ここ1週間で、営業支援業界からは「オンライン商談をどうすすめれば効果的か」という話が聞かれるようになりました。また、観光業界からは「ECサイトの構築と運用を始めたいのだが」との相談が来ています。
外出自粛要請が明けたらすぐに安全とはなりませんが、今は外出するリスクが高い状態。
ゴルフは密なスポーツではないものの、コンペなどの中止が相次ぎ影響は深刻です。「感染の流行は2022年まで続く可能性がある」とハーバード大学は発表しています。
“今”の状態が2022年まで続くというより、コロナを意識しながら、つまり、ソーシャルディスタンスや対面リスクに配慮し続けることが求められる。長期戦です。
WHOはソーシャルディスタンス(社会的距離)ではなく、フィジカルディスタンス(身体的距離)という言葉を使い始めました。SNSなどにより、人が集まらなくても社会的な営みは行われているからという理由です。
AIベンチャーのエクサウィザーズ社の仮説によると、「長期化したコロナ禍が明けたとしても、以前の状態にすっかり戻ることはないだろう。身体的な距離はそのままにして、どのように心情的に近い状態にもっていくかが鍵」だと分析しています。
昭和の頃の職場の人間関係は、身体的にも心情的にも近い距離が望まれており、仕事上の飲みやゴルフが盛んでした。
平成では同じ職場ながらも、個人の意見の尊重や雇用体系多様化などにより、徐々に心情的距離が遠くなり、コロナを契機に一気に身体的距離が遠くなったのが、今です。
オンライン商談ツールのベルフェイスの利用は過去3万件程度だったのが、無料施策を講じたこともあり14万商談にまで増えたとか。オンライン商品取引も進みました。
ネットスーパーは入場制限がかかるほどの人気、メルカリで野菜の直接販売を行う農家も出てきました。
ICT利用でできることが一般化するに伴い、人に直接会う・商品に直接触れて検分することの価値がこれまで以上に高まる時代。消費者は事前情報を集め、何を信じるか、直接行動する価値は本当にあるかを見定めています。
直接の行動を求めなくとも出せる価値はどうにかICT化できないかを検討し、心情的距離を近く親和性を高めることで、本来のかえがたい価値と架橋することが求められます。
ゴルフでいう本来のかえがたい価値とは、例えば“ゴルフを通じた自己研鑽と交流”です。
クラブのサブスク化による利用者コミュニティ形成、現地で誰かと会えるゴルフを目指した会員の交流促進、職員やレッスンプロのメディア化など。
オンライン朝ヨガを真似た「自宅で行うオンライン早朝ゴルフエクササイズ」など、一方通行ではない双方向型の“自己研鑽と交流”創出が未来の潜在需要を高めることにつながるでしょう。
この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2020年6月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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