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Covid-19が示唆しているもの

ニュース 松尾俊介

新型コロナウィルス感染症(Covid-19)は世界的に猛威をふるい、ゴルフ界も大きな影響を受け続けています。政府は6月19日、全国の移動制限(自粛)を解除して、経済活動の再開を促しましたが、以後、感染者の数が増えるなど予断を許さない状況が続いています。

振り返れば4月7日に緊急事態宣言が出され、行動の自粛が求められました。ゴルフ練習場やゴルフ場は休業要請の対象施設から外れたとはいえ、通常の営業はできず、顧客と従業員の健康に細心の注意を払いながら営業しました。

施設内で感染者がでると即営業停止となり、しばらくは営業ができない状態が続くため、細心の注意が払われたのです。

そのため全日本ゴルフ練習場連盟や日本ゴルフ場経営者協会などは、独自の営業や運営に関するガイドラインを策定し、会員及び非会員の事業者に対しても順守を依頼しました。

プロのトーナメントは女子の「アース・モンダモミンカップ」で「開幕」したものの、その後の試合は中止続きで、多くの試合が中止や延期となっています。

リーダーの条件とは

このような未曾有の危機に際した時、現状をつぶさに視察し、情報を集め行動指針(ガイドライン)を示して進むべき方向とゴールを設定し、なぜそれを行うかの説明をした上で実行に移すことがリーダーの役目だと信じます。

リーダーは、平時の時は静かに状況を見ながら予定通りコトが進んでいるかをチェックするだけで、目立たない存在ですが、危機の時は先頭に立ち、混乱状況で右往左往している状況からいち早く抜け出し、正しいと思われる方向へと舵を切る役目を担っています。

真のリーダーは自分の役割、立場が分かっている人で、それだけに仲間たちから尊敬されリーダーに推挙されるのです。

ゴルフ界においてはゴルフ関連の16団体が集まって組織されたゴルフサミット会議というものがあり、ここが率先してメンバーを招集し、ゴルファーにはメッセージを、ゴルフ施設やゴルフ用品販売関連、そしてプロのトーナメントやアマチュアの大会などについてのガイドラインを作成して各団体に呼びかけ、統一した指針の中で行動できることがベストなのかもしれません。

しかし、残念ながら、日本ではサミット会議からはほぼ発信がされませんでした。加盟団体の一部が率先してガイドラインを出したのとは対照的です。

海外では各国のゴルフ業界の中心となる団体が率先して状況を把握し、そこから得られた情報を開示ながら行動のガイドラインを作成し、Covid-19の感染の拡大や収縮状況に応じた規制レベルを複数提示して行動していた点は、業界としてまとまっている、組織として機能している感を日本のゴルフ関係者は強く受けたと思います。

なぜ、日本はできなかったのか

私はゴルフ関連団体が16もあるにもかかわらず、それを統括する部門がないことが最大の要因と思います。そして、各団体は個々独立した形で存在するので、横(他の団体)との情報共有や連携がないので、全体が一つの組織として機能できないからです。

あたかも日本の役所と同じように縦割り的な形になっているからでもあります。

Covid-19の感染拡大という緊急の事態に対して、各団体は会員のための指針や行動という内向きの対処を迫られる状況の中で、どこかが率先して全体を見てリーダーシップを発揮することはできないのです。

ゴルフサミット会議はせっかく全てのゴルフ関連団体のトップが集まって行う会議ですが、ゴルフ業界を取りまとめて活動していこうという基本的な考えがないためリーダーが不在となり、日本のゴルフ界がカオス(混沌とした)となっているのです。

海外のゴルフ関係者からは「日本のゴルフはどこに話しを持って行ったらことが足りるのかが明確になっていない」という指摘を受けます。16ものドアがあればどれをノックしていいのか迷いますよね。日本のゴルフ界の玄関口がわからないので中に入りにくい状況なのです。

各団体とも、歴史や組織、人材などから日本ゴルフ協会(JGA)がやるべきでは、と思っているのか、それとも何か気兼ねしているのか、わかりませんが、サミット会議が中途半端な状態のままであることは不安です。

このままでは日本のゴルフ界は、各団体の組織がそれぞれの思惑の中で活動を行うので、日本のゴルフ界がどこに向かうのか、どのように発展していくのかが見えないのです。

このような状況で一番不利益を被るのは日本のゴルファーなのです。

JGAは競技団体なのか、それとも…

JGAの基本はゴルフ競技団体、アマチュアの由緒ある日本を代表するゴルフの協会です。この点では誰も異論はないと思います。

ただし、組織の母体がJGA加盟コースというゴルフ場なのです。競技者という個人ではないのです。JGAは日本を8つのブロックに分けた地域のJGA加盟コースで構成される組織の上に、それを統括する形で存在しているものです。

JGAの個人会員は地域の加盟コースのメンバーであることが基本的な条件となっています。競技団体ですが、選手が主体となっているものではなく、加盟しているゴルフ場が正会員である点が特異な点です。

JGAの存在意義、目的はなんでしょうか? JGAの約款、第3条は協会としての目的ですが、このように記されています。

この法人は我が国におけるゴルフ界を統一し代表するとともに、我が国のゴルフ規則制定などの最高機関として、ゴルフの健全な発展と普及を図り、もって国民体力の向上、社会、文化の発展並びに国際親善に寄与することを目的とする。

第4条は事業で、10項目を挙げています。1〜9項目までは競技に関することですが、10番目として、その他目的を達成するために必要な事業と記してあります。

JGAは、約款からすれば競技団体であることは間違いないのですが、目的の最初には日本におけるゴルフ界を統一し、代表するとあり、事業も目的を達成するために行う、となっています。

日本のゴルフ界の将来を考えると統一した組織は必要

感染症という一つのウィルスがもたらした影響は世界を激震させています。

私たちはCovid-19の被害者という認識ではなく、これからはこのようなことが常に起こりうるものという認識を持って、新しいやり方をこの貴重な経験から学ぶ時が来たと思います。

そのためには、いつどのような形で感染症や自然災害など大きな出来事が起こっても対処できる柔軟かつ多様性があり、持続可能な組織や体制を作る必要に迫られています。

同時にCovid-19の影響で経済的な問題でゴルフができなくなる人が相当増えると予想されます。現状の中でもゴルフを積極的にしている人は多いのですが、経済的な影響が広く出てくるのはもう少し後になってからです。

それに2025年には団塊の世代が75歳を越える年齢に達し、今のペース以上にゴルフ人口が減少します。若年層や女性は思ったようにゴルフに興味を示していない現状もあり、今、抜本的な対策を取らなければ間に合わない、躊躇している時間などないのです。

新・日本ゴルフ協会構想

JGAがその目的に日本のゴルフ界を統一し代表とするのであれば、率先してその形をより明確にして行動に移す時期に来ていると思っています。16団体をあるべき形に統合するものです。

そのためにはたたき台的なものが必要ですが、自分としては(全くの私見ですが)このように考えてみました。

新しい統一された組織の一つの例(案)としては8つの部門にわかれます。
1、 競技部門(プロ、アマの競技全般の企画及び開催)
2、 施設部門(ゴルフ場、練習場などの施設)
3、 普及・育成部門(ゴルフアカデミーの構築、この中にプロ認定、インストラクター資格認定、ゴルフマネージメント業務の認定、ゴルフの普及活動)
4、 マーケティング部門(協会としての活動戦略、ブランドの構築と管理)
5、 国際部門(海外のゴルフ協会との交流)
6、 用品用具部門(製造部門、小売部門)
7、 財務部門(財務に関するすべて)
8、 渉外部門(ゴルフ業界以外の団体や組織、企業との関係構築)

各部門の業務内容は次回書かせていただきます。

新しい組織がなぜ必要なのか

なぜ、そう思うのか、先走りすぎないか?今の日本では無理、まとめて引っ張って行く人がいないから、という声も聞かれます。

しかし、それぞれの組織の中にはこのような改革をしなければ、と考えている人たちも少なからずいます。その人たちが明日の日本のゴルフ界を牽引していく基礎を作る人たちです。

考えるだけではダメです。できることから行動に移さなければ、何も変わらないからです。

よく考えてみてください。

日本のゴルフ用品市場は世界のゴルフ市場の中でアメリカの44%に次いで世界で第2位の24%という規模を持つ(2018年データーテック調べ)もので、ゴルフ場数、ゴルフ用品市場も単一国家の規模としてもその雇用数も最大規模なのです。

しかし、その内情は厳しく、従来のやり方では発展どころか縮小現象を食い止めることができない状況下にあることが明白となっているのです。

バラバラに機能している組織の集まりではダメなのです。早急に全く新しい組織を構築し、人心を一新して新しい時代にふさわしい活動をしていくしか方法はないのです。

新しい組織は米国やヨーロッパ、そしてアジアを始めとする国々にも影響を与える要素を持つだけでなく、優れた品質、開発能力を持つ日本の各種産業とも連携をとれば、世界でビジネスチャンスを広げる可能性を持てるからです。

業界全体を網羅し、あらゆる事態にも対処できる柔軟で多様性に富み、継続可能な組織を構築する、今がその時なのです。

いみじくもCovid-19が「新しい日常」を示唆したのなら、これを絶好のチャンスと捉え前進しようではありませんか。日本のこれからのゴルフの正しい発展と普及のために。


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ライター紹介 ライター一覧

松尾俊介

松尾俊介

1949年12月23日生れ  神奈川県出身
東海大学工学部航空宇宙学科卒、在学中は体育会ゴルフ部副将および関東学生ゴルフ連盟の連盟委員を兼務。パイロット志望から一転してゴルフ用品販売業務に携わる。ゴルフ工房を主宰しながら1988年からフリーランスゴルフライターとしても活動。国内外合わせて25のゴルフクラブメーカを取材し、記事として各誌に掲載する。「良いゴルフクラブとは何か」をテーマに取材活動を続ける。1989年米国キャロウェイゴルフの取材と掲載記事をきっかけに親交を深める。

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