朝日ゴルフ内本社長インタビュー:距離計市場は我々が風を吹かせます!

朝日ゴルフ内本社長インタビュー:距離計市場は我々が風を吹かせます!
混沌とした時代だからこそ、強いメッセージが人を動かす。 月刊ゴルフ用品界創刊500号を機に、各社トップにインタビュー。ビジネスヒント満載の言葉の数々をお届けします。 今回ご登場いただくのは、朝日ゴルフ株式会社 代表取締役社長 内本浩史氏。

距離計市場は我々が風を吹かせます!

「創刊500号、おめでとうございます。うちの『バズゴルフ』も間もなく100号です(笑)」   御社は昨年、創業60周年を迎えて社名の「朝日ゴルフ用品」から「用品」の2文字を外しました。三代目社長の内本さんも覚悟を擁したと思いますが。 「はい。初期の成長はマグレガー、ウイルソン、スポルディングの国内代理店として、各ブランドのPBで地歩を築きました。マグレガーの『MGX』が代表的ですが、今やすべて消えました。転機は神戸(須磨区)に物流センター(延床3030坪)を立ち上げて物流業へ脱皮したこと。1998年です。これで会社が凄く変わりましたが、社名から『用品』の2文字を外したのは、さらなる挑戦を意図してのことです」   当時は総合スーパーがゴルフ用品に意欲的だった。 「それで年商100億を目指そうと物流センターを立ち上げましたが、その頃から目に見えて市況が悪化したのです。赤字にならず踏ん張りましたが、売上の最盛期は1995年の75憶で、底は東日本大震災の2011年で34憶、半減以下です。その3年前のリーマンショックも谷でしたが、世の中があれだけ疲弊すると仕方ない面もありますよね。内部留保を崩さず、リストラもやらず、従業員100名規模で頑張りました」   問屋業は外部要因の影響を受けやすい。自社商品の割合を高めたいでしょう? 「その努力は必要で、10年前は卸業が8割でしたが、今は自社商品と半々程度になっています。卸業は外資系大手の商品が中心ですが、国内メーカーとも取引を開始していて、自社商品は距離計測器の健闘が大きいです」   自社商品の展開は? 「自社商品で肝になるのがGPS距離計の『イーグルビジョン』で、クラブの『メタルファクトリー』も成功させた。あとは海外ブランドの『クロノス』やキャディバッグ『ベゼル』もあります。ほかに練習器具やヘルスケア商品と幅広いですね」   特に距離計はルール改定で追い風が吹いている。 「はい。1号機は『イーグルビュー』で2009年のデビューです。まだ世に無い商品でしたが、僕の考える方向に合致した商品だと直感したんです。それで専門の技術者を招集し、チームを整え事業をスタートしたのが2008年。その翌年に『イーグルビュー』の発売と僕の社長就任が重なったので、この商品とは縁を感じますねぇ」

距離計出荷量1.7倍

距離計の市場規模は拡大中。昨年、GPS距離計の国内市場規模は50億円で、2016年比4割強の増加というデータもありますが。 「そうですねぇ。当社の場合、液晶画面表示のスタンダードタイプをはじめ、腕時計や音声式など計6種類の『イーグルビジョン』がありますが、1~7月期の出荷数量は前年同期比1.7倍と好調です。なかでも主力のウォッチタイプは2倍の伸長で、今年5月に発売した『ACE』は欠品が続いてます」   それは凄い。で、距離計はゴルフの何を変えるのか? 「ゴルフの面白さが変わります! 変えられる要素がいっぱい詰まっているプロダクトですよ。距離が分かるから上達するというだけでなく、ITを利用して派生的な価値を生み出せる。例えばウチの社内コンペでドラコンをしますが、従来は飛ばし屋が一人取るだけです。ところが組ごとの合計距離を競うチームドラコンにすれば、全員が盛り上がるじゃないですか」   会話も盛り上がる。 「ですから僕が言いたいのは、GPS距離計はゴルフの新しい楽しみ方を生み出せるんだと。売場の会話で『残り距離が正確に出てもそのとおりに打つ技術がない』という声も聞かれますが、そういった限定的なモノじゃないんですね」   下手だからいらないじゃなくて、これを使った楽しみ方を含めて啓蒙する必要がある。 「そう。だから勉強会が大事なんで、当社ではマーケティングセールスと呼んでいて『イーグルビジョン』の専従に営業部隊が紐づきます。特に大事なのがショップの『腹落ち』で、ストンと落ちると第1ハードルがクリアされる。まずは店員さんに理解してもらうことが凄く大事で、その流れで来店客に説明する循環ができると分母が広がる。 同時にゴルフ場でのレンタルですね。月例競技の上位者で使用が広がれば、シャワー効果が期待できるし、トーナメントのプロキャディと契約して、販促を開始しています」   需要創造はメーカーの役割で、問屋にはない機能ですが、御社がこれをやるのは初めて? 「だと思います。店舗ごとの勉強会やセルフ販売を促す店頭ツールにも注力して、顧客の問い合わせにはサポートセンターで8名が対応します。距離計市場は我々が風を吹かせます!」   内本社長は飛ばし屋ですが、飛距離は落ちませんか? 「今年で55歳なので、年齢的にそろそろかな(苦笑)。でも、飛距離が落ちてもゴルフの〝楽しさ〟を追及していけばいいんですよ。国内クラブ市場の閉塞感は、飛距離を重視しすぎるところにもあるんじゃないでしょうか。まあ、ルールが変われば市場も変わる。JGGAが独自の用具ルールを策定すれば突破口も開けるはず。アレックス新会長ならやってくれるかな」

朝日ゴルフのこれまで

朝日ゴルフ株式会社 TEL:078-793-8400 https://www.asahigolf.co.jp/ [surfing_other_article id=51310]