4月22日、日本ゴルフ協会(JGA)はホームページにゴルフ規則の練習問題を掲載し、コロナの影響でコースに行けない自粛ゴルファー向けに自宅で「ゴルフ規則の条項を覚えてみましょう」と提案した。
しかし、この練習問題はプロ・アマを含め、ルールブックを読んだことがあるゴルファーでも答えられないほど難易度が高い。
①なぜ、JGAは答えられないような問題を掲載したのか?
②何が役立つのか?
③どんな勉強をすればいいのか?について考えてみたい。
まずは①の疑問、なぜ答えられないような問題を掲載したのかだが、ひとつには額面通り「規則の条項を覚えることはコース上で素早く規則書を開くのに役立つ」からだ。
条項を覚えると規則全体の枠組みを把握でき、他の規則との関連性、整合性が旧規則とは変わっていることに気が付く。
もうひとつは、規則の勉強法を暗示しているのではないか?というのが個人的な見解だ。JGAが行っているR&Aルールスクール「レベル1」や「レベル2」に関しても受講できた一部の人たちだけが有益な情報を享受でき、それ以外の人たちにとっては何をやっているのか「謎」でしかない。
次に②についてだが、私が「レベル1」を受講したときの光景が思い出される。
「ティーマーカーを動かしたときの罰は?」と講師が質問した。受講者の一人が「2罰打」と答えた。すると講師は矢継ぎ早に「何の罰ですか?何条の罰ですか?何で罰が付くんですか?」と質問を繰り出した。
罰打だけわかっても規則への理解度が低いと応戦できない。講師が被せるように言う。
「ストロークの邪魔になるのを改善したら8条で2罰打。怒って蹴飛ばしただけでは罰は付かない。意図的に動かしたときは、1.2です。ゴルフの精神に反する行為。JGAのレフェリーレベルならこれくらいは答えられないといけない。」講師の説明で一同静まり返る。
「レフェリーや競技運営者にとって必須の知識」とは、覚えた規則を使いこなせることにある。
③について楽な勉強方法はないが、多少なりとも近道を示すならば、やはり条項を覚えたほうが早い。規則書の目次にある条項1~ 20までを覚える。1.1、1.2などの数字も覚える。
私の場合は18ホールのコースに見立てて覚え、単語帳も作った。並行して定義も覚える。本文を読むのはその後でもかまわない。
ルールの勉強がしたい!という人に勉強法を聞かれて、まず条項を覚えろ、というと「そこまでやるつもりはない」とよく言われる。(だったら聞くな。)
「リカレント教育に積極的に取り込む人とそうではない人(取り組まない人/取り組めない人)との間に経済的なギャップが生ずる恐れがある。」とはよくいったもので、仕事でゴルフに関わる人たちにとって、規則を学ぶという選択肢は実益を兼ねていて、いずれ「目に見える報酬」として大きな果実をもたらすだろう。
自粛ゴルファーにとってもゴルフが生涯スポーツであり続ける限り、学びは自らの人生を豊かで実りあるものにする。
JGAのレフェリー用練習問題は50問を15分で解き、45点以上がレフェリーレベルの目安とされている。日本オープンのレフェリーがどれだけ凄まじい努力を日ごろ積み重ねているのか体験してもらいたい。
この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2020年6月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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