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  • ゴルフ練習場のイメージを暴落させた「市原ゴルフガーデン」

    小川朗
    山梨県甲府市生まれ。甲府一高→日大芸術卒。82年東スポ入社。「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女のメジャー大会など通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。フリージャー...
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    ゴルフ練習場がいくつもの住宅を押しつぶしている光景を、一度は見たことがあるはずだ。今や日本一有名なゴルフ練習場となったのが千葉県の「市原ゴルフガーデン」。 台風15号が直撃した9月9日、強風によりネットを支えていた鉄柱が倒壊。19号が去った10月15日から撤去工事が始まった。ゴルフ練習場のイメージを大暴落させた原因は何なのか。現場を照らす。

    被害者たちの怒り

    鉄塔が倒壊したのは、電話で話した直後だった。 妻と娘2人を自宅に残し、夜勤中だった坂本高志さんは、自宅近くに土砂災警情報が出たことを知って電話をかけた。未明ながら心配して「2階大丈夫?」と電話すると、妻が出た。 「2階の部屋を順にチェックして、次女が寝ている部屋を見ようとした時、鉄柱が倒れてきたそうです」。 鉄柱は天井を突き破り、寝ていた次女の上半身の左から右にかけて斜めに倒れてきた。 「少しでもズレていたら、即死だったと思います。家内の方にも倒れてきたら、同じことになっていたと思います。診断は肺挫傷。救急車で搬送されましたが救助に時間がかかったため、低体温症にもなった。心の傷も深いです。『鉄塔を見るのもイヤ』と言ってますし。ゴルフ場側からの謝罪ですか?私の所には一度もありませんね。天災だから(自分の責任ではない)と思っているんじゃないですか?」。 次女が被害者の中で、最も大きなけがを負った。工事の始まった様子を見ながら「(台風19号によって)被害は確実に拡大していますよ。オーナーと代理人に対する怒りはある、と言った方がいいんでしょうね。それでも私、様子を見たいと思っているんです」と施設側の誠意ある対応にわずかながら期待をつないでいた。 台風の直撃が9月の9日。その3日後に現場を見ていた経営者に偶然会った被害者の一人、松山高宏氏は「この度は大変申し訳ありませんでした」と、個人的に口頭で直接謝罪されたという。 「私はゴルフの練習にも行っていたので、オーナーとは顔見知りでしたから。そこで『何か私たちに話がないんですか?』と声を掛けたので、12日の午後4時から最初の謝罪会見が開かれたのです」。 この席には20年以上前に、このゴルフ場を改修した工務店関係者も同席していたという。この時、7打席増設するために、打席側から見て左側の鉄柱を移設したため、今回は倒壊せずに済んでいる。 しかし右側の鉄柱は約50年前に建てられたものであるため、老朽化が進行。土台と鉄柱が地面と同じ高さでポッキリと折れ、鉄柱とネットごと住宅地に倒れ込んでいる。断面を見てみると、ボルトが腐食していたことも分かる。 坂本さん宅を始め多くの住宅の屋根に、鉄柱がめり込む形で大きく壊れている。屋根からは雨水が侵入し、部屋や家財を濡らしカビが繁殖。その後の対応が遅れたことで、被害は拡大し続けた。 こうした練習場サイドの対応の悪さは、そのまま住民の不満につながった。練習場は悪者になり、その実態が取材に駆け付けた報道陣を通して発信され続けた。 放置された現場の姿は上空からも映され、台風15号の威力を表す最も象徴的な映像として報じられた。

    JGRAの緊急対応

    この事態に危機感を募らせたのが、全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)。全国約3600か所の練習場に向け、施設機器の点検を呼び掛ける文書を会報とともに送った。 同時に災害対策マニュアルの存在も強くアピール。アウトドアの練習場だけでなく、インドアの練習場、さらにはゴルフ関連団体にも送った。 「インドアのゴルフスタジオなどで働いているプロゴルファーは、アウトドアの練習場でも教えているケースが多い。そのため情報を共有して、危機管理に役立てていただきたい」(同連盟の関係者)。 ゴルフ練習場の安全性の確認は必要だが、台風19号により設備が壊れたケースは横浜でもあった。12日の夜、ネットを支えていた鉄柱が倒壊。やはりネットは降ろすことができない固定式だった。だが市原の場合とは違い、いずれも敷地内に倒れたため周辺の住宅への影響はなかった。 経営者は「台風の2日前に消防署も立ち合いの上で点検したが、結果的に鉄柱が倒れてしまった。近隣の4軒には音や振動で人々に怖い思いをさせたので、お見舞いを兼ねて謝りに行きました」と恐縮しきり。 さらにこう続ける。「ウチは1971年の開業ですが、当時はネットも固定式が当たり前。許認可も受けた上でオープンしています。5~6年おきにペンキを塗り替えたり、腐食を防ぐメンテナンスも行ってきたのですが」と予想外の結果に戸惑いを隠せなかった。 JGRAの横山雅也会長も、自然災害の恐さをこう指摘している。 「地球の温暖化に伴う台風の巨大化で、当初の見込みよりも風が強く吹くようになりました。台風の進路も、私たちが子供の頃は九州にしか来ないものだと思っていました。でも今は本土に来るようになっています。ゴルフ練習場というものが安心安全なものでないと思われてしまっては大変。想定外の風に対する対応と、万が一起きてしまった場合に保険などで対処できるよう、各施設にしっかりとした備えをしていただくために(注意喚起の文書と危機管理マニュアルを)お送りしました。お昼のニュースワイドでも取り上げていただいてますし、経産省や国交省などとも連携し、業界を挙げて危機感を持って取り組んでいきたい」。 渦中の市原ゴルフガーデンでは15日、無償で電柱撤去を申し出ていた㈱フジムラによる準備作業が開始された。 この日、取材に訪れた報道陣はテレビ局が3社と、本誌の取材チームのみ。10日に地元の公民館で行われた説明会に30人以上の報道陣が詰めかけていたことを考えると、注目度はかなり下火になった感がある。 それは12日に上陸した台風19号の被害が全貌を把握できないほどに広く、甚大だったからでもある。それとは別に補償の問題も含め、市原ゴルフガーデンの問題は今後もまだまだ続くだろう。 経営者側が被害住民と同じ思いを共有し、よりそいながら問題解決に向かわない限り、事態は好転しない。

    小川朗の目

    取材を続けるうちに、関係者からは市原の鉄柱倒壊に関し、共通する疑問を投げられた。 「通常鉄柱は内側に倒れるように、外側に踏ん張る形で建てられる。住宅側に倒れることはあり得ない」 15日、現場に行って折れている部分を見た。コンクリートの中にあるボルトが腐食して折れており、断面が露出していた。すでにJGRAは現地で原因を調査しており、鉄塔の老朽化と固定式ネットが問題であることを配布した文書で指摘している。 上記にもあるように20年以上前、この練習場は7打席を増設するため、打席から見て左側のスペースを拡張。鉄塔も新しく建てた。 当時を知る関係者によれば「こんなに深く掘るんだ」と驚いたほどだったという。実際、今回の強風でも無事だった。 この時に右側の鉄柱を点検し補強していれば、少なくとも今回の様な住宅側に倒れるような事態にはならなかったはずだ。市原ばかりが注目されているが、実は2014年にも、同じ千葉県内の鎌ケ谷市内で台風による鉄柱倒壊事故が起きていた。他山の石とするチャンスは、あった。そこが何とも、悔やまれる。
    この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2019年11月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ用品界についてはこちら
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