大型台風頻発でゴルフ練習場に求められる近隣住民とのコミュニケーション

大型台風頻発でゴルフ練習場に求められる近隣住民とのコミュニケーション
15号よりずっと大きく、勢力も強かった台風19号が関東以北に甚大な被害をもたらした。横浜市栄区にある練習場・第百ゴルフクラブは、台風上陸準備のため「10/11(金)13時に完全クローズ、10/12(土)は終日クローズ」のお知らせを10月9日に告知した。 安全安心準備のため、ギリギリまでの営業はしない。15号で鉄塔が倒れ、近隣の住宅を直撃した映像が日々テレビで流れる中、支配人の私は早めのクローズに迷いはなかった。 10月11日の午前中に業者が入り、2階打席の屋根テントの一部をたたみ、2階打席背面手すり幕を全てまくり上げ、予報があった南西の強風の抜けを良くするために、初めてここまでの思い切った事前対処をした。 防球縦ネットは13時に下ろし始めた。明るい時間に行うことで、近隣住民の不安を解消したかったからだ。場内では打席の備品やマット、ゴミ箱など全て屋内に移動。椅子テーブルは紐で手すりに括り付け、ボール貸出機や配電盤にも養生シートを巻き付ける。一連の対処は顧客から、お褒めの言葉を頂いた。 国交省からの指示で、ネットを下ろすことへの確認電話が入った。全国のゴルフ練習場に確認の電話を入れているそうだが初めてのこと。前日の確認電話に対して「下せません」と答える施設があったら、どう対応したのだろう。そんなことが頭をよぎった。

近隣とのコミュニケーションが大事

この2~3日前には近隣へお伺い。台風上陸前に不安なことの確認などコミュニケーションを取りに出向いたのだ。近隣の方へは季節のご挨拶を年2回。その他に周辺見回り、箒塵取り片手にご挨拶しながら「ご迷惑お伺い」を日頃からしている。 運営にご理解をいただくためにも、近隣住民とのコミュニケーションは常日頃から支配人として欠かせない仕事である。遊水池管理も心配されるため、とても気を遣う。 台風通過後、少しでも早くオープンすることが求められる。お客様も売上も双方大事。でも、復旧作業をするスタッフのモチベーションを保つこともとても大事だ。全130打席、その通路の広さの水拭き、壁を拭いたりマットや小物、打席仕切り幕のセッティング、そして当練習場の場合、遊水池に流入する土砂とゴミ、枯葉、枝木の片付けが大仕事なのだ。 水の勢いでフィールドシートがめくれ上がり、水を含むそれはとても重い。女性スタッフ10人が声を掛け合って元の位置に戻す。支配人の誘導、ここぞとばかりの指示でフィールドの雑草を一斉にむしりながら戻る。 そして、何と言っても集球ピットと集球溝に残る土砂撤去掃除にどれだけの体力と気力が必要か。作業の中、台風一過の猛暑が戻るその日に「明日オープンじゃなくても構わない」とスタッフへ声掛け。勇気のいる一言だったが発して良かった。スタッフの顔色が一気に変わった。気張っていた肩がストンと落ちた感じ。少し笑顔で会話もでき、結果、翌日無事オープンを迎えることができた。 「世界が変わる、これまでに経験したことがない災害」という気象庁からのメッセージが頭から離れない。 甚大な被害をもたらした大型台風。全国の被災された方々へ、心よりお見舞い申し上げます。