ツアーサポートの舞台裏「ユーティリティやパターでの コンポジットシャフトの必然性」

ツアーサポートの舞台裏「ユーティリティやパターでの コンポジットシャフトの必然性」
慣性モーメントの大型化したクラブヘッドに対応するため、シャフトに大きな変化が起きています。 その中で今回は、スチールシャフト、カーボンシャフトの中でもユーティリティ、アイアン、パターのシャフトの新たな変化について報告します。 まず初めにスチールシャフトにカーボンをコンポジットしたタイプで、それぞれのクラブに対応する形で登場しました。 日本シャフト ツアー担当・石橋氏 日本シャフトのツアー担当・石橋氏は、 「当社で提案するのはUT用のシャフトです。従来のUT用スチールシャフトの難点はうまく硬さが出せないことでした。一方、カーボンシャフトでは硬さは出せるもの、クラブの入射角が上から入りすぎた場合に縦距離が合わないなど、長所と短所が見えていました。現在のUTは単なるお助けクラブの域を超え、グリーンを点で狙える精度が求められており、必然的にカーボンのメリットとスチールのメリットを生かしたコンポジットシャフトの必要性が出てきました」 パターシャフトでは全世界でツアープロのシェアが高いオデッセイのストロークラボ用のシャフトがあります。このシャフトはパターの慣性モーメントを高めるべく、ヘッド、シャフト、グリップを含め総合的に開発された商品です。 [caption id="attachment_59974" align="aligncenter" width="788"]オデッセイのストロークラボ用シャフト オデッセイ ストロークラボ用シャフト[/caption] シャフトの軽量化だけではなく慣性モーメントのコントロールに寄与し、打感も損なわない仕様です。 キャロウェイゴルフ・オデッセイパター担当の本杉氏は、「スチールシャフトより硬い、スチールとカーボンのコンポジットシャフトですが、選手の感想は打感が柔らかいという表現が多くなっています。これはカーボン素材の振動減衰性による効果で、撓り感まで感じているようですが、実際には硬いシャフトの効果でボールの転がりもスムーズになります」 ヨネックスではパター専用のシャフトでスチールとカーボンのコンポジットシャフト「スチールコア」を提案。 [caption id="attachment_59975" align="aligncenter" width="788"]ヨネックス スチールコアシャフト ヨネックス スチールコアシャフト[/caption] ヨネックス・ゴルフ事業部の大益氏によれば、 「スチールとカーボンのコンポジットシャフトは、スチールシャフトより硬く、トルクが高くストロークが安定し、距離と方向性のバラつきが軽減されます。シャフトのハジキ感が優れ、ボールの転がりが滑かになり、カップに届かないケースが少なくなるようです」 最後に三菱ケミカルでは、異なる性質のカーボンを複合成型して打感の向上と球の転がりのスムーズさを追求した商品を展開中。 [caption id="attachment_59976" align="aligncenter" width="788"]三菱ケミカル ディアマナパターシャフト 三菱ケミカル ディアマナパターシャフト[/caption] カーボン素材のメリットを最大限生かして重量をスチールより重くする方向で展開している三菱ケミカル・ツアー担当の伊藤氏によれば、 「選手の使用感でも新垣選手が柔らかい打感とスイング中のしなり感を評価していましたが、実際にはスチールより硬いカーボンでも振動減衰性により、このような評価が多くなるようです。従来のスチールシャフトに比べても球の転がりがよくなります」 パターシャフト ゴルフクラブ製造に必要な素材・製法の進化により、クラブヘッドはより大きな慣性モーメントを求めて開発され、そのヘッドをコントロールするシャフトにも大きな変化が起きているように感じます。 シャフト重量にあまり制限のない、パターとUT用のシャフトに大きなメリットを生かせるタイプのものが増えていますが、今後は価格が求めやすくなれば、アイアン用のシャフトの可能性を感じます。