休日。久しぶりにゆっくりとした時間を過ごしている。ショッピングに行こうか、映画を見ようか、大掃除をしようか、趣味であるエレクトーンを、ヘッドホン無しで気持ちよく弾こうかな…
結局、絵本を何冊も読んだ。活字が好きな私は、子どもが幼い頃から絵本に囲まれた環境にしたかったため、買い集めたそれらは今でも当時のまま、200冊以上を大事に残してある。
「ぐりとぐら」「めっきらもっきらどおんどん」「カロリーヌとゆかいな仲間たち」「100かいだてのいえ」「イソップ物語」どれもとてもとても懐かしい。
環境問題やいじめ問題、セクハラ問題を子どもにも考えさせる内容など、中には意味深く大人にも響く絵本もある。
絵本は、時には涙も流し、ドキドキワクワク冒険心がくすぐられ、子ども達に「やってみよう!」と勇気を与えてくれたり背中を押してくれたりもした。
人生を肯定する力を与えてくれたり、心を豊かにしてくれるだけでなく、現実的な社会問題に気付かせてもくれる。
読む年齢によって、経験と知識が手伝って読後感も変わってくる。この休日、手にした1冊、楳図かずお氏の「漂流教室」にはゾっとした。
40年ぐらいまえの物語だが、未来の環境問題について描かれている。当時、子どもだった私もドキドキしながらページをめくっていたことを思い出す。
「ふくろうくん」を読んだ。自分の膝小僧と気が付かず、毛布の中の動く物体が何なのか真剣に考えるふくろうくんの姿を思い浮かべると思わず笑える。寒い冬に暖かい部屋で読むのにぴったりな一冊だ。
いつもと違う、久しぶりの思考回路が働いたのか、良いアイディアが浮かんだ!思いついたコトがあった!これを練習場スタッフに話して意見を聞いてみよう!アイディアを実現するまでの準備思考にチェンジされた一瞬だった。
何冊もの懐かしい絵本を読み返し、明日からの活力と感性が満タンになった。気がつけば窓の外はすっかり日が暮れている。今晩はベッドの中で宮沢賢治の「注文の多いレストラン」を読もう。
そういえば、ゴルフが舞台になる絵本にはまだ出会えていない。絵本の世界からも子どもたちにゴルフを知ってもらえるのではないかしら…。
また、本棚のずっと奥に埋もれていた絵本で、改めて大和言葉を学んだ。「きょうは思いのほか絵本を手にしたお陰で、休日を心ゆくまで過ごすことができた」「めっちゃ楽しい休みだった!絵本サイコー!」高校生の娘に変換されそう…。
思いは同じなんだけどな、一瞬でその思いが消えてしまいそうな軽さとノリが少し怖い。ネットの世界だけでは足りないだろう心に残る活字の世界にしっとり浸る時間を惜しまず作ろう。
まだ帰宅しない息子や娘にも気がついてもらおうと、そっとリビングテーブルに数冊の絵本を平置く。たまには携帯を手から離して、絵本を開いて懐かしんでみて…。幼いころ読んだ時と、また違った自分を発見できるよ!
この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2020年2月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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