コロナ対策で仰天ルール ピンはいらない、ホールアウトを求めない苦肉の策

コロナ対策で仰天ルール ピンはいらない、ホールアウトを求めない苦肉の策
新型コロナウイルスによるパンデミックは世界中を駆け巡っている。3月20日、R&AとUSGAはそれぞれCovid-19に対応したいくつかのルールを正式なラウンドで認める発表をした。 これは新型コロナウイルス感染防止のため、各ゴルフ団体から多くの問い合わせを受けてのことで、R&Aはだからといってこの状況下でこのガイドラインをもとにゴルフプレーを推奨しているわけではない、としている。 例えば、①スコアカードはプレーヤーが記入してもよい。(マーカーが書く必要はない)②マーカーにスコアの記入をさせず、口頭で申告してもよい。③スコアカードを委員会に提出する必要はない。など、これまでのゴルフ競技では考えられない内容をガイドラインで認めている。 USGAはさらに踏み込んだ内容を紹介していて、その中でも「ピンを立てない」場合もあるかもしれない、というのだから驚きだ。 「ピンはゴルフというゲームにおいて、重要な役割を果たしている。つまり、ホールがどこにあるかを教えたり、ショットをどの方向に打つべきかの指示をプレーヤーに与えるもの」としながらも「もし委員会が、ピンを挿さないでプレーをすると決定したなら、各ホールのピンの位置をプレーヤーに知らせることにより、その決定が正しかったのだとするベストな方策を考え出さねばならない」とする。 それには詳細なピンの位置を示した紙(ホールロケーションシート)を用意すれば解決できるとガイドラインにはあるが、果たしてピンの立っていないグリーンに向かって球を打つことはゴルフなんだろうか?と個人的には頭をひねる。 ちなみにゴルフ規則では「ゴルフは1つの球を1つのクラブで打つことによってコース上の18ホール(またはそれ以下)の1ラウンドをプレーする」とされる。 USGAはプレーヤーの感染リスクを最小限にする方法として、ピンに触ったり、抜いたりすることを禁止することもできるとしており、もしプレーヤーが違反したら、規則1.2bで規定されているように、罰則付き(1罰打ないし一般の罰)とすることも可能だろう、という。 また、バンカーレーキも同じ理由で撤去されたり、使用しないように注意を呼びかけ、バンカーは足やクラブで均すように指導している。 ガイドラインで私が一番驚いた部分は、「ホールアウトを求めない」という箇所だ。一体何を言ってるんだ? と目を疑った。 ゴルフ規則を勉強したことがある人なら、規則3.3cの「ホールアウトしない」の重みを知っているはず。それなのに「ホールに入った球を拾い上げるとき、ピンやホールカップに触るため、感染リスクが高まるので、ホールアウトしなくていいとする」と堂々と書いてある。 ホールアウトしない方法としては、「ライナーを数センチ、グリーン面より上に出しておく」とある。まさかの本気で球をカップの中に入れさせない、(ストロークプレーにおいて)こんなゴルフがあっていいのだろうか?ピンはなくとも、少なくとも球はホールに入れたいではないか。 本来のゴルフを早く取り戻すためにも、コロナの終息を待つばかりである。
この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2020年5月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ用品界についてはこちら