【インタビュー】ベントレーゴルフはラグジュアリー&パフォーマンス 単なる自動車ブランドじゃない

【インタビュー】ベントレーゴルフはラグジュアリー&パフォーマンス 単なる自動車ブランドじゃない
混沌とした時代だからこそ、強いメッセージが人を動かす。 令和元年の最後を締めくくるトップインタビュー。 ビジネスチャンスが伺える言葉の数々をお届けしよう。
今年10月、英国の高級車「ベントレー」を冠する『ベントレーゴルフ』(以下、BG)が日本に上陸した。その物づくりを担うのが英国のPGE(プロフェッショナル・ゴルフ・ヨーロッパ)。 『BG』の生みの親であるPGEのピーター・ロード氏が来日し、『BG』を語った。
まず、PGEについて伺います。 「私自身は過去、ホセ・マリア・オラサバルがマスターズで優勝したことで有名な『マクサー』(MAKSER)というゴルフブランドに携わっていました。それを含めて20年以上に渡り、クラブ開発に従事していました。その経験を生かし、40年以上に渡りクラブ開発で経験のあるグラハム・ウェブ氏と私で、2007年にPGEを立ち上げたんです。 我々の使命は、世界中を歩いて素晴らしい商品を発掘し、欧州を中心にゴルファーに提供することで、『シーモアパター』『島田ゴルフ』『スーパーストローク』『イオミック』などの代理店となっていますし、『マクサー』時代に研究開発した技術を背景にゴルフクラブも開発しています」   自社ブランドもありますか? 「例えば『VEGA』ですね。過去は共栄ゴルフのブランドでしたが、当社が7年ほどまえに取得して一からモノ作りをしています。『シーモアパター』もデザインや製造を手伝っていますし、韓国や東南アジア向けの『ユナイテッド』というクラブも手掛けています」

『ベントレー』は「豪華さ」と「機能」が融合した唯一無二のカーブランド

『BG』のクラブ開発に携わるきっかけは? 「実は、『ベントレー』所有者の趣味1位はゴルフなんだそうです。それで4年ほど前に、『ベントレー』が顧客満足度や他社との差別化を図るために、『ベントレー』のゴルフブランドを展開できる企業を探していました。それで当社がライセンシーになったわけです。 ただ、1年目は研究開発に費やしました。何故なら、これまでも『ウィリアムズ』『ポルシェ』『ランボルギーニ』など自動車ブランドのクラブがありましたが、それらはブランドのカラーやテイストを表面的にデザインしただけで、ブランドのDNAは踏襲していないし、ゴルフブランドとして成功していない。しかし、『BG』は『ベントレー』の根幹となる『ラグジュアリー&パフォーマンス』のDNAを注入しています」   そのラグジュアリーとは? 「分かりやすいのは『本間』の5スターなどで、そこには『豪華さ』とともにゴルフクラブとしての『機能性』が十分に搭載されている。『ロールスロイス』には豪華さは必要ですが機能性は求めない。『ランボルギーニ』に機能性は追求しても贅沢さは必要ない。そういう意味で、『BG』には『ラグジュアリーとパフォーマンス』が搭載されています」   『ベントレー』の機能デザインも『BG』に採用されている? 「はい。例えばアイアンには『ベントレー』独特の流線型をデザインとしてだけではなく、機能として取り入れています。また、同じ意味で、『BG』のバッグ類は『ベントレー』で多用する曲線をデザインと機能に落とし込んでいます」   ちなみに、そのような『ベントレー』のDNAを踏襲している『BG』を使用している有名人はいますか? 「米国の購入者がマイケル・ジョーダンに『ベントレーゴルフ』を渡したと噂で聞いています。ジョーダンはベントレーを4~5台ほど所有していると聞いていますから、『BG』のクラブを使っているかもしれませんね(笑)」   日本で『BG』をどのようなブランドに育てたいですか? 「『ベントレー』のライセンスビジネスは、『ランボルギーニ』の20カテゴリーと比べても少なく5つほどです。そのような意味では希少価値のあるブランドで、それに加えて、『ベントレー』所有者はゴルフ愛好者が多いので、基本的には『ベントレー』所有者のライフスタイルにマッチするブランドというのが基本です。 それは日本市場でも同じだと思いますが、他国では『PXG』などのハイブランド同様、『BG』はゴルフブランドとして確立しています。その意味で日本市場は、どちらも可能性があると思います」

VEGAを世界ブランドに再生した技術力が『BG』の技術的背景にある

[caption id="attachment_60402" align="alignnone" width="788"] VEGA『RAD-04 DRIVER』[/caption] 『BG』の「ラグジュアリー」なブランドコンセプトは分かりましたが、「パフォーマンス」の部分はどうでしょうか? 「先程もお話ししましたが、当社は7年前に共栄ゴルフから『VEGA』を譲り受けて、一から世界で通用するブランドに育て上げました。それはデザインだけではなく、ゴルフクラブとしての機能性も同様です」   ゴルフクラブは製造工場のレベルによっても、物づくりへの本気度も伝わりますが? 「当社開発のゴルフ用品は全てにおいて、製造工場はクラブひとつとっても、工程によって工場は異なります。例えば、鍛造アイアンのタネは日本ですが、後の工程の工場は様々で、世界でもトップレベルの工場を使っています。 シャフトも、弾性率40トンや60トンなど様々な高品質の素材を採用しています。そのような意味では様々なテクノロジーが搭載された独自性に富んだゴルフクラブです」   「ラグジュアリー」という部分でも、機能性にこだわっていますね。 「その通りです。グリップだけでも、細部にこだわっています。例えばグリップエンドはグリップ本体と違う工場で加工し、グリップ本体の手縫い部分は『ベントレー』の職人が担っています。 他にも、アクセサリーに使用しているカーボン素材は『ベントレー』のダッシュボードと同じ素材を使っていますし、キャディバッグの革素材も『ベントレー』のシートやハンドルと同じ製法を採用しています」   『BG』の機能性は、『VEGA』を世界ブランドに押し上げたPGEのデザイン力、技術力も背景にありますか? 「そうですね。昔の『VEGA』とは一線を画しますし、フィッティング大手のクラブ・チャンピオンの取扱いもあり米国では認められています。 特に『VEGA』は今年リブランドする予定で、そこには世界中の製造工場の技術力が背景にありますし、『VEGA』を再生した当社の開発力は、『BG』が単なる自動車ブランドのロゴを配したクラブではないことの証明にもなると思っています」   具体的には? 「アイアンのカーボンフェースやマレージングフェースもそうですし、ドライバーは空気抵抗を研究するため風洞実験等も行います。 ウエッジではバウンスを変更できる機能が搭載されたクラブも開発しています。その『VEGA』は欧米のツアープロが使用しており、クラブとしての性能は認められていますし、それらで培ったテクノロジーは『BG』にも搭載されています」   そういう意味では、『BG』は単なる自動車ブランドを冠したゴルフブランドじゃない。 「もちろんです。何度も言いますが、自動車もゴルフクラブも『ベントレー』は『ラグジュアリー&パフォーマンス』がコンセプトです。単なる自動車ブランドの名を冠したゴルフブランドではないことを分かってもらえると思います」