚きます。 細かなデータは割愛しますが、池田プロの場合はドライバーなどウッド類のバランスはC6〜C9位に入る数値で、アイアンもC8〜C9程度です。 アイアンは打ちたい距離でロフト調整、 バランス軽視の米国流セッティング 使用しているアイアン(5〜PW)はヘッドがヨネックス『CB501』で、シャフトが日本シャフト『モーダスプロトTX』。4番アイアンはヨネックスプロトタイプでシャフトは『モーダスハイブリットプロト』(スチールコアにカーボン補強)。 このクラブでキャリー 250ヤード!! ウッドは現在複数のメーカーのモデルをテスト中で、シャフトは三菱ケミカルの『ディアマナDF』(TX)を使用しています。 池田プロのアイアンシャフトはいわゆるXXで、本来ならバランスはD3ぐらいはあったほうがいいのでは、と考えてしまいがちですが、実際はC9程度で、テスト中はもう少し硬いシャフトが試したいと希望。このようなバランスを無視したセッティングは海外のプロによく見られますが、池田プロは完全に海外規格のセッティングだと感じました。
この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2019年10月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ用品界についてはこちら