春が来た。しかし、ベストシーズンを迎え、待ち望んでいた開幕戦や、心を躍らせながらゴルフ場へ出かける楽しみは奪われた。
この機会に腰を据えてトレーニングとスイング改造を、と思った矢先、緊急事態宣言でスポーツクラブと練習場もクローズとなった。新型コロナウイルス感染拡大の影響におびえながら、無期限のテレワークによる自宅待機の日々。
知らず知らずのうちに行き場のないストレスが溜まっていくのを感じる。
そんな中、GDOは4月1日より、「茅ヶ崎ゴルフ倶楽部(神奈川県)」の開場に向けた準備を始めると発表した。しばらくぶりの明るい話題からか、多くの方々からエールが寄せられた。
名匠上田治氏による設計で、1957年の開場以来、多くのゴルファーに愛され続ける、国道134号線を挟み湘南の海岸沿いにある9ホールのシーサイドコース。クラブハウスはジョギングや 散歩で近隣住民が行きかう生活道路に面しており、市街化区域にある特殊なゴルフ場だ。
4月初旬、「肉体労働day」と定められた日に、体力自慢の社員がゴルフ場に招集された。少し動くと汗ばむ 陽気の中、クラブハウスのレイアウト変更や手引きカート60台の組み立てを黙々とおこなった。久しぶりに体を動かす仕事ができる清々しさに加えて、ゴルフ場の裏側の作業に携わることができる幸せ。
普段は入ることのできない従業員事務所、マスター室、かつてのキャディ休憩室などすべてが興味深く、晴れて開場を迎えた日を想像しながらマスクの下でニヤニヤしながら作業にいそしんだ。
昨年の9月にGDOを代表とするグループが優先交渉者に選定され、11月には土地所有者と事業者が出席し、住民説明会をおこなった。
その中で、構成企業と共に「にぎわい交流エリア」を設け、ホテルや商業施設と共存することで顧客の利便性を高め、事業全体の費用効率を上げて採算をとる事業計画を発表した。GDOの 伊藤修武顧問は、「ゴルフ場の運営を通じて効率化やIT技術の活用に取り組み、全国2000程の取引先ゴルフ場への提案に生かしたい」と語った。
いままで何度となく「ゴルフ場を運営しないのか」と聞かれた。コンテンツやイベントを通じて「ゴルフをもっと気軽に、もっと楽しく」と活動を続けているが、誰しも実際にゴルフ場に出向くと理想と現実のギャップに葛藤を覚えるからではないだろうか。
創立20周年にしてGDO初のゴルフ場運営に携わることができ、いまでも夢なんじゃないかと思うくらいに嬉しい。
これを機に「9ホールプレー」を定着させることや、「脱ドレスコード」を実現しつつオシャレな世界観をキープさせるなど実現したいことは山ほどある。ゴルフ業界の方々へは、利便性のいい立地を活用して、デジタルサイネージによるディスプレイや、サンプ リング、体験イベントなど様々なソリューションを提案していきたい。
ゴルフができること、練習ができること。あたりまえの日常が戻るその日のために、未来を描く夢は果てしなく広がっていく。
この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2020年5月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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