かつては毎日のようにワクワク、ドキドキしていたが、最近は違う。「楽しみにする」は英語で「look forward」。
その先を見たいという好奇心を表わすものの、おおよそのことは自分の経験と思考に当てはめて予測するようになったようだ。
「ゴルフはつまらない」と嫌悪感をあらわにしていた友人がいそいそと練習場に通うようになった。
YouTubeで「三觜tv」に触発されたらしく、三觜喜一プロは、仕事でご一緒することがあると伝えると、「え~、すごい!!」とまるで芸能人の知り合いかのように羨望のまなざしを向けられた。
昨年の10月にジャニーズの嵐がYouTubeチャンネルを開設。公開からわずか28時間で登録数100万人を突破し、日本最速の記録を樹立した。
その後、お笑い芸人のロンドンブーツの敦さん、モデルのローラや、アーティストのGACKTなど大物プレイヤーが次々とYouTuberデビューを果たし幅広い世代への影響力が高まっているのを感じる。
先日、大学生とゴルフをする機会があり、体育会のアメリカンフットボール部で鍛えた強靭な体力で300ヤードを飛ばすドライバーショットを拝む機会があった。ラウンド中は終始スイングのセルフチェックに余念がなく、情報元を聞くと前出の「三觜tv」はもちろん、あらゆるチャンネルを網羅しているらしい。
かつては、ゴルフ雑誌でツアープロの連続スイング写真を穴が開くほど見たり、付録のDVDを擦り切れるほど繰り返し再生したりしたものだと昔を振り返ってしみじみとしている場合ではない。
レッスンのデジタル化はもはや常識で、YouTubeで一方的に動画を見るだけでは物足りないゴルファーには、ラウンド中の動画をアップロードすると声と画像で細部に至る解析がフィードバックされるサービスなど、多様化が進んでいる。
和田泰朗ティーチングプロの「MOTION Lab Team WADA」は月会費3500円で月2回までスイング動画へのアドバイスを行っている。アプリの導入で効率化を図り、あらゆるレベルのゴルファーの上達をサポートしたいという熱意がひしひしと伝わってくる。
「UUUM GOLF(ウームゴルフ)」、「ゴルフTV山本道場」、「ringolf(リンゴルフ)」などが、何気ない会話に毎日のように登場するようになって久しい。
「香妻陣一朗GOLFチャンネル」では現役ツアープロキャリアを生かし、浅地洋佑や堀川未来夢などによる本格的レッスンやプライベートに至るまで様々な情報を発信。
ついに石川遼まで登場し、その活動が評価されPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」の大会アンバサダーに任命された。主催者推薦で出場が決まった際には「ユーチューバー枠」として話題になった。
ゴルフ業界に身を置き、経験値だけが上がって感動が薄れてきたわたしに、驚きと刺激を与えてくれるYouTube。
媒体や代理店を介さずにセルフプロデュースが可能だが、その「クオリティ」と「熱量」がダイレクトに問われていることを忘れてはならない。
この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2020年2月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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