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コロナでゴルフショップ悲鳴の4月 売上急減の中で光明探る

ニュース ショップ 片山哲郎

スポーツ小売最大手のアルペンはこのほど、4月の業績を発表した。これによると既存店ベースでの売上は前年同月比45・4%減、全店でも46・2%減とほぼ半減。同社によれば、

「新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言による自粛の影響で、当初想定していた売上が大幅に減りました」

そのため、経費削減の一環として役員報酬を大幅に引き下げる。5月から9月までの5か月間、代表取締役は月額報酬の50%、常勤取締役は10%の減額を決めた。

政府は先頃、緊急事態宣言の延長を5月末までと発表したが、出口戦略が示されずに厭世観が漂っている。コロナ禍は「政治不況」の色も帯びはじめ、小売市場を直撃した。

首都圏を中心に26店舗を運営する有賀園ゴルフは、緊急事態宣言以降8店舗を休業したが、営業を続ける店舗の売上は平均35%減で4月を終えた。この業績について有賀史剛社長は判断に苦しむ様子でもある。

「悪いと言えば悪いし、さりとて健闘と言えなくもない。もっと悪化することを予想していたので、どちらかと言えば健闘でしょうか」

同社が休業した8店舗は百貨店やアウトレットのインショップが中心で、施設自体が休業したため営業の続行を断念。また、都心部の新橋、神保町店も出勤自粛により客足が見込めず、臨時休業に踏み切った。その反面、利益率は高まったという。

「利益の落ち込みは3割なので、利益率だけを見てみると7~8%改善しています。セールのDMや新聞広告を全面休止したことと、このような状況で来店客の値引き要求がなくなったこと。この2点が大きいです。会社としてもコロナを機に様々な工夫をしているので、今後の展開につなげたいですね」

3割減でも明るい広島

有賀社長が話す「工夫」の詳細は後述するが、広島県で4店舗を運営する広島ゴルフショップも4月の売上は3割減と苦戦した。しかし、山田一夫社長の声は意外に明るい。

「今は『コロナの雪』が積もっていますが、いずれ雪解けするでしょう。5月中は厳しいけど、6月に市場は動くと見ています。その後、新しいゴルフ界がはじまりますが、それは世情の動きと無縁ではありません」

どういったことか? 同氏が指摘するのは、コロナを経験したことで働き方が急速に変わり、ゴルフの位置づけも変わるということらしい。

「これまではひとつの会社に勤めて、一日8時間労働が当たり前でした。それがコロナを経験したことで、優秀な人間は時間に縛られず、複数の仕事を同時にこなすようになる。すると出会いも増えてきます。

ゴルフはビジネスの縁を取り持つのに最適だし、新しい仕事が次々に生まれる中で商機が広がる。従来の価値判断はお金でしたが、これからの価値観はヒトですよ。人の出会いがもっと大事になってくれば、ゴルフの価値も高まってくる。新しい時代の幕開けです」

同氏は6月以降、そのような視点で施策を考えていくという。詳細は明らかにしていないが、そもそも同社は顧客への提案や催事を積極的に開催し、大手専門チェーンが版図を拡大する中で県内4店舗の牙城を守ってきた。地元有力者とのパイプも太く、となれば「二世会」や異業種交流の拠点としてゴルフショップの新たな価値が創造できる。

「おたくもね、メディアだけやってる時代じゃないですよ。もっと挑戦しなければ」

と、本誌にエールまで送ってくれた。

売場は濃厚接触の恐怖と戦っている

前出の有賀社長もアフター・コロナの青写真を描いているが、その中身を一問一答で紹介しよう。

コロナを機に、どのような青写真を描いているのか?

「たしかに売上は厳しいけど、利益率は上がっています。直接的な要因は3月以降、DMや新聞への宣伝広告をゼロにしたことが大きくて、5月も予算を使わない予定です。政府は5月14日、出口戦略を発表しますが、それを見て6月以降のマーケットが動くことを期待しています。

ただ、期待するばかりではなく、同時に体質改善も進めています。新横浜店の販売員は常時13~14名体制でしたが、今は最大6名でまわしています。雇用調整助成金を使いながら出勤調整をしてますが、これによりいろんなことが見えてきた」

たとえば?

「これまで当たり前にやってきたことのムダですね。ぼく自身、今日は6店舗まわりましたが、現場を見る重要性はありつつも、移動や会議の在り方はもっと合理的に進められる。販売員の人数も、雇用を守るのが前提ですが、少数精鋭によるスキルアップや効率的なローテーション。1店舗に専従しない在り方も考えていく必要があります」

メーカーとの関係性も見直す必要がありますか。

「見直すというよりも、いろいろ思うことはありますよ。メーカーと小売りは運命共同体だと思ってますが、我々小売りは日々、コロナに怯えながら接客しています。その一方、メーカーはテレワークで在宅勤務じゃないですか」

メーカーは安全地帯にいると。

「ええ。運命共同体ということであれば、店頭に来て支援してもらいたいし、我々の厳しい日常をもっと理解してもらいたいとも思います。ただ、ヨネックスなど国内メーカー3社は、マスクを200枚ずつ送ってきました。それぞれ社員の人数分で、マスクが足りなかった時期だけに涙が出るほど嬉しかったです」

メーカーの支援という意味で、支払い面でのサポートはどうですか?

「それは個別の話し合いですが、支払いの猶予を2か月延ばしてくれたり、店頭在庫を半分返品で受けてくれるところもあり、その面では非常に感謝しています」

反転攻勢の時期はいつぐらいですか。

「現状、6月から積極的に打って出ようと思っています。4月は不測の事態として、タレントの石田純一さんがゴルフ場で罹患して来客が一気に減りましたが、今後は一人10万円の給付金もある。

当社の顧客は生活に困っている人が少ないので、声高に言うことじゃないかもしれませんが、給付金がゴルフ需要にまわる可能性もありますから、いろんな刺激策を考えます」

コロナ禍に沈んだ4月のゴルフ市場だが、この間、様々な善後策を考えている様子。前出の山田社長がこう話す。

「この数か月はジッと耐えてきましたよ。外に飲みに行くこともなくなった。でも、この間いろいろ考えました。逆に言えば、コロナ自粛の期間中に何も考えなかったところはダメでしょうね。

世の中は大きく変わります。むしろワクワクしています」


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ライター紹介 ライター一覧

片山哲郎

片山哲郎

1962年8月3日生まれ、東京都出身。
「月刊ゴルフ用品界」(GEW)を発行する株式会社ゴルフ用品界社の代表取締役社長兼編集長として、ゴルフ用品産業及びゴルフ界全般の動向を取材、執筆。2014年4月から3期6年、日本ゴルフジャーナリスト協会会長(現顧問)

ほかに武蔵野美術大学特別講師(ゴルフビジネス論)、インタラクティービ(J:COM)番組審議会委員、大学ゴルフ授業研究会理事、ゴルフ市場活性化委員会マーケティング委員(各現任)

信条は「人の至福は健康で長生きすることであり、これに寄与できるゴルフは『善』である。善なるゴルフ産業が健全発展するために、建設的な批判精神をもち、正確、迅速、考察、提言を込めた記事を書く」――。

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