永井 まず、長方形の『R1』の形状についてですが、サイズは正方形の『S1』よりも大きく感じます。実際、打ってみると左右の面がフェースの向き、方向性に対する情報をゴルファーに提供してくれます。注目すべき点は、利き手の親指の付け根の部分(舟状骨)ですが、グリップをした時に、この形状の影響で緩みません。通常のグリップであれば、ヘッドの重心特性によってフェースの開閉があり、親指の付け根部分が緩むことがあります。それが『センスゴルフグリップ』では起きにくい。ヘッドのトルクを制御することができるグリップと言えるでしょう。
G 握り方も変わりますか?
永井 そうですね。通常のパターグリップは下から手の平にグリップを載せるようにグリップしますが、『センスゴルフグリップ』は、両手の親指の付け根部分が締まり、上から握るイメージです。利き手と反対の手は方向性をイメージさせてくれて、利き手は緩まずしっかりストロークさせてくれます。
G 『S1』の形状はどうですか?
永井 はい。『S1』は細身なので、両手とも親指の付け根部分に加え、指の関節にピッタリフィットする。なので、利き手と反対の手が方向性をイメージするというよりは、両手とも同じ効果で、前腕の2本の骨もロックされる感覚があり、より緩みのないストロークを実現できそうです。
ウエイト位置でストロークのフィーリングが変わる
G それでは、実際にウエイトの位置を調整しながら、どのような効果があるのか検証しましょう。
[caption id="attachment_62564" align="aligncenter" width="788"] ウェイトをグリップエンド側に装着した場合[/caption]
永井 まずは、ウエイトをグリップエンド側(R1、30g)に装着した場合です。やはりカウンターバランスを感じやすく、大型ヘッド、マレット型のヘッドとの相性が良いと思いますね。
[caption id="attachment_62565" align="aligncenter" width="788"] ウェイトをグリップの先端側に装着した場合[/caption]
G 次にグリップのチップ側にウエイトを装着した場合です。
永井 通常のグリップであれば、利き手の下にウエイトが位置します。打ってみると、クラブ全体の中で、グリップ下部の重量とヘッドの重量がリンクして、バックスイングのタイミングがスムーズに始動できるウエイト位置だと思います。
[caption id="attachment_62566" align="aligncenter" width="788"] グリップを利き手の位置(グリップの中間地点)に装着した場合[/caption]
G そして、利き手の位置にウエイトを固定したケースです。
永井 はい。一番利き手のタッチを出しやすいのが、利き手部分にウエイトを配置したケースです。クラブ全体の慣性モーメントを感じやすい位置で、手先を使わないストローク、長尺パターでストロークしているようなイメージです。
G最後にウエイト無しでも試打してみてください。
永井 そうですね。これまで装着したウエイトは30gでカーボンロッドの重量もありましたので、かなり軽くなりました。その意味ではヘッドの重みを感じながら、ストロークできるイメージです。
パッティングはパター全体の重量を感じることが重要
G それぞれのウエイト位置で全く違うストローク、フィーリングがありましたが、ウエイトの調整、活用方法を教えてください。
永井 パッティングで重要なのはクラブをストロークするというよりは、「重さ」をストロークするということです。同じ重量のペットボトルで考えるとわかりやすいですが、ペットボトルは固まり感がありますが、重さで考えれば同じです。ただ、クラブは長い棒の先にヘッド(重量)があるから、棒の先(ヘッド)でボールを小突くイメージが出てしまいます。
G その通りですね。棒の先で何とか打とうとします。
永井 そうです。その小突く動作がタッチと勘違いしているゴルファーが多い。本来は、「重さ」がどの程度動くのか? パターの重量をエネルギーとしてボールへ伝えることがパッティングでも重要です。
さらに『センスゴルフグリップ』の場合、形状によって手元が緩まない特徴があります。グリップエンドとヘッドの動きが同期していれば無駄なフェースの開閉は起きにくい。『センスゴルフグリップ』の場合は、グリップエンドとヘッドの動きが同期しやすいグリップと言えるでしょう。パターのストロークにとって大変効果的なテクノロジーだと思います。
ウエイト位置でインパクトロフトが変わり転がりに変化
G ウエイト位置はどうですか?
永井 はい。基本的にはゴルファーそれぞれによって違う手元側の動くリズムやタイミングによって、ウエイト位置をマッチさせていくのが調整方法の考え方です。
G 具体的には?
永井 そうですね。ポイントは手元がスッと動くウエイトの位置です。また、ウエイトの位置によって、ボールの転がりが変わってくるはずです。重量も3タイプ(10g、20g、30g)あって、様々な位置に配置できます。それによってインパクトロフトも変わるので、ボールの転がり方を基準に最適な場所を見つけるのも楽しいと思いますよ。