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発売前に完売した「帝王」と「神の手」の合作 『ニクラウス・ミウラ』アイアン

ニュース 片山哲郎

「帝王」ジャック・ニクラウスが設計・監修し、ヘッド研磨で「神の手」と呼ばれる三浦勝弘氏(三浦技研会長)がマスターモデルを削った『ニクラウス・ミウラ記念アイアン』。今秋を目処に米ミウラゴルフ(MG社)が発売する予定だったが、予約段階で完売したという。

価格は8本組(3~9番、PW)で約2000ドル、バックフェースにニクラウスのサインが刻印された流麗なマッスルバック。往年のファンならずとも垂涎の逸品といえるだろう。三浦技研の三浦信栄社長によれば、

「この件についての取材は今回が初めてです。なので日本のゴルファーは、記念モデルの存在さえ知らないと思います」

つまり、知らぬ間に生まれて知らぬ間に完売した「幻の合作」ということになる。帝王80歳、神の手77歳。そう考えれば「最後の合作」となる可能性も否めず、手に入れたかったファンは多いだろう。しかし、同社がPRしなかった背景には多少複雑な事情がある。

日米の資本関係は解消

このモデルが米国でアナウンスされたのは7月半ば、ニクラウスが大会ホストを務める「ザ・メモリアルトーナメント」(7月16~19日、米オハイオ州ミュアフィールドビレッジGC)においてだった。

直後に米国のファン1000人超から購入の申し出が殺到したが、そもそもニクラウス自身の要望で、彼が設計・監修した世界400ほどのゴルフ場で販売する方針だった。三浦技研への製造依頼は300セット。米MG社はこれ以上作るつもりはないと頑なで、

「日本にもニクラウス設計のコースはありますが、ほとんど入って来ないと思います」

三浦社長は諦め顔でそう話す。

三浦技研で製造した『ミウラ』ブランドの製品なのに、なぜ、日本で発売されないのか? 単純な疑問がわくのだが、実は米MG社と三浦技研は資本関係を解消しており、今回のモデルはMG社とニクラウスの会社で契約が交わされた。三浦技研は製造に徹する立場なのだという。

「25年ほど前、当社の会長とその友人が出資してカナダにミウラゴルフを設立しました。三浦技研のクラブを世界で販売する目的でしたが、その後、新たな投資家が現れてオーナーが代わり、会長の出資金も返された。『ミウラゴルフ』という社名ですが、うちとの資本関係はないのです」

とはいえ、MG社は今も三浦技研のモデルを中心に販売しており、『PXG』と同じ高価格帯に位置する人気ブランド。ゴッドハンドのファンは米国にも多く、『ニクラウス・ミウラアイアン』もその流れで同社の製造となった。

「そこで日本で販売する可能性を打診しましたが『今回は300セット以上やるつもりはない』と言われましてね。ニクラウスの設計コースが400とすれば、100コースは手に入りませんが、それでも300セットで変更はないと」

そんなわけで、日本で発売される余地はなさそうだ。

今後「帝王」と「神の手」の合作はあるのだろうか?

冒頭の写真(三浦技研提供)は2014年10月8日、プライベートジェットを飛ばしたニクラウスが同社を訪ねた一枚。

「上海から岡山経由で、当社(兵庫県市川町)までわざわざ来てくれました。会長は以前もニクラウスのアイアンを手掛けており、信頼関係を築いてます」

だとすれば、日本のファンに新たな「合作」を提供してもらいたいもの。本家として、三浦技研の巻き返しが期待される。


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ライター紹介 ライター一覧

片山哲郎

片山哲郎

1962年8月3日生まれ、東京都出身。
「月刊ゴルフ用品界」(GEW)を発行する株式会社ゴルフ用品界社の代表取締役社長兼編集長として、ゴルフ用品産業及びゴルフ界全般の動向を取材、執筆。2014年4月から3期6年、日本ゴルフジャーナリスト協会会長(現顧問)

ほかに武蔵野美術大学特別講師(ゴルフビジネス論)、インタラクティービ(J:COM)番組審議会委員、大学ゴルフ授業研究会理事、ゴルフ市場活性化委員会マーケティング委員(各現任)

信条は「人の至福は健康で長生きすることであり、これに寄与できるゴルフは『善』である。善なるゴルフ産業が健全発展するために、建設的な批判精神をもち、正確、迅速、考察、提言を込めた記事を書く」――。

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