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NGKとPGMが「握手」 二大ゴルフ場勢力がコロナで市場改革に意欲

ニュース 片山哲郎

単独系のゴルフ場210コースを束ねる日本ゴルフ場経営者協会(NGK)の手塚寛理事長。一方、国内141コースを運営するパシフィックゴルフマネージメント(PGM)の田中耕太郎社長。

二人は共に業界歴「40年」のベテランだが、今回の対談が初対面だった。

疎遠だったのには理由がある。NGKの加盟コースはピーク時に450を数えたが、バブル経済の崩壊で多くが経営破綻となり、外資系ファンドに買収された。

ゴールドマン・サックスがアコーディア・ゴルフ、ローンスターがPGMをつくったわけだが、その傘下に入らず生き残ったNGKの会員にしてみれば、PGMは「旧友の仇敵」といえる存在。それだけに、両者の没交渉時代は長かった。

ところが、コロナの蔓延で事情は変わった。あらゆる産業で「ニューノーマル」の在り方が問われ、コロナの力を借りる形で新しい経営に舵を切る。ゴルフ業界も過去の因縁にとらわれている場合ではない。

NGKとPGMを合わせれば351コース。国内約2200コースの16%を占めるだけに、両者が握手をすればゴルフ産業を動かす力を持てる。さて、どんなことが話し合われたのか?
(司会・GEW片山哲郎)

以下の対談内容はGEW7月号(7月1日発行)に掲載された内容をウェブ用に要約したものです。

コロナと台風が二大問題

G 二人とも業界歴ほぼ40年のベテランですが、意外なことに初対面なんですね。

手塚 お互いにゴルフ場は近いんですけどね(笑)。ウチの東我孫子CCは去年の台風でかなりやられて、27ホール中9ホールが復旧していません。

PGMさんのクリアビューも同じ利根川の河川敷ですよね。

田中 はい。ウチもかなりやられましたが、台風は今後、業界最大の問題になると思います。

一昨年の西日本豪雨では、系列コースのひとつが土砂崩れで進入路から何から消えてしまった。あの光景は言葉を失うほどの衝撃でした。

手塚 それに今はコロナでしょ。第2波が来る中で収束の目処がまったく立たない。どうですか?

田中 同感ですねえ。コロナの状況は誰にも読めませんが、ただ、飲食や旅行業などに比べればゴルフはマシだと思えます。

海外旅行もしばらくできないので、その分、国内旅行に回ると思えるし、ゴルフは他の業界に比べればまだ恵まれているほうでしょうね。ところで、NGKの会員数はどれぐらいですか?

手塚 正・副会員を合わせて210コースです。

田中 副会員とは?

手塚 副会員というのは、複数のゴルフ場を持つ会社は1コースが正会員になると残りは「副」でいいんですよ。年会費は正会員が10万円、副会員は1万円です。

田中 それは、安いですねえ。

手塚 近年はいろんな活動をしています。ゴルフ場におけるコロナ対策のガイドラインを作成したり、地球温暖化で大型台風が頻発するから、被害調査や対策作りも我々の仕事です。

コロナのガイドラインにつきましては、国から様々な業界団体に「作れ」とお達しが出ましてね、その受け皿がゴルフ場の場合はNGKだったわけです。

田中 あのガイドラインは、非常に素早かったですね。当社も独自に作りましたが、NGKのは業界の指針なので、参考になったゴルフ場は多いと思います。

手塚 ありがとうございます(笑)

競技ゴルファー中心の在り方に疑問

田中 あのぉ、こんな話をしていいですか?

手塚 どうぞ。

田中 ご承知のようにゴルフ界には競技会中心の団体があります。

G JGAやKGAなどですね。ほかにも県や地区単位で競技会を統括する団体が全国にある。

田中 それが、コロナで競技ができなくなった。で、何が起きるかというと年会費の問題ですよ。

我々が競技団体に収める年会費は「倶楽部対抗」に参加するのが目的みたいなものですが、団体に加盟しないと一部のメンバーから「なぜウチは入らないんだ」とクレームを受けることもあります。

G 倶楽部対抗戦は、ゴルフ団体の加盟コースの対抗戦だから、基本的にそこの会員じゃないと参加できない。

田中 でもね、世間は未曽有のコロナ不況で、にも関わらずゴルフ場は固定資産税に消費税、利用税も払っていて、その上、競技団体の年会費もある。

手塚 なるほど。コロナで競技会が自粛なのに、払うんですか、と。

G つまり、コロナを機に競技団体から脱退しようという話になるわけですか?

田中 いや、そこまでの話じゃなくて、せめて減額措置を講じるぐらいのことは、

手塚 あっていいと思いますね。

G PGMとNGKが連名して、減額の要望書を提出する?

手塚 まあ、少なくともですよ、活動の中心である競技会がないわけだから、要望書云々は別にしても一考に値する話ですよね。

田中 それだけじゃなく、ゴルフ場には緑化協力金やゴルフ振興金もあるじゃないですか。具体的な効果が確認されずにどんどん膨らんで、その膨らみが放置され、まとめる機関がないまま肥大化した。

この現状は問題だと思いますよ。

ゴルフ振興金の使途を考える

G ゴルフ振興金の在り方は再考する必要がありますね。そもそも振興金は、ゴルフが国体種目になって、各県が代表選手を強化する名目で来場者から一人数十円を取りはじめた。

徴収するのは各県のゴルフ連盟で、47都道府県の7割ほどが取ってます。

田中 そうですね。

G 総額は年間10億円超と言われますが、徴収元の「県連」は任意団体が多いから、使途が公表されないケースも目立つ。

過去10年20年の積み上げで数百億円規模になりますが、これが雲散霧消しているわけです。その金で、エリートジュニアの遠征費にグリーン車を使ってないでしょうねと、そんな疑問もわくわけです。

手塚 まあ、先ほど競技団体の話が出ましたが、ゴルフ場経営の立場で思うのは、振興金も競技団体の年会費も根は同じだと思うんですよ。つまりトップアマの過剰な優遇です。

JGAハンディの保有者は1コース当たり50人もいないと思いますし、なのにそのコースのトップ30人ぐらいのために年会費を払っているようなものですから。

G いくらですか?

手塚 わたしは朝日コーポレーションの社長を務めていて、国内7コースを運営していますが、会費総額は年間数百万円になります。

少数の競技層のためにこれだけの負担をするわけだから、他の会員の不満が募って当然でしょう。

G しかも、競技が強いゴルファーは威張りがちです。倶楽部の中で大きな顔をするから評判が悪い。

手塚 そういった風潮は否めないでしょう。

G フォーティーンを創業した竹林さんは日本オープンのローアマ(77年)ですが、ある時期、競技ゴルフをスパッとやめました。

理由はゴルフが強い連中の振る舞いで「なぜ彼らは食堂で大声を出すのか。風呂場で我が物顔に振る舞うのか。なぜ、普通でいられないのか。それが嫌で嫌で仕方なくて、競技ゴルフをやめました」と。

田中 その話はよくわかる部分もありますね。わたし自身、20代の頃はゴルフ場の支配人をしてましたが、当時苦労したことのひとつがそれなんですよ。

当時は一部のメンバーが『俺のカオで安くしてくれ』とか、幅を利かす振る舞いもあって、支配人によってはハイハイ聞いてしまうこともある。実は(彼らの存在が)若者や女性ゴルファーが増えない原因のひとつだと思えます。

G 黒光りの顔で睨みをきかせる。縄張りに入ってきた新参者を威嚇するように。

田中 若者が初めてゴルフ場に来て、一度アレをやられたら、二度と来たくなくなるでしょうね(苦笑)

G ゴルフ場はなぜ、彼らに弱腰なんですか?

田中 弱腰というか、いくつか理由がありますが、ひとつは預託金問題でしょうね。

無利子無担保の預託金を会員からたくさん集めて、それを(民事再生等で)飛ばしてしまったから、メンバーに対して強く出られない面があると思います。

手塚 日本のゴルフ場は9割が会員制ですからね。そんな中で強い選手が威圧するように映るから、余計風当たりが強くなるのかもしれません。

利用税撤廃を条件闘争に

田中 実は今年「緑の甲子園」を応援することにしたんです。今年はコロナで中止になりましたが、高ゴ連から「ゴルフにも甲子園みたいな聖地がほしい」という話がありましてね。

栃木のサンヒルズ(36H)は宿泊施設も完備しており、近隣のピートダイ(18H)と併せて「聖地化しよう」と。

手塚 それはいい話ですね。

田中 わたしはゴルフをレジャーからスポーツにしたい、スポーツ文化としてこの国に根付かせたいと思っているんです。

そのためには、高校に野球部やサッカー部があるように、ゴルフ部を増やさないと文化にならない。

そこでゴルフ場利用税の問題です。業界は全面撤廃を主張しますが、それだと財政がまわらない自治体も出てくる。当然、抵抗しますよね。

ですから全面撤廃なんて絵空事を言ってないで、利用税の一部を高ゴ連の地区予選に充てるとか、具体的な案を示す必要があるわけですが、一企業では限界があるじゃないですか。

そこで業界を代表するNGKさんと共同歩調を取りたいと、そんな思いもあるんです。

G 利用税は「スポーツ課税」として評判が悪いですが、これがなくならないのは「ゴルファーは金持ちだから担税力がある」という徴税側の理屈ですね。理屈というか、思い込みだけど。それで1ラウンド500~1200円程度の幅で取られるのが一般的です。

手塚 だけど今は金持ちだけがゴルフをしているわけじゃないし、プレー料金もバブル時代に比べれば格段に下がっている。その中で利用税を取るのはケシカランと、業界は全面撤廃を主張してきました。

ただ、おっしゃるように実現性が薄いわけだから、全面撤廃じゃなく「条件闘争」に持ち込んで具体的な道を探ろうと、わたしは以前から主張してるんですよ。

田中 まったく同感です。以前は「娯楽施設利用税」として麻雀やダンスホールと同じ括りだった税金が、今はゴルフ場利用税になって進歩というか、それで条件闘争がやりやすくなった面もありますよね。

G 進歩ですかねえ。消費税の導入で「娯楽税」が撤廃されたものの、ゴルフ税だけが名前を変えて残ったのは業界の敗北じゃないですか。

田中 まあ、そういう考えがあるとしても、課税の名目が「娯楽」から「ゴルフ」に限定されて、税の10分の7がゴルフ場所在地の市町村に落ちるわけだから、条件闘争はしやすくなったはずですよ。

撤廃じゃ地方財政はまわらないから、撤廃をゴリ押しするのではなく、せめて一部をゴルフ振興に戻してくださいと。利用税の一部が「緑の甲子園」に使えれば、本当に大きいですからねえ。

G 利用税は500億規模だから、1割でも50億円程度になる。

手塚 田中さんがおっしゃる高校ゴルフの支援策は、条件闘争を具体化するための一案にはなりますね。

田中 そうなんです。是非、NGKさんと共同で働き掛けたいと。そんな思いがあるんですよ。

コロナでスルーは定着するのか?

G 若者ゴルファーを増やすことは業界の大きな課題ですが、その際の障害は「ゴルフは丸一日掛かる」という時間的な問題があります。せめて半日になればプレー人口が増える可能性が高まりますが、コロナの「3密回避」でスルーが浸透すれば時短も定着する。どうですか?

田中 うちは緊急事態宣言中の5月に全コースでスループレーを可能にして、約80コースのレストランを閉めました。つまり「スルー専用」の実験をしたわけです。

約60コースはレストランを開けて、閉めたところと比較したら、開けたほうの収益が高かった。

手塚 それは頷ける話ですね。昔、鎌倉パブリックでスルーを試したことがあるんですよ、午前と午後の二部制にして。これが見事に外れたのは、午前はアッという間に埋まりますが午後がまったく埋まらない。

食堂の売上もどーんと落ちて、半年後に分析したら、まずは交通事情の問題があった。沖縄と北海道は時間が読めますが、本土で11時頃のスタートだと渋滞にハマってまったく読めない。

田中 最初の1年はおっしゃるように午後がダメで、安くしても埋まりません。ただ、3~4年続けると浸透する。その3~4年が厳しいわけですよ。

当社の系列のKOSHIGAYA GCは5年ほど前に改造して、スルーやツーサムを導入しましたが、今は午前も午後も満杯です。粘り強く続ければ、いずれ浸透するわけですが。

手塚 あそこはメディアもよく取り上げてますね。コンパクトなハウスの屋上でバーベキューとか、アメリカ的な要素もあって。

田中 そうなんですよ。ハウスはハワイのタートルベイを意識して、もっとコンパクトにしようと思ったんです。練習場もオープンで、プレーしなくても勝手にどうぞ、そんな雰囲気づくりですね。

それでホットドッグも研究して、アメリカで食べまくりました(笑)

G KOSHIGAYA GCはホットドッグよりも、スパムの握り飯のほうが美味いですね。個人的な意見ですが。

田中 ん~、ホットドッグは本場に敵わないのかなあ(苦笑)

手塚 何が違うんですかねえ。

田中 なんかこう、ソーセージが違っていて、パンとの組み合わせがアレというか。

G 米軍がやってるゴルフ場(多摩ヒルズ)のホットドッグ、あれは断トツで美味いですね。ピクルスを刻んだのをたっぷりのせて、ソーセージもでかくてケチケチしない。あのケチケチしない感じが美味いんじゃないですか、アメリカ的で。

手塚 なるほどねえ(笑)

G スタート小屋でかぶりつくのがいいんですよ、アメリカ的で。

田中 なるほど。

ゴルフ場のスリム化を考える

手塚 あのお、これからのゴルフ場を考えるとき、ハウスの在り方が凄く重要になると思うんですね。ゴルフ場経営で金を食う大きな要素のひとつが倶楽部ハウスで、その補修やメンテナンスにコストが掛かる。

スタート小屋のホットドッグじゃないけれど、ハウスのコンパクト化ですね、導線を含めたハウスの考え方をどうするかは大きなテーマになるはずです。

田中 現状、大半のゴルフ場はハウスに投資する体力がないでしょう。

手塚 ですからゴルフ場経営をコースメンテナンスと機材関係、これにスタート小屋という形でやれば年間1億を目安にしてまわせます。

入場者4万人で客単価2500円、これに利用税500円を乗せて3000円。ハウスがなければ10~15人で運営できますから。

田中 そうですね。

手塚 で、売上1億を大衆化路線の目安と考えたとき、その収益構造をつくれないところは生き残りが難しい。特に北関東です。

田中 北関東はゴルフ場が多過ぎますよ。今の時代、東京から片道1時間半のコースには行きませんし、すると地元需要が大事ですが人口が少ない。北関東と兵庫の西、ここは淘汰される可能性が大きいでしょう。

手塚 それに輪を掛けたのが今回のコロナで、耐えられないところも出てくるでしょうね。

田中 そこでM&Aの話をしますとね、年間100コースほどの情報があるんですが、成立するのはせいぜい2から5なんですよ。売り主の提示額が高すぎて、我々とは感覚がまったく合いません。

G いくらですか?

田中 具体的には言えませんが、このコースで何十億はムリだろうというところもあって。今後、コロナと台風で経営は厳しくなるでしょうし、底値を見ている状況なんです。

G 大づかみな数字を言えば、先ほどの1億はボトムとしても、客単価1万円で年間来場者3・5万人。3億5000万円のキャッシュフローで運営できますか?

田中 一般的な話をすれば18ホールの基本コストは3億5000万円が目安です。諸々の税金にコース管理、人件費など全部入れて3・5億が損益分岐点になりますが、当然、平均来場者3・5万人を切るところもあって、客単価1万円も厳しいですよね。

これは推測ですが、国内2200コースの半分は償却前利益で赤字でしょう。減価償却後の会計上の利益だと、3分の2が赤字かもしれません。

3億5000万は絶対に掛かるし、客単価1万円は厳しいから、安全に見て4万人でペイできる。そんな目算を立てています。

ただ、これに台風など不測の事態も織り込む必要があって、先ほどもちょっと触れましたが、一昨年の西日本豪雨では進入路から何から全部やられて、直すのに数十億の出費ですよ。

G それでも捨てられない。

田中 はい。利益が期待できるゴルフ場であれば、中長期的には取り戻せますから。

手塚 単独系のゴルフ場だと数年間は耐えられない。そこはチェーンならではの強みでしょうね。

田中 おっしゃるとおりです。

「ゴルフ外収益」の可能性

G ゴルフ場経営をゴルフだけでやるのではなく、「ゴルフ外収益」はつくれませんか? 今後、収益の多様化は必要でしょう。

田中 それね、皆さん同じことをおっしゃいますが、特に地方のコースでは無理ですよ。ゴルフ外収益はKOSHIGAYA GCや東京、神奈川のコースはできますけど、その他は採算が合わない以前に需要もありませんから。

G 地元の陶芸家の販売会とか?

手塚 ダメですね(苦笑)。当社のこぶしGCは岐阜県可児郡で焼き物の町だから、一応、置いてはいるんですよ。だけどあまり売れないし、売れてもマージンくれとは言いにくいからボランティアみたいなもんですよ。

これからスルーがトレンドになるとして、プレー代が6000円なのに3000円の茶碗を買いますか? 片山さんもやってみればいいんですよ。

G ゴルフ場で物売りを?

手塚 そう。

G 売れない小説を販売する?

手塚 そうそう(笑)

G イヤですよ。

手塚 ほらね。なんでもそうですが、コメンテーターがテレビに出てきて無責任にああでもないこうでもないって言うじゃないですか。無責任に言いすぎですよ。

G ん~、素人は口を出すなと。そう言われると多少、ムカッ腹が立ちますけどね。

手塚 あははッ。失礼しました。

田中 実際、過去にサイドビジネスは沢山試しましたが、労力の割に採算が合わないんです。

たとえばレストランをプレーヤー以外に開放して地元の法事をやった、結婚式もやりました。そういうの全部やりましたが、結婚式の需要がないし準備その他で割に合わない。

やはりゴルフ場はゴルフ場として、空き枠にきっちり入れることが王道だと思いますね。

G 王道はきちんと守る必要があると。その上でニューノーマルの話ですが、いろんな世界で「新しい様式」が台頭しています。ゴルフの場合はどうですか?

田中 5年というスパンで見た場合、スルーは定着するというか、スルーにならざるを得ないと思いますね。

ゴルフ場にはいろんな悩みがありますが、総合するとコース管理とレストランの人手不足に集約されて、

手塚 だから外国人労働者の雇用が課題になるんですよ。

田中 なんですが、ゴルフ場経営はレストランをやめてスルーのほうが楽じゃないですか。

手塚 たしかに。

田中 外国人労働者は2種になっても(就労期間は)3年ですよね。

レストランの収益は大きいし、ハウス内の独占販売だから儲かりますが、ようやく仕事を覚えた頃に帰国するから、期限付きの雇用は足枷になります。

もうひとつの考え方は、昼休憩ありで一日50組が上限とした場合、スルーだと頑張れば75組入るんですね。1・5倍の入場者は大きいですよ。

稼ぎ頭の「法人コンペ」がなくなる?

手塚 スルーの定着でレストランをやめた場合、コンペのパーティはどう考えます? これ、かなりの稼ぎ頭ですが。

田中 3分の1は食事しないで帰る、残り3分の2に需要があったとしても、専門業者への委託とか方法はあると思いますよ。

手塚 問題は、コロナで法人需要が激減しただけではなく、仮にコロナが収まっても接待や法人コンペは不要という空気が蔓延すれば、かなり厳しくなると思うんですね。

特に法人コンペは受付に社員を出してくれるし、飲み食いにお土産の売上もあるから、これがなくなるのはデカいですよね。

田中 そうですよねぇ。ウチは4~5月の入場者が3割減って、3組以上のコンペがなくなったことで売上は4割減ですよ。

ご指摘のようにコンペの飲食とお土産が響いたわけですが、今後ワクチンができてどうなるのか。そのあたりは見えません。

手塚 ワクチンができて終息しても、法人ゴルフは不要という空気の蔓延がね、ちょっと怖い。

田中 わたしも同じ心配をしてますが、仮に法人コンペが低調でも単組でどうにか頑張ろうと、粘り抜くしかないですよね。

PGMがNGKに入会

G ここで肝心な話、そもそもPGMはなんでNGKに入らないんですか? 手塚さんの代わりに聞きますけど(笑)

田中 あのぉ、意識的に入らないということじゃなく、あまり意識しなかったというのが正直なところなんですね。それと、入会すると系列の全コースが会員になって、多額の会費になるんじゃないかと、

手塚 いや、先ほどもちょっと触れましたが、会社として正会員の10万円を払えば系列コースは副会員で1万円だと。

しかも、系列全コースが「副」になる必要もなくて、仮に御社が全国6ブロックに分けていて、各地区に代表的な6コースがあるとすれば、そこだけ副会員になってもOKなんです。

田中 アッ、それじゃ入ります。

G ハイ、決定! 今後NGKの理事会に諮る必要はあるでしょうが、基本的な入会の流れはできましたね。ここで手塚さん、NGKのPRをしてください。

手塚 そうですか(笑)。実はあまり知られていませんが、凄い活動をしてるんですよ。そのひとつが固定資産税の値下げで、鎌倉にある2コース(各18H)はピーク時の税額が合わせて1億5000万円でしたけど、我々が折衝した結果、合計6000万円になったんです。

田中 ほお~。

G 固定資産税が半額以下?

手塚 はい。まずは総務省と5年間勉強会を開きましてね、評価基準の見直しに漕ぎ着けた。で、総務省が各自治体に通知して、東京を皮切りに他も付随して下がったという経緯です。

NGKの活動を知らない人は「自治体が勝手に下げたんでしょ」と言いますが「いえいえ、違います。我々が運動した成果なんですよ」と。

それと河川敷の話をすれば、NGKは当初から河川敷問題の情報交換が活発で、協会内には河川敷委員会があるんですね。

全国の河川敷経営者が集まって話し合い、各コースが個別に県や国交省と折衝してきました。

田中 そうなんですか、それは幅広い活動ですねぇ。河川敷は国有地だから、会員権問題もあるじゃないですか。そんなことも含めて、NGKさんが代表になって行政と折衝するわけですね。行政以外のこともまとめて頂きたいし、我々も協力は惜しみません。

手塚 ピークの加盟数は450コースほどあったものの、バブルの破綻で日東さんが抜け、スポーツ振興が抜けるといったように大口の会員がどんどんなくなった。

それで今の数(210コース)なんですが、とにかくこの業界は国と折衝する代表機関がないと間違いなくダメなんです。個別にはね、地区地区でゴルフ場同士の競争はあるでしょうが、それはそれとしながらも、国との折衝や業界の底上げを全体でやらないと他の産業に負けてしまう。

田中 まったくおっしゃるとおりだし、その考えには完全に賛同します。

ゴルフをスポーツ文化に育てたいという想いの中で、業界団体が力を持つことは必要ですよ。力を合わせて一緒にやっていきたいと、真剣にそう思いますね。

手塚 ありがとうございます。

田中 用品もトーナメントも何もかも、この業界はゴルフ場がないと成立しない。

サミット16団体にはいろんな協会がありますが、イニシアチブを取るべきはゴルフ場だし、その経営者の集まりであるNGKが中核にならないとダメですね(笑)

G 国は業界団体の組織率を重視します。全体の1割程度だと業界を代表してないじゃないかと。

田中 そう、大きくすることも必要でしょうね。

G その際、手塚さんが大変そうなのは、バブル破綻で多くの「旧友」がハゲタカファンドに買収されたし、買収した一翼がPGMだと。そんな恨みがNGK会員の一部に残っているなら、これを越える必要がある。

手塚 いや、わたしはとっくに越えているし(苦笑)、何より大事なのは大同団結じゃないですか。まずはこれをやらないと、業界の未来は描けませんから。

田中 一緒にやりましょう!


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ライター紹介 ライター一覧

片山哲郎

片山哲郎

1962年8月3日生まれ、東京都出身。
「月刊ゴルフ用品界」(GEW)を発行する株式会社ゴルフ用品界社の代表取締役社長兼編集長として、ゴルフ用品産業及びゴルフ界全般の動向を取材、執筆。2014年4月から3期6年、日本ゴルフジャーナリスト協会会長(現顧問)

ほかに武蔵野美術大学特別講師(ゴルフビジネス論)、インタラクティービ(J:COM)番組審議会委員、大学ゴルフ授業研究会理事、ゴルフ市場活性化委員会マーケティング委員(各現任)

信条は「人の至福は健康で長生きすることであり、これに寄与できるゴルフは『善』である。善なるゴルフ産業が健全発展するために、建設的な批判精神をもち、正確、迅速、考察、提言を込めた記事を書く」――。

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