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新しい可能性を感じる新競技ゴルフトライアスロン

ニュース 松尾俊介
新しい可能性を感じる新競技ゴルフトライアスロン

2019年10月14日、津カントリー倶楽部(三重県津市)で日本発の記念すべき新競技「ゴルフトライアスロン」を開催できたのは、昨年のトライアルレースから始まって、掲げた3つの目的に賛同してくれた仲間が開催に向けて渾身の力を発揮してくれたことと、資金的、物質的にも支援を申し出ていただいたスポンサー企業があったからです。

ゴルフトライアスロンはラン、バイク、ゴルフの3種目を一日で行うもので、全国25都道府県から募集人員の150名を超える申し込みがあり、キャンセル待ちが36名にもなりました。正直この数字は我々の予想をはるかに上回るものでした。

運営会社に企画を持ち込んだ当初「新しい競技でしかもハードな内容で、開催場所も三重ですよね。最初は30人ぐらいがせいぜいだと思います。最初から期待しない方がリスクもなく、ステップを踏んで1大会100名を超えるものにして行く方が得策です」と、ある意味やんわりと断られたものでした。

潜在的なゴルフトライアスラー

潜在的なゴルフトライアスラー

しかし、どのような人が申し込みをするのかという見えない部分の不安はありましたが、ゴルフトライアスロンという競技を上手に説明でき、多くの人がこの新競技を知ることができれば100名を超える参加者を集めることはできると思っていました。それは実際、自分や息子がやってみて単純に面白い、と思ったからです。

1日で3つの競技をやりきることは未知のもので、その達成感は単純に3倍ではなくプラスαがあったからです。

クライマーがより高い山や未踏峰の山に登るように、マラソン経験者がウルトラマラソンに挑戦したり、世界中で開催される過酷なグレートレースに参加する意欲はどこから湧いてくるのかを考えれば、スポーツとしてのゴルフをきわめつつ、その中での体力、気力、持久力を目的にハードな種目があってもそのようなものに参加したいと思う人はいるという確信があったからです。

それを数字で見ればゴルフ人口が800万人とした場合、競技ゴルファーが5%で40万人、このうちの1%でも4000人になります。一方、トライアスロンを競技として選手登録している人は37万人を超え、平均年齢が42.7歳で競技に使用する費用も年間平均で47万円とゴルフに近いもので、この内10%の人がゴルフもやる人であれば3万7000人が潜在的なプレイヤーとしてみることができたからです。

しかもゴルフ場は考えてみれば緑の広大なフィールドです。そのようなところで自転車に乗ったり、ランニングをしたりしたことのある人はゼロに近いのです。ランニングや自転車の練習で信号待ちを余儀なくされたり、車との併走に恐怖感を感じながら走ることは相当のストレスがあります。

自転車の愛好家にゴルフ場を試走してもらった時、彼らは皆「こんな素晴らしい場所があるなんて、めちゃくちゃ楽しい」と歓喜の声を上げながら走っていたのです。ゴルフ関係者もゴルフ場を自転車が走る光景は未知の体験でした。

ゴルフ場でランニングをすることは一部の実業団や大学の長距離選手が利用することは聞いていましたが、実際に一般のランナーが走ることもない光景です。

ゴルフ場のカート道は18ホールを回ると9kmくらいになります。自転車も36ホールや平坦であれば54ホールを走ることが競技としても面白く、魅力あるものになると見ていました。あとは、ゴルフを担ぎでプレイしてもらえるかどうかでした。

トライアスロンをやっている人から見ればカートに乗るゴルフではなく、手引きカートで自らバッグを引いたり担いだりする方がゴルフ本来の楽しさを理解してもらえると判断しました。

少し長くなりましたが、結論から言えばゴルフトライアスロンの潜在的プレイヤーは相当数いると言うことです。

今年ラクビーのW杯が日本で開催され、日本チームの活躍もあり、にわかフアンがものすごい数を占めたことは記憶に新しいところでもあります。普及活動をして競技人口を増やすには、そのやり方が参考になります。

潜在的には競技ゴルファーの10%、トライアスロン競技者の10%、マラソン完走者の10%、自転車レースの参加者の10%、これらを合計すると13.5万人にもなります。少し競技の内容に変化を持たせ参加のハードルを低くすればかなりの人がゴルフトライアスロンの愛好家になってくれる可能性は高いものと思われます。

ゴルフ場が普及最大のハードル

ゴルフ場が普及最大のハードル

ゴルフトライアスロンの発展を考える中でもう一つの課題は、開催可能なゴルフ場がどれだけ日本に存在するかです。津カントリー倶楽部のように全面的に協力してくれるゴルフ場を開拓する必要があります。

現在日本では約2200のゴルフ場がありますが、そのうちの80%以上がメンバーシップ制をとっており、メンバー主体の運営方針からゴルフ以外にゴルフ場を使用することがメンバーの了解を得る必要があり難しい面があります。

しかし、ゴルフ場の経営という面から見れば、一部のゴルフ場を除きその経営は厳しい環境にあります。持続して経営を行うにはゴルフ以外の新たな収益が見込める施策がゴルフ場に今必要なのです。

例えば、最終組がホールアウトしたあと、ゴルフ場でクロスカントリーのレースを開催した場合、500名を集めた大会を開き、参加費を2000円とすると100万円にもなります。2時間もあればレースは開催できます。そのあとレストランを利用していただき、一人1000の利用があれば50万円の売り上げになります。月に1回開催しても、大きな収益源になります。

ゴルフトライアスロンはその点でもゴルフ場の新たなビジネスモデルを構築する良い機会と捉えていただけると普及の可能性は大きく広がります。

最初は自治体が所有しているコースや第三セクターに経営を委ねているところが、①施設の有効利用、②健康に投資をする、このような観点で名乗りを上げていただきたいのです。開催することで得られた結果を検証して、収益にどのくらい効果があったのか、地域の参加者の健康状態や健康保険を使用した結果など、自治体として率先して統計を取ってみることはゴルフ業界にとっても知りたい情報です。

世界での普及

最後に、このゴルフトライアスロンという競技は日本発の競技ですが、競技の特性からしても世界で普及する可能性は高い、むしろ日本よりも早く普及する可能性が高いとみます。それはゴルフの環境が日本と比べると圧倒的に良いからです。

パブリックコースが多い米国のコースであれば開催の条件は低く、競技を上手くPRし、最初に開催する時にメディアとの連携やSNSを使った発信をすれば、より多くの人たちにこの競技の面白さを訴えることができれば、米国での普及は進むと見ています。

州単位で毎年1回行うだけで50回も開催でき、各上位入賞者を集めて全米選手権を開催することができます。

すべての競技人口が多い米国であれば、その潜在的なプレイヤーは日本の10倍くらいはあるのではないでしょうか。自転車とランニングが進んでいるヨーロッパも可能性はあります。

プロゴルファーこそ潜在競技者の最先端

プロゴルファーこそ潜在競技者の最先端

ゴルフトライアスロンの普及はスーパーアスリートゴルファーの出現となり、プロゴルフ界もさらにレベルが上がると考えます。そのような観点から見ると、この競技は日本のプロゴルファーにも是非参加してもらいたいと切に思っています。ゴルフをスポーツとして、しかも職業にしているのであればアスリートでなければダメだと思うからです。日本の男子プロはその点真のアスリートがどれだけいるでしょうか?

日本のゴルフはプロもアマも女性が非常に活躍しています。 特に20歳前後が多いのはなぜでしょうか? 彼女達にとってプロスポーツとして最も脚光を浴び収入も多いのがゴルフだからです。スポーツとしての資質の高い子供達がゴルフに入ってくるからです。

男子の場合は野球、サッカーなどプロスポーツが盛んなところに資質の高い子供達の多くが流れてしまうため、世界で活躍できる選手を輩出するのが難しいのです。

プロゴルファーが体力の維持や向上を目的にトレーニングの一環としてランニングやバイクを本格的に取り入れ、ゴルフトライアスロンでも常に上位にプロゴルファーが占めることになれば、日本人でワールドランキングの50位以内にいる人は10人くらい輩出できるのではないかと思います。

ゴルフトライアスロンの可能性は最初に掲げた3つの目的を遵守することで、そのメリットを感じる強力なスポンサーが出現して、ともに成長できれば日本のゴルフは俄然面白くなるし、それが私の究極のゴールなのです。

日本のゴルフ界の今を嘆いていても何も変わりません。新たな動きを起こし、うねりを引き出すことが日本のゴルフ界に必要なことなのです。ゴルフトライアスロンはその一つの施策ですが、期待できるものです。変えていきましょう、日本のゴルフを!


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ライター紹介 ライター一覧

松尾俊介

松尾俊介

1949年12月23日生れ  神奈川県出身
東海大学工学部航空宇宙学科卒、在学中は体育会ゴルフ部副将および関東学生ゴルフ連盟の連盟委員を兼務。パイロット志望から一転してゴルフ用品販売業務に携わる。ゴルフ工房を主宰しながら1988年からフリーランスゴルフライターとしても活動。国内外合わせて25のゴルフクラブメーカを取材し、記事として各誌に掲載する。「良いゴルフクラブとは何か」をテーマに取材活動を続ける。1989年米国キャロウェイゴルフの取材と掲載記事をきっかけに親交を深める。

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