テーラーメイドの新ドライバー『SIM』、『SIM MAX』が2月7日、投入された。前々作の『M3/M4』では、オフセンターヒット時の曲がり幅を抑えるため、フェースをねじる「ツイストフェース」を採用。そして『M5/M6』では、「ツイストフェース」に加え、ヘッドの反発力をルール上ギリギリに設定した「スピードインジェクション」の搭載が話題になった。
今回の『SIM』シリーズは、これらのテクノロジーをベースに空力効率に着目。既に発売から2ヶ月が経過したが、どのようなゴルファーが購入しているのか? 二木ゴルフ大宮店内田一樹店長に話を聞いてみた。
内田 「まず、『SIM』が『M5』の後継モデル、『SIMMAX』が『M6』の後継タイプとなっています。新製品は、ダウンスイング時のスピードアップを実現する「イナーシャ ジェネレーター」の搭載により、空力効率と高慣性モーメント化を両立しているのが特筆すべき点。つまり、ゴルフのスイングにおいて最も加速する、ハーフウェイダウンからインパクトにかけて、ヘッドが受ける空気抵抗を減少させるためのテクノロジーのこと。空気抵抗が減少するためヘッドスピードアップに直結し、初速アップにも繋がる仕組みです。
実際、店頭で試打された方は、マイドライバーよりも初速がアップする人が多く見受けられ、前作『M5/M6』との比較試打でも明らかに初速が上がります。性能面においても明らかな進化が伺えるので、顧客にも薦めやすい1本です」
そのクラブ特性とは? 次項で詳しく説明してもらおう。
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前作よりも低スピン・高初速で曲がりにくい[/caption]
内田 「『SIM/SIM MAX』の形状は、前作の『M5/M6』よりもハイバックで空気抵抗を考慮した流線型を採用。つまり、重心位置が高くなり、慣性モーメントなどが犠牲になるトレードオフの関係が発生します。そこで、「イナーシャ ジェネレーター」を後方の低い位置に配し、さらに最後方へウエイトを配置(SIM=10g、SIM MAX=18g)。その結果、低重心かつ高慣性モーメントを実現。前作よりも高打出し・低スピンで曲がりにくい仕組みでやさしさが増した。そのことは販売状況にもよく表れていて、今モデルも『SIM』が『SIM MAX』を上回っています」
G前作はどうだった?
内田 「大宮店は、競技志向のお客様が多いので『M5』の比率が高かった。そういう意味で『M5』から『SIM』への移行もスムースな印象です」
G なるほど。顧客へ推奨する際に気を付けていることは?
内田 「『SIM/SIM MAX』は前作の『M5/M6』より低スピン性能が際立っているので、ロフト選びが重要になってきます。マイクラブよりもロフトアップした方が、適正な打出角になりやすく、トータル飛距離が伸ばせるでしょう」
G 前作比でいうと?
内田 「『M5/M6』でロフト9度を使っていた方は10・5度を推奨しています」
G 顧客が『SIM』と『SIM MAX』で迷った場合は?
内田 「先述したとおり『SIM/SIM MAX』は、前作の『M5/M6』よりも初速がアップします。ハードヒッターや操作性を重視する方は『SIM』、安定したスピン量でオートマチックに打ちたい人は『SIM MAX』というのが基軸にありますが、新モデルでは“振りぬき”が増した分、『SIM』も意外と打てちゃうんですね。ツイストフェースの搭載により、オフセンターヒット時でも初速はあまり落ちないですから・・・。
価格はカチャカチャ付きの『SIM』が5000円アップとなりますが、どちらか決めかねている方には、『SIM』はソールウエイトにより弾道調整ができますよ、と説明。すると、『SIM』を即決される方が多いですね。また、タイガー・ウッズが使用しています、というセールストークは響きますね」
G どのようなゴルファーに合うのか。
内田 「皆さんに打ってもらうと、両モデルとも明らかにスピン量が減るんですね。ただ、『SIM』はより低スピン傾向が強いヘッドになりますので、元々スピン量が少ない方が打つと球がドロップして飛距離をロスしてしまう。
そういう方には『SIM MAX』をお薦めし、逆にハードヒッターやボールが吹き上がる人は『SIM』がミートします」
G 具体的には?
内田 「当店ではお客様のスイングを見て、そのスイングに合ったヘッド&シャフトを推奨しています。その観点でいうと『SIM/SIM MAX』は、インサイドアッパーのスイングが最適といえるでしょう。明らかに『SIM』は、引っ掛けやチーピンなど左サイドを消したい中・上級者向け。一方、ミート率がバラつく人に『SIM MAX』を打ってもらうと、飛距離と弾道が格段に安定します。つまり、平均飛距離が伸びるということです」
先行予約でスタートダッシュ『SIM/SIM MAX』の販売状況
G 販売状況はいかがですか?
内田 「先行予約時点から受注が好調で、注目度の高いモデルに位置付けられます。2月7日の発売当日は、朝一から問い合わせの電話や開店と同時にテーラーメイドブースへ駆け付ける方が多く見受けられました。待ちきれなかった様子が伺え、初日からスタートダッシュできました」
G 他社製品と比較して勢いはある?
内田 「同時期に投入されたキャロウェイ『MAVRIK』との比較でいうと、『SIM/SIM MAX』が圧倒的。当店の顧客層は、競技志向が多いからかもしれませんが、発売から1ヵ月経過した現在の販売実績でも同じような状況です。今後、トーナメントでの露出やマスターズ開幕に向けて販売本数はもっと伸びると思います」
G 実際の購入層は?
内田 「特に30~40歳代のゴルファーはUSPGAツアーで実績のある『SIM/SIM MAX』を使いたがる傾向が強いと感じています。タイガー・ウッズをはじめ、世界ランク上位選手と契約を結ぶテーラーメイドの強みといえ、販売側もファーストコンタクトがしやすい。正直なところ助かっています」
G スペックボリュームは?
内田 「大宮店はフィッティングを重視している店舗ですので、アスリート系のクラブを好む顧客が多い。ですので、標準シャフトよりも『スピーダー』、『ディアマナ』などのカスタムシャフトを選択する方が5割を超えます。『SIM/SIM MAX』については、6割以上の方がカスタム対応ですが、今回の標準装着シャフト(TENSEI)もよくできていると思います。いずれも50g台ですが、しっかり叩けるシャフトです」
以上、二木ゴルフ大宮店の内田店長に『SIM/SIM MAX』の商材価値の可能性を語ってもらった。テーラーメイドの新たな胎動がゴルフ業界をまた震撼させている。
取材協力:二木ゴルフ大宮店
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