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練習場連盟・横山会長「休業対象」から外れても課題山積

ニュース 片山哲郎

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて小池百合子都知事は10日、東京都が独自に定める「休業要請」の対象施設を発表した。具体的には遊興、大学等、運動、劇場、展示、集会、商業施設の7業種で、運動施設は体育館、プール、ボウリング場、スケート場等が要請の対象となり、昨日の段階で含まれていたゴルフ練習場は除外された。11日午前零時からの施行となる。

経済活動の停滞を最小限にとどめたい国と、都民の人命第一を掲げる都の間で綱引きがあったようで、小池知事は「(都政を預かる)代表取締役かと思っていたら天の声が聞こえてきて、中間管理職になった気分」と話すなど、危機感の共有に齟齬があったことを伺わせた。

都は独自に「感染拡大防止協力金」を創設し、都内で1店舗を運営する事業者に対して50万円、2店舗以上の事業者に100万円を給付することも発表。給付時期は決まり次第公示する。

「休業対象」から外れたことについて、全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)の横山雅也会長は、

「当初入っていたのが抜けたことで、事業継続の可能性が見えたと同時に、感染を発生させない責任も生じます」

と口元を引き締める。以下、同氏との一問一答でコロナを巡る練習場の今を浮き彫りにする。

休業ドミノが混雑を招いた

小池都知事の記者会見を見終わっての印象は?

「当初入っていたのが抜けたことで、事業継続の可能性が見えたと同時に、感染を発生させない責任も生じます。JGRAとしてはこれまでもアルコール消毒の徹底や待合室で椅子を離すなど、注意喚起を行ってきましたが、今後はこれをより徹底していきます。なるべく早期に細部をまとめ、まずはHP等でアナウンスします」

都市部の練習場は2、3月、盛況ぶりが目立っていた。在宅勤務のサラリーマンなどが足繁く通っていたわけだが、それがマスメディアに取り上げられて顰蹙を買った面もある。

「地域性によって事情は異なるものの、2、3月は総じて好調だった印象はあります。ただ、4月7日に緊急事態宣言が出されましたが、その1週間ほど前から入場者は落ち着いてきたと思いますよ。

それと、首都圏の練習場が混雑したのは業界固有の事情もあった。神宮外苑の練習場が閉鎖して、行き場を失ったゴルファーがロッテ葛西に集中した。そのロッテは待合室でのクラスター感染を懸念して臨時休業に入りましたが、すると近隣の練習場もそれに倣って休業するなど、ドミノ現象が起きてしまった」

なるほど。休業ドミノが発生して、営業中の施設にゴルファーが集中したと。

「そういった面はあると思います。ですから今回、都内の練習場が休業対象から外れたことはよかったのではないか。仮に都内の練習場が全部閉まると、千葉、神奈川など近隣県の施設が混雑する可能性がありますから。

今後大事なのは、繰り返しになりますが、予防対策をしっかりして、クラスター感染させないこと。今日の会見で営業できることはわかりましたが、ある程度の時短は必要だと思いますね」

レッスンプロは職場失う

問題はインドアです。「ゴルフ練習場」という括りで判断すると、インドアスクールも入りかねない。これは「3密」の業種だと思われる。

「そのあたりは都の正式文書をしっかり読み込む必要がありますが、『ゴルフ練習場』については屋外のスポーツ施設という考えがあると思います。都は休業施設に対して『協力金』を払うわけだから、指定業種をきちんと分類しているはずだし、この点は早急に確認します」

もうひとつの課題はレッスンプロですね。練習場は打席収益とレッスン収益の二本柱で成り立っていますが、屋外の練習場でもレッスンは「密接」になりかねず、続けることを躊躇する施設もあるでしょう。

「そうですね。当社(千歳ゴルフセンター、都内世田谷区)の場合、打席とレッスンの収益は5対5で、ほかの練習場もレッスンは大事な収益源です。

少人数のグループレッスンは一般的に6人程度、当社は10人以下ですが、指導者と生徒はマスクをして、ソーシャル・ディスタンスを守りながらやってました。ただ、今日の会見を受ける形で明日11日から1ヶ月間、当社ではレッスンを休止します」

するとレッスンプロは職を失う。

「ウチのプロ(9名)は社員なので、ほかの仕事をしてもらいますが、個人事業主で教えているプロは食い扶持をなくす可能性がある。政府の休業補償で急場を凌ぐにせよ、レッスンプロを統括する団体は苦しい立場だと思います。職場を提供する練習場とプロ団体が話し合って、解決策を探る必要があるでしょう」

「振興券」の発行求める

都と国の綱引きに「パチンコ店」の扱いがありました。国は休業対象から外したい、都は対象にしたい。結果的に休業対象になりましたが、ゴルフ練習場も同様で、都は対象にしたかったという説もある。外れたのは、業界団体として営業継続を働き掛けたこともある?

「今回に関しては、そこまでのパワーゲームはないでしょうが、コロナの問題を含めて練習場は厳しい局面が予想されるので、応援してくださいということを折に触れて要望しています」

台風で鉄塔が倒壊するなど、練習場には課題が山積している。お願いする先は「ゴルフ議連」ですか? そもそもゴルフ業界は「議連」を通じてゴルフ場利用税の撤廃を要請してきたが、実現の可能性は極めて低い。そこで今度はコロナや台風被害への支援を求めるとか。

「まあ、議連を含めて常に働き掛けています。今後大事なのは、コロナが終息したあとの産業復興じゃないですか。その際、観光業界や他の産業も国に復興支援を働き掛けている。この流れにゴルフ産業も乗る必要があって、ゴルフ単独で厳しければスポーツ産業全体でやることも考えられます。

具体的には、ゴルフはスポーツ界最大の産業なので、他団体と協力して『スポーツ振興券』の発行を要請するとか。順番としては第一にコロナ対策、第二に支援策となりますが、ゴルフ場、練習場、用品のゴルフ産業団体が素案をまとめ、ゴルフサミット会議の合意を取り付けて進めることも考えられます」

以上、横山会長との一問一答をまとめた。

都内の感染者は本日、過去最多の185人以上を記録し、小池都知事は記者会見で何度も「感染爆発の重大局面」を連呼した。今後事態が深刻化する中で、練習場は「休業対象」から外れたが、それで安心できるわけではない。

感染防止を徹底し、同時に終息後の復興ストーリーを描くことが急務といえる。


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ライター紹介 ライター一覧

片山哲郎

片山哲郎

1962年8月3日生まれ、東京都出身。
「月刊ゴルフ用品界」(GEW)を発行する株式会社ゴルフ用品界社の代表取締役社長兼編集長として、ゴルフ用品産業及びゴルフ界全般の動向を取材、執筆。2014年4月から3期6年、日本ゴルフジャーナリスト協会会長(現顧問)

ほかに武蔵野美術大学特別講師(ゴルフビジネス論)、インタラクティービ(J:COM)番組審議会委員、大学ゴルフ授業研究会理事、ゴルフ市場活性化委員会マーケティング委員(各現任)

信条は「人の至福は健康で長生きすることであり、これに寄与できるゴルフは『善』である。善なるゴルフ産業が健全発展するために、建設的な批判精神をもち、正確、迅速、考察、提言を込めた記事を書く」――。

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