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アコーディア元社長の竹生氏が「国内2000コースは生き残れる」と語る根拠

ニュース 片山哲郎

コロナ禍の影響で、ゴルフのカジュアル化が進んでいる。定番の18ホールではなく9ホールのプレー、あるいは昼食休憩を挟まないスルーや2人でまわるツーサムなど、「ニューノーマル」なゴルフスタイルを取り入れるゴルフ場が増加中。

実は、このようなスタイルを率先して導入したのが大手ゴルフ場チェーン、アコーディア・ゴルフ初代社長の竹生道巨氏だった。今年70歳。現在はゴルフ場コンサルを主業務とするエム・シー・シーの代表取締役を務めている。

「わたしがやりたかったことが、ようやく起きている。安く楽しくプレーできるゴルフ場の経営環境を整えれば、国内2200コースのうち2000コースが生き残れると思います」

ゴルフ人口は800万人規模とされ、このままでは多くのコースが潰れるのではと懸念される中、同氏の戦略的な楽観論は傾聴に値する。さて、どうすればいいのか?

久々のメディア登場で、竹生流「活性術」が明かされた。
(聞き手・GEW片山哲郎)

コロナで運営方式が変わる

最近のゴルフ界の印象はどうですか?

「まあ、コロナという特殊問題は別にしても、わたしが20年前にやりたかったことが2~3年前から起きてきた、そんな印象をもっています。コロナをプラスに考えれば、変革が一気に進むかもしれません」

そのあたりの考え方はのちほど伺いますが、竹生さんは米国の名門リビエラCCを長くマネージして、その後アコーディアの社長としてカジュアル化を進めてきた。つまりハイエンドとカジュアルの両極を熟知しているし、それが竹生イズムだと、そんな解釈でよろしいですか。

「まあ、そうですね」

合ってますか?

「合っています(笑)」

そのような知見を活かして、今はゴルフ場のコンサル業を行っていると。

「『業』というほどの生業ではありませんが、わたしの経験がお役に立てばということで、いろいろな相談に乗っています。

細かいことは言えませんが、元アコーディアの人間がそれぞれ50コースほどにいるんですよ。役職は様々で、社長だったり本部長、支配人の場合もありますが、そういった方々を中心に相談があるんです」

どんな相談ですか。

「たとえば『3密』の回避でゴルフ場のレストランを閉めるのか、続けるのか、あるいはセルフプレーへの対応も従来とは意味合いが違っていて、非接触の観点から考えるとか。

お客さんがキャディバッグを担いでハウスの中を突っ切っていいものだろうか、また、感染防止を考えれば自分の持ち物を他人に触らせないのが無難なので、そのあたりの考え方や対応をお客さん目線で考えるわけです」

それは単に非接触だけではなく、導線全体の話ですね。

「おっしゃるとおりです。感染防止でロッカーを使わない場合、駐車場でゴルフシューズに履き替える。すると駐車場とエントランスの導線も考える必要がありますし、お風呂をシャワーにして使わせるにしても、ロッカールームと浴場の密度を減らす必要がある。

そしてこれらは、スルーの話やキャディバッグの管理にもつながってきます。たとえばセルフプレーを基本としてお風呂場を使えるようにした場合、その間のゴルフクラブの管理ですね。保管場所でカギが掛かるところはいいですが、従業員の管理で手渡しの場合はそれをやめて、プレー後にバッグをクルマに入れてもらう。

そこで靴を履き替えてシャワーを浴びて食事をするといったように、流れをつくる必要があるわけですよ。その導線の判断に現場は困っているので、」

その都度、現場に行かなきゃいけない?

「いけないわけではありませんが、行かなければ具体的な事象がわからない面もありますよね。それで月の半分ぐらいはゴルフ場に通っています」

多忙ですねえ。「コロナバブル」が竹生さんに起きている。

「いえいえ、わたしには起きていませんよ(苦笑)」

百害あって一利なしの「ツツジ」

以前、竹生さんにこんな話を聞いたことがあります。コースメンテの際、フェアウェイの150~220ヤードの幅は散水を少なくして地面を硬くする。なぜなら大半の着弾点はその範囲に収まるから、コーンと跳ねて飛距離が伸びる。ゴルファーは喜ぶじゃないですか、と。

「はいはい(笑)」

竹生さんはゴルファー・マインドの経営視点ですね。

「そのマインドはとても大事でしてね、ほかの例ではカートの乗り入れもあります。アコーディアの場合は大半のコースで乗り入れが浸透しましたし、他のゴルフ場が乗り入れをしなければ希望者はアコーディアに行きますよね。

特に夏はラクだし楽しいし『安くて楽しい』ということが非常に大事なので、すべての考えはここに帰結します。

大事なことは、安いからメンテナンスが荒れて顧客満足度が下がるということではなく、いい状態を維持しながらコストを下げる余地は沢山あって、手付かずの部分は多いんです」

コストの削減はハイテクの利用によるものですか? 楽天は先日、ドローンで芝の状況を把握して、管理の人的負担を減らす事業を発表したし、PGMも自動芝刈り機の導入を始めています。

「という話の前に、できることは沢山あるんですよ。メンテナンス費用は一般的に5000万~1億円ですが、最低コスト4000万円を切っても綺麗に見せる知恵はいくらでもある。

日本のゴルフ場はどうしても日本庭園みたいに仕上げたいとなりますし、プレー目的じゃない場所にもコストを掛けますよね。たとえばティーイングエリアの囲いがあります」

垣根ですね、大概はツツジで。

「はい、アレがあることでいいことはひとつもありません。

単純に言えば芝は太陽と水と空気です。囲いがあれば、たちまち風通しが悪くなって日陰もできる。おまけに水も吸ってしまう。

囲いで入口を固定すると、プレーヤーはそこから入るので芝が摩耗しますよね。それでゴムマットを敷いたりするわけですが、それだけではなく、ティ位置は毎日変えるので入口からの距離が長くなる日もありますし、カートの停車位置も一定だからゴルファーにとって不都合が生じる」

なるほど。ツツジなんか切っちゃえと。

「切っちゃえということを含めまして、まだまだ遅れているんですよ。あの囲いを取るだけのことで、諸問題が解決しますから」

「預託金」は誰の発明?

日本のゴルフ場運営は遅れていると。その「遅れ」の原因は何ですか。

「総じて日本庭園のようにやりたがるのは、歴史の部分もあるでしょうねえ。ゴルフ場は日本庭園を意識して造ってきた歴史の中で、ハウス周りもそうだし、コース以外は押し並べて和風です」

それは時代の空気もあったんでしょうね。ゴルフ場の開発ラッシュは田中角栄の「日本列島改造論」(72年)が契機です。あの政策は全国を高速道路網でつなぎ地域格差をなくすのが目的でしたが、個人の移動も容易になって地方にゴルフ場が乱立した。

「ですから日本のゴルフ場開発は70年代と80年代、あの20年間で加速したわけですよ。90年代に入ってすぐにバブルが弾けますが、あの頃は預託金を集めてゴルフ場を造って、会員権を売ることが大事だったでしょ。

ツツジに罪はありませんが(笑)、そんな時代背景から高級な日本庭園風に見せたいという意識が働いたんでしょうね」

それで会員権を高く売ると。あの預託金は誰の「発明」なんですかね。

「ちょっと、わかりませんねえ」

実は多くの人に聞きましたが、誰もわからないんですね。預託金はのちにバブル三悪(土地、株、ゴルフ会員権)と呼ばれる土壌をつくり、ゴルフ悪者論の論拠にもなっています。

「そこは否定しませんが、ただ、わたしは全面的に悪かったとは思いません。預託金でゴルフ場の開発が進んだし、日本が繁栄した良き時代の象徴というか、結果的にこれだけのゴルフ場が財産として残りましたから。

実は、ゴルフ場開発はその国のいい時代に起きるんですよ。イギリスは1900年からサッチャー政権ができるまで、ゴルフ場はできていないんです。

ブリティッシュオープンをやるコースは1800年代の開場だし、一方のアメリカは、USオープンをやるコースは1900~1929年の開場なんですね。日本は1965年あたりに胎動しますが、先ほどの20年間が隆盛期です」

バブルの崩壊は91年です。

「そこから5~6年は造り続けましたけど、それは開発が始まると止まらない。勢いで続くわけですが、90年代の計画は実質的にほとんど頓挫したはずです。

繁栄の象徴としてのゴルフ場は財産だし、その財産をできるだけ多く後世に残して、安く楽しめる環境をつくるべきですよね。

一部のゴルフ場は別ですよ。アメリカのリビエラ然りですけれど、ハイエンドのゴルフ場は年会費での運営が大事ですから」

ゴルフは日本で「堕落」したのか?

リビエラの年会費はいくらですか?

「日本円で300万ぐらいで、ゲストがプレーする場合はメンバーのチャージになるんです。メンバーのゲストで350~400㌦になりますが、キャディに担がせてプレーするのが基本なので、キャディフィを含めてトータル500㌦ぐらいです」

アメリカのコース数は日本の10倍ほど?

「そんな感じでしょう。その中でリビエラ・クラスのハイエンドは5%もなくて市営のコースが多いわけですが、5割がプライベート倶楽部でしてね、住宅開発と一緒に造るのでカントリークラブなんですよ。

ゴルフ場はウエディングや地域のパーティもするし、住民のソサエティとして存在します。一方のイギリスはカントリークラブというよりはゴルフ倶楽部で、」

恐妻家が晩に集まって酒飲んで、奥さんの悪口を言うんですよね。

「それをやるにしても(笑)、基本はゴルフしたあとですから。マッチプレーでツーサムだと18ホールで3時間弱、その後軽く食事してお酒を飲んで、帰りたくない人はカードでもしようかと」

古いゴルフ倶楽部の門柱に「犬と淑女、入るべからず」と。恐妻家の英国紳士が蛮勇を振るって書いた言葉があるそうです。

「あははは。恐妻家というか、イギリス人のほうが男・女がハッキリしていますからねえ。どちらかといえば女性はあまりゴルフをしませんし、倶楽部もね、排他的といえば排他的だし。

英米で歴史が違うのは、アメリカは西部開拓で女性の数が少ないから、上手くおだてて扱わないと(笑)」

銃社会だから、レディファーストでドアを開けて、先に安全な場所に入れてあげる。

「それもありますよね。一方のイギリスは男女で棲む世界が違うんです。女性は女性のソサエティがあって、アフタヌーンティとか楽しむじゃないですか。対して男性のソサエティがゴルフ倶楽部ということです」

「ゴルフは英国に発祥して米国で産業化され、日本で堕落した」と言われますが、これについてはどう思いますか。

「堕落という意味がちょっとわかりませんが、まず、イギリスのゴルフは原っぱに始まり、アメリカではリゾートクラブを含めて綺麗に管理された世界に進化しています」

それで日本ですが、ゴルフをしない9割の国民から見れば、垣根の向こうで特権的に遊んでいると。ゴルフ場に土地を貸す地権者がメンバーになって理事になり、やたら威張る。ゆがんだ排他主義に映ります。

「まあ、そんな印象もあるかもしれませんねえ」

それを「堕落」と言ってます。

「なるほどね。バブルの前後を含めれば、たしかにそういった時期はありましたが、今の主流は地権者みたいな層ではなくて、きちんとしたビジネスマンですよ。

『堕落』という言葉は当たらないし、かつてビジネスマンだったリタイア層が年金生活でも十分楽しめる環境になっている。これはいいことじゃないですか。

わたしに言わせればこの15年くらい、日本のゴルフは『お年寄りバブル』だと思いますし、ご承知のようにこの年代は、日本の経済成長を支えた団塊の世代が中心です」

豪華なクラブハウスがお荷物になる

団塊の世代は1947年生れを先頭とした3年間の塊で、人口800万人超の大集団です。

「はい。15年前はその世代がビジネスの要職を担っていて、今はリタイアされてプライベートゴルフを楽しまれている。わたしはそれをお年寄りバブルと言ってますけど」

老人バブルは数字にも表れています。日本のコース入場者は70歳以上が2割強で、団塊を中心とした高齢化が顕著ですね。で、日本人男性の健康寿命は73歳だから、団塊がそろそろ「不健康寿命」に突入してシニア需要がどーんと落ちる。それが業界最大の課題です。

「統計上はたしかにそうです」

老人バブルはどうなります?

「それは、弾けます。ただしゴルフの特異性を見る必要もありますよね。健康寿命は平均値だから、不健康な方も混在するじゃないですか。

ゴルフを安く楽しくできる環境を整えれば、シニアの生活にゴルフが定着して、さらにプレー寿命を80歳にまで延伸できれば2023年に需要が急減するという論理は当たりませんよね。

ですから業界はその間、次の世代を育てる施策を打つことです」

次の施策とは?

「ひとつは完全セルフ化の運営スタイルです。先ほど導線の話をしましたが、ハウスの耐用年数は30年ほどで、」

なるほど。バブル前後に開場したところが軒並み期限を迎えるわけですね。

「そう。それでどうするかの話ですが、ハウスは一度壊して更地にして、建て直すのが一番安いんですよ」

簡易なハウスだと建設費用は3億ほど?

「そうですねぇ、どんなに掛かっても5億はしませんね」

償却期間はどれぐらいですか。

「償却は20年ほど見るわけですが、簡易な導線を作れば管理面積も減らせるなど、建て直しは完全セルフ化を含めた基本構想の要諦になるんですよ。

つまり、単にハウスの問題じゃなくて、ウチは今後どういったゴルフ場を目指すのかという思想や姿勢が求められる」

押し並べて「日本庭園」をつくったけど、今は金太郎飴的な経営ではなく、個々に哲学が求められると。

「はい。その際の問題はゴルフ場側の意識でしてね、自分達は『上の上』だと思っているハイエンドが1割として、8割は『上の下』か『中の上』だと思っているわけですよ」

その8割の横並び意識が壊れないと、自由な発想で大衆化できない。

「という話になりますよね。一方で本当のハイエンドは、キャディをつけて予約サイトには一切出さない。これを目安とすれば5%ほどじゃないでしょうか」

予約サイトに出さないのがハイエンドの条件というのは、会員以外の雑多な人々に来てほしくない、倶楽部ライフを重視するという考えですね。

「そうです。現状ではそれがステイタスで、プライベート感を維持するにはそうなりますよね。

ただし、いずれ転換期がくるでしょうし、コロナで収益が厳しくなれば『上の上』もネットに出すかもしれません」

するとどうなりますか。

「『上の下』に落ちるわけです」

で、何が起こりますか。

「5%の『上の上』が3%になるかもしれないし、8割の『中』が8割5分になるとかね。必然的にそのような動きが起こるでしょうね」

安く楽しいを実現すれば2000コース残る

つまり、総じて下に引っ張られる。それが大衆化の力学だとしても、逆に単価アップの力学を主張する考えもありますね。付加価値を高めて単価を上げれば、プレー人口が減っても金額ベースの市場規模は維持できる。

「なるほど。その意見は正しい理想論だとは思いますが、実際に大半のゴルファーは安いところへ行くわけですよ。

お客さんの選択基準は家からの距離とゴルフ場の知名度、価格とのバランスを取りながら5000~8000円のレンジに集まります。そこでとても大事なことは、全体的に価格が下がる中で自社の特徴をきちんと出すことですよ。

だって、世の中には同じゴルフ場、同じホールはひとつもないんですから」

大衆化を進めながらも個別の価値を高めていく?

「そういうことです」

その際、竹生さんの価値判断はどこに置くわけですか。

「単純に言うと、楽しいゴルフ場にできるかどうかです。たとえばアコーディア時代、有名設計家が手掛けたコースを高く評価する傾向が強い中で、わたしはその点をあまり重視しませんでした。

そういったところは『みんなが楽しい』よりも『みんなが苦しい』ほうが多いでしょ(笑)。ですから楽しみながらスピーディにまわれて、いいスコアがそれなりに出るところを評価しました。

その一方、ハイエンドの部分で申し上げるとニクラウス設計の石岡GCは非常にいいコースですが、インコースから出ると間が抜けるんですよ。あそこは1番から出てスルーでまわって、15、16、17、18がハイライトだから、本来はアウトからスルーの設計なんです。

日本は昼食休憩のツーウェイですが、あれこそスルーでやるべきですね。わたしの信条は『楽しいゴルフ場』というもので、ゴルフの楽しさを訴求してプレー頻度を高める仕組みを作れば、必ず市場は活性化します。

それで国内2200コースのうち、少なくとも2000は生き残れると考えています」

それは、業界の一般論とは掛け離れて多いですねえ。このままでは大半のゴルフ場が潰れるという悲観論が支配的ですが、竹生さんは楽観主義者?

「はい。ゴルフの本当の面白さを一度味わった人は、生涯ずう~っとやめられない。なので、どうハメるかが大事なんです」

ゴルフの「偏愛者」みたいなところもあるんですかねぇ。

「はい」

あるんですか?

「ありますよ(笑)。ゴルフは一人でもやれるスポーツだから、8割のコースが『安くて楽しい』を実現すれば生涯の顧客になってくれますし、生き残る方法は沢山ある。

でも、現実的には思い切った改革をしてないところが大半で、従業員を守りながら単価を下げない守りの姿勢じゃないですか。これではダメだと思いますね」

リストラせよと。ドライな感じが漂います。

「いや、そこは違うんですよ。従業員はどのみち高齢化で退職するので、新たに雇わなければいいわけでしょ。今の従業員を解雇するという話ではありません」

既得権益を温存させない

ニューノーマル時代のゴルフ界についてはどうですか。コロナの影響でいろんな産業が新しい在り方を模索しています。

「そうですねえ。その観点で申し上げれば、ゴルフ場と練習場のタイアップが必要だと思っています。

日本は住宅とコースが離れているので接続方法が課題ですが、ジュニアについては練習場がクラブバスを持って解決を図るとか。アコーディアは早い時期にポイント制を導入して練習場とオペレーションを組んだんですね。そのあたりの業界の設計図を今後どうするかで、」

本来は練習場連盟とPGA、あるいは他の業界団体を含めた全体的な設計図が必要なんでしょうが。

「まあ、当時は業界団体の在り方が障壁になる面もあったので、アコーディアの場合は自力でやろうとなったわけです。

それとジュニアですけどね、わたしの視点はそこではなく、自分の収入で始める20代からが需要開拓のターゲットだと考えています。自分が働いたお金でゴルフをはじめて、途中結婚や育児があるものの40代で再開できる。そのような環境作りが大事ですよ」

ジュニアへの過剰な投資はナンセンスだと。

「極端に言えば、そうですね」

「ゴルフ振興金」も同じ話で、一般ゴルファーから数十円を徴収して、県のゴルフ連盟は大半をジュニアの強化費に充てている。大半のゴルファーは「振興金」の意味を知らないし、数十円だから気づかない。

「実は現役時代、そこに抵抗したことがあるんですよ。振興金は基本的に競技ゴルファーのためだから、一般ゴルファーから集めるのは間違っていて、わからないように取るのも問題でしょ。

ならば、単純に競技ゴルファーから取ればいいんですよ。昔話ですけれど、それで一部の県連から脱退しましたし」

「県連」というのは何ですかね。

「ゴルフ好きの集まりで、地元の名門で、という感じですよね。

わたしは今、アコーディアの何者でもありませんが、少なくとも今のままではアコーディアもPGMも脱退する話になるかもしれません。

だって、ゴルフ場にとってメリットはないし、それでも大半が入るのはゴルフ界の歴史の中で、日本人的発想として加盟しているわけじゃないですか」

日本人的発想というのは、地元の名士みたいな人が県連のトップといった話を含め、畏怖すべきだと勝手に思っている?

「だと思いますよ。たとえばの話、ゴルフ場の月例競技は年会費から充当して、一般ゴルファーからは取りません。あれがゴルフ場側の本来の論理ですよ。

だから競技団体は競技団体として、競技者からお金を集めればいいんです。振興金も競技団体の年会費も、このままの状態では取るべきじゃないし、なくなっていくべきだと思いますね」

それは単に競技団体云々ではなく、ゴルフ大衆化に向けた改革の話ですね。コロナは既得権益の温存を許すほど甘くないし、ほかの産業では必死の改革が進んでいる。

「そうですね。ゴルフ界のニューノーマルは、本気の構造改革によって成し遂げられるんでしょう。安く、楽しくをモットーにして、それぞれのゴルフ場が知恵を絞れば活性化すると確信します」

このインタビュー記事は月刊ゴルフ用品界7月号(7月1日発行)に掲載したものをウェブ用に再編集したものです。


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ライター紹介 ライター一覧

片山哲郎

片山哲郎

1962年8月3日生まれ、東京都出身。
「月刊ゴルフ用品界」(GEW)を発行する株式会社ゴルフ用品界社の代表取締役社長兼編集長として、ゴルフ用品産業及びゴルフ界全般の動向を取材、執筆。2014年4月から3期6年、日本ゴルフジャーナリスト協会会長(現顧問)

ほかに武蔵野美術大学特別講師(ゴルフビジネス論)、インタラクティービ(J:COM)番組審議会委員、大学ゴルフ授業研究会理事、ゴルフ市場活性化委員会マーケティング委員(各現任)

信条は「人の至福は健康で長生きすることであり、これに寄与できるゴルフは『善』である。善なるゴルフ産業が健全発展するために、建設的な批判精神をもち、正確、迅速、考察、提言を込めた記事を書く」――。

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