広がる女子プロの格差 持続可能なサポートで選手の自立支援

広がる女子プロの格差   持続可能なサポートで選手の自立支援
きっかけはメディアプロデューサー小林一人氏のSNS投稿だった。自他共に認める「ボンビーゴルファー」瀬戸瑞希選手は、親子3人でワンルームマンションに暮らし、時給900円の仕分けバイトをしながら練習に励む生活をしている。 小林氏のコメントの通り、「プロの世界の厳しさ」といえばそれまでだが、3歳でゴルフをはじめ、2013年から7回受け続けたプロテストではいずれも敗退。昨年はQTランク19位の資格でレギュラーツアーに22試合出場したが、制度変更により、2020年の出場権を得るための予選会に出場できず職場を失い、プロアマの仕事もなく貧窮に苦しんでいる。 選手の自立を促しながらGDOのPRになるような持続的なサポートをしたい、そう考えるようになった。 2013年にスタートしたInterFM897のラジオ番組で、これから活躍する女子プロに毎月インタビューをしている。事前の情報収集はジュニアの戦績からあらゆるSNSまでつぶさに調査する必要があり、時間はかかるものの様々な人生模様を垣間見ることができ、楽しくも有意義なひとときだ。 5月のマンスリーゲストは丹萌乃プロで、ファイナルQTを7位で通過し2019年はTP単年登録で35試合に出場したが、「雰囲気の違いに戸惑い」、プロテストは5年連続で不合格となった。年間獲得賞金ランキングは91位で、いつものようにJLPGAの公式サイトを調べてリンクをクリックすると、「お探しのページは見つかりませんでした」と表示される。 2018年のステップアップツアー「山陰合同銀行 Duoカードレディース」で初優勝を果たしたスコアを調べたかったのだが、これには困った。「みんなのゴルフダイジェスト」でコヤマカズヒロ氏がデータのアーカイブ化の重要性を説いていたが、まったくその通り。 記事によると、協会に問合せたところ、ウェブサイト開設時からTP単年登録をした年のみ表示される仕様で、昨年の制度変更により登録者が激減したことで際立ってしまったようだ。 出場資格変更を受け、1月中旬に行われた中国女子ツアーのQTには、新たなる戦いの場を求めて34人の日本人選手が出場。前出の丹萌乃プロをはじめ10人が30位以内に入って今季の出場権を獲得していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりスケジュールが立たなくなった。 試合のみならず相次ぐイベントの中止による打撃は今も続いている。テレワークで自宅に引きこもり、いまできることは何なのかを考えさせられる毎日だ。 「ボンビーガール」こと瀬戸瑞希選手が、3月よりGDOの羽田ラウンジでアルバイトを始めることになった。当面は自宅の掛川から片道3,500円の高速バスで通勤し、1泊2,000円のカプセルホテルが定宿だ。空き時間は練習OK、未経験のワンポイントレッスンにもチャレンジしてもらい、晴れてプロになったらプロアマでの接客に役立てて欲しいと願っている。
この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2020年4月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ用品界についてはこちら