団結できないゴルフ界に未来はあるか

団結できないゴルフ界に未来はあるか
私は(公財)全日本ボウリング協会(JBC:Japan Bowling Congress)の会長をしています。 ボウリングの競技者団体は、JBC以外には(公社)日本プロボウリング協会、日本ボウラーズ連盟、全国実業団ボウリング連盟、ジャパンレディースボウリングクラブがあります。これらに加え(公社)日本ボウリング場協会、(一社)全日本視覚障害者ボウリング協会、日本ボウリング商工会、日本ボウリング商工会の計9団体が団結し、2018年に日本ボウリング機構(JBO:Japan Bowling Organization)を設立しました。 JBOは、日本のボウリング競技の普及や推進を進める事を目的に「競技人口2000万人」を目標に掲げ、オリンピック・パラリンピック種目入りへの活動、国内統一ルールの制定、プロ・アマ問わず真の日本一を決定する大会の開催などを行っています。 あるボウリング名人が言うには、1960年代はボウリングと並んでゴルフが花形スポーツで、どちらの道を選ぶかで悩んだそうです。今では、花形スポーツのその後は低落しています。いずれも隆盛期を思い出し、昔はよかった、の回顧談にはため息をつくばかりです。

ゴルフ界は井の中の蛙

理由はいろいろありますが、一言でいえば、業界が時代に見合うように努力をしなかった、に尽きるようです。そのことに競技者をまとめる団体が気づいていないのです。 ボウリング界は今から10年余前から団結しようとの動きはありました。危機感が高じたのは2020東京オリ・パラに落選した時だったと思います。これに対して、ゴルフ界は如何なものでしょうか。 ゴルフの選手団体には、(公財)日本ゴルフ協会(JGA: Japan Golf Association)を筆頭に男女プロゴルファーと男子のツアー機構があり、JGAに連なる形で47都道府県には各県連盟があるようです。いずれも、バックにはスポンサーを始めしがらみが大きいものと思います。 一方、レジャー白書の試算によるビジネス規模(ゴルフ場、用品、練習場の3業種)は最盛期の半分になったにもかかわらず、小さくなったパイを奪い合っているようにしか見えません。井の中の蛙大海を知らず、状態に見えます。2020東京オリ・パラの競技種目を見るまでもなく、新しいスポーツが人気を得ているにもかからず、です。

ゴルフの五輪採用は羨ましいが

2020東京オリ・パラにゴルフが正式種目になったことはJBOからすれば羨ましい限りですが、ゴルフ界にはそれを起爆剤にしようとの雰囲気が感じられないのが不思議です。 オリンピックやアジア大会といった、国を代表するスポーツ大会や国体に参加できるのはNF(National Federation)組織だけです。ボウリングであればJBCだけがNFで、上述した他団体の選手は参加できません。ゴルフのNFはJGAです。ボウリングもそうですが、プロ選手にスポットライトがあたり、アマの団体であるJGAの存在は薄いようです。 この数年、羨ましいことにゴルフ界には人気のある選手が輩出しています。こうした選手をJGAは、どのようにして2020東京オリ・パラに出場させるのでしょうか。漏れ聞く話では、選手選考方法でリーダーシップが取れないようですし、コーチやスタッフの人選も形だけのようです。 最後の心配事です。スポーツ界全体を見渡しますと、プロとアマとの境界はすでにありません。世界で活躍するには、費用と時間からも分かるように従来のようなアマの選手では対応できません。JGAは公益財団法人にもかからず、アマチュアにこだわっていることが将来の禍根となる気がします。恩讐の彼方に、ゴルフ団体は手を結んでこそ、浮かぶ瀬あり、との気がしています。