混沌とした時代だからこそ、強いメッセージが人を動かす。
月刊ゴルフ用品界創刊500号を機に、各社トップにインタビュー。ビジネスヒント満載の言葉の数々をお届けします。
今回ご登場いただくのは、株式会社本間ゴルフ 取締役副社長 菱沼信之氏。
日中米の三位一体で描HONMAの未来
カジュアルゴルファーに向けた「XP-1」の狙いとは?
菱沼「創刊500号、本当におめでとうございます」
菱沼さん親子には、二代にわたりお世話になっています。大手外資系メーカーから転職して11月でまもなく2年になりますが、これまでを振り返って下さい。
菱沼「わかりました。まず、個人的な印象を話しますと、大枠でイメージ通りの会社でした。市場における認知度やブランドの強さ、日本的な企業体質もイメージ通りでしたね。独自に行った直近の消費者調査では、本間ゴルフのモデルを7割以上の方が認知しているという結果で、数年前は5割を切っていましたから確実に向上していると思います」
ホンマは香港市場に上場しており、司令塔は上海ですが、事業戦略の進め方は?
菱沼「まずは『日本チーム』、つまり日本の企画担当者が素案を作って開発に伝える一方で、上海の親会社に確認してスタートするという手順です。日本の開発チームは六本木ヒルズの本社と酒田工場にもいて、クラブ企画は2名、開発は酒田工場に30名以上の陣容です」
上海はホールディングカンパニーですね。
菱沼「そうです。なので、劉建国会長以下の上層部に企画、デザイン、パフォーマンスの概要を提案し、確認してもらいます。私が中国に行ったり、会長が来日することもありますが、『XP-1』の素案は私がプレゼンをしたものです」
菱沼さんの職域は?
菱沼「セールスをはじめマーケティングなど国内ビジネス全般に関わっていますが、インターナショナルでは中国、米国、欧州など各国向け製品の調整役を担っています。自分の役割は、ホンマの良い部分は残しながらも新しさを入れることですね。それを通じてホンマの新しいミッションを作ること」
で、具体的な役割は?
菱沼「ホンマファンはこだわりが強くてゴルフ熱が高い。だからプロ戦略や製品ラインアップを増やすことで新たなファンも獲得してきました。それが『ツアーワールド』が成長した最大の要因なので、確実に継承していきます」
新発売の『XP-1』は『ビジール』を休眠させて『TW』の傘下に入れましたね。
菱沼「はい。国内よりも一足早く北米で『XP-1』を上市しましたが、今後グローバルで成長するにはどうするか? 従来路線を継承しつつ、さらにワクワクさせるには何をやるべきか? その点を課題にして東奔西走しています」
「日本の文化」を発信する
2016年1月発売の『ビジール』は「打倒ゼクシオ」を掲げましたが、高価格帯には『ベレス』がいるため簡素化する必要に迫られていた。
菱沼「そこで『XP-1』をHS40以下、スコア90~100のカジュアルゴルファー向けに新設したわけです」
新商品はプロ・上級者志向の『TW』でもなく、『ゼクシオ』対抗の『ビジール』でもない。どんなイメージですか。
菱沼「そうですねえ、カジュアルゴルファーが朝イチのショットで『芯を喰うイメージ』を訴求するモデルです。それが『XP-1』なので、発表会でのプレゼンはスーツにネクタイではなく、ワイシャツの腕まくりでカジュアル感を演出しました」
それで、プレゼンの途中でステージを降りて、試打席でパッと1発打った。
菱沼「いきなり打って結果はスイートスポットの4mm下でしたけど、まあまあの当たりでした(笑)。一連の動作がカジュアルに見えたら成功ですね」
昨期の業績内容は?
菱沼「全体の売上は270億円弱で、そのうち国内売上が半分を占めます。日本市場単体では5%増の伸長でした」
販売構成比は?
菱沼「クラブが8割と最大で、ボール1割、アクセサリーとアパレルが1割です」
全体的に底上げしたけど、クラブ比率は以前の9割から下がっています。要因は?
菱沼「ボールの伸長が大きいですね。本格的参入をして3年目ですが、1ダース2000円の市場で大きな成果を上げています。『HONMA-D1』シリーズがそれで、GfKの調査では、今上半期、最も売れたボール(数量ベース)となっており、その勢いは7~9月も継続中です」
あまり宣伝してないのに。
菱沼「確かにそうですが、以前の欠品状況を改善したことと、カラーボールの追加も一因でしょう。一番は価格だと思います」
今後の戦略はどうでしょう。
菱沼「我々は香港上場のパブリックカンパニーですから短期的な結果を求められます。ただ、大手と大きく違うのは、プロセスのコミュニケーションが緻密なんですね。その上で、ゴルファーに何を与えられるのか。性能面以外の啓蒙活動も大事だし、独自の『丁寧さ』と『環境』も整っている。海外市場は中国をはじめ、北米・欧州市場への体制づくりも形になりつつある」
その上で、日本の文化的要素を伝えていくと。
菱沼「まさに、です。日本の良さ、文化の良さ、人の良さですね。その素晴らしさを世界へ発信し、『日本人の力』を発揮すれば少子高齢化も乗り切れますよ。ゴルフは自己研鑽のスポーツです。失敗も成功もあるし、人生の縮図です。そういう部分をもっと表現していきたいですね」
本間ゴルフのこれまで
- 昭和33年1月
横浜市鶴見区でゴルフ練習場を開業
昭和34年2月
同地に当社の前身、有限会社鶴見ゴルフセンターを設立し、会社組織に移行
昭和38年1月
同敷地内に有限会社本間ゴルフクラブ製作所を設立し、ゴルフクラブの製造に着手
昭和47年1月
有限会社鶴見ゴルフセンターを有限会社ホンマに商号変更
昭和48年2月
業界のトップを切ってブラック(カーボン)シャフトクラブを発売
昭和51年4月
自社ブランドゴルフウエアおよびゴルフ関連用品販売開始
昭和53年5月
有限会社本間ゴルフクラブ製作所にてブラック(カーボン)シャフトの自社製造を開始
昭和53年10月
有限会社ホンマを改組し、当社(設立時商号 株式会社ホンマ)を設立
昭和56年12月
株式会社本間ゴルフクラブ製作所酒田工場完成。以降、* 昭和60年3月まで第2期~4期工事を連続実施
平成2年4月
株式会社ホンマを現在名の株式会社本間ゴルフに商号変更
平成3年9月
チタンカーボンシャフトを米国にて特許取得
平成4年4月
本店を東京都世田谷区に移転(本社ビル完成)
平成7年8月
当社株式を日本証券業協会の店頭売買有価証券として登録
平成8年
シンガポール、香港、台湾、マレーシア、タイで海外現地法人を開業
平成10年4月
本間パブリック和歌山コースを開場
平成16年12月
日本証券業協会への店頭登録を取消し、ジャスダック証券取引所に株式を上場
平成17年6月
20日付で、東京地方裁判所へ民事再生手続開始の申立を行う。27日付で、東京地方裁判所から民事再生手続開始決定を受ける
平成17年7月
当社株式の株式会社 ジャスダック証券取引所からの上場廃止
平成17年11月
株式会社日本テクノに、本間パブリック和歌山コースに係る固定資産の売却および事業を譲渡
平成18年7月
東京地方裁判所から民事再生手続の終結決定を受ける
平成19年3月
本店を東京都港区に移転
平成22年2月
マーライオン・ホールディングスがアント・キャピタル・パートナーズから本間ゴルフの過半数の株式を譲り受け、劉建国が会長に就任
平成24年7月
本店を東京都港区に移転
平成28年10月
香港市場へ株式上場
株式会社本間ゴルフ
TEL:0120-941-380(平日9:30~17:00)
https://www.honmagolf.com/jp
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