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三浦技研で働いてるのはどんな人たち?

ニュース 吉村真

三浦技研といえば、「神の手」と称される三浦勝弘を想起するかもしれない。そして、その技を継ぐ三浦由貴、業を継ぐ三浦信栄。しかし、当たり前のように、三人だけでは物づくりは成立しない。そこには多くの手が、そして想いが三浦の軟鉄鍛造アイアンを創り上げている。そう、これが本当のTeamMIURA。ミウラのクラブを作る人々を紹介しよう!

坪田孝博さん

坪田孝博

鍛造/金型管理・生産社歴:30年

「やんちゃな金型を厳しく育てて売り手、使い手が喜ぶヘッドを!」

鍛造の要である金型。入社直後から、金型の面倒を30年にわたり見てきた。「神の手」といわれる三浦勝弘、業を受け継いだ三浦信栄と丁々発止を繰り返し、ミウラの金型を育てている。「無事発売した刹那」が、人生の喜び。金型を「やんちゃな息子」と表する。その想いを明るく語る

「入社したのは三浦技研が鍛造を始める時分でしたね。ゴルフの『ゴ』の字も知らなかったんですが、会長(三浦勝弘)には『無駄に知っている人間はいらん』と世話になるようになりました。

実際の仕事は、新商品の企画立上げから銅マスター、一次金型のメンテナンス、粗鍛造金型の磨きなんですが、入社して1年目の時に金型を割ってしまったんです。その時会長が会社にいなくて・・・。金型屋さんに電話して修理したんですが、次の日に会長にバレて大目玉を食らいましたよ(笑)

金型って、使っているうちに『へばる』んです。ヘッドが大きく目方が重い鍛造ができてしまう。機嫌が悪い日もあるし、素直な日もある。言ってみれば『やんちゃな息子』。数多く鍛造を打ち、長い期間使えるように面倒見るんです。

最初はイケメンだと思っても、ずっとイケメンのままじゃない。違う顔の『やんちゃな息子』が沢山いて、同じヘッドが数多く出来るように、次の工程で作業しやすいようにどうやって厳しく育てるか。そこを想って仕事しています。

だから、仕事って子供を育てるのと一緒で生活の一部なんですよ。世の中に出すまで責任があるわけですから。ミウラのヘッドが『悪い』と言われれば、金型が『悪い』。育て方が悪いんですよ。でも、『ここをこう治したらいいんじゃない』とやって、『どうコレ?』ってやっているのが楽しいですね。

そんな中で、笹生優花プロの優勝はめちゃめちゃ嬉しかったですし、ミウラのヘッドが『打感イイですね』と言われるのは嬉しいですね。ショップさんには、もっとミウラを好きになってもらえるよう、金型を厳しく育てていきます」

岡田昇平さん

研磨/成型研磨(プロパー品) 社歴:28年

「プロパー品は『変えない』研磨 海の向こうのゴルファーにも責任を持つ」

三浦技研といえば、研磨である。カスタムは使い手に合わせた研磨だが、プロパー品は同じ形状が命綱だ。だから、プロパー品の成型研磨は「取らない見極め」、そして「変えない研磨」が肝心要。手数を少なくすることが重要ななかで、守るための手数――。同じヘッドを数多く供給するメーカーとしての使命を担う。

「担当しているのはプロパー品の成型研磨です。入社したころは、鍛造、仕上げ、研磨など色々な作業に携わりましたが、この5年ほどは成型研磨をやらせてもらっています。

成型研磨ってカスタムと違って、同じものを数多く作らなければならないですよね。カスタムは手数をかけて使い手それぞれの要望に合わせて研磨していきますが、プロパー品は違うんです。それぞれ微妙に違う部分を研磨で取っていく。『手数を少なく』して『変えない』っていう研磨なんです。三浦技研らしい形状を『守るために必要な手』をかける作業です。

成型するための手本はもちろん、勝弘会長が削るヘッドの形状、寸法のバランスが絶妙に整っているヘッドなんです。黄金比のヘッド。それがミウラのヘッドだし、それを目標にして仕事をしています。

入社して28年経ちますが、実は教わったのはモノ作りだけではないんです。作業を通じて、考え方や生き方を含めて教えてもらった。だから、会社は親だと思っています。なので、恥ずかしいモノは作れませんし、仕事の結果が活力になりますね。気持ちよく仕事できたからといって結果が良いとは限りませんが(笑)。そんな気持ちで仕事しています。

それと、以前ユーチューブでミウラのヘッドを使っている碧い目の外人さんの動画を見たんです。海を渡って行って、英語はわからないんですが、『ミウラは素晴らしい』と言っていた。たぶんですけど(笑)。そんな海の向こうの私が知らない所で、ゴルファーが喜んでくれている。嬉しい反面、責任持って作っていきたいですね」

山野秀明さん

刻印/ロフト角・ライ角、FP調角 社歴:38年

「数値は絶対! 顔の見え方はそれぞれでも、最終形をイメージする」

昨年11月。三浦技研が新たにスタートした『9ポジションフィッティング』。FPに注目し、最適飛距離を提供する。ロフト・ライ角の調角はもちろん、FPを出し入れする。ミウラの顔を変えることなく――。それが軟鉄鍛造の雄である三浦技研の技術力でもある。要諦は「次の作業のしやすさ」。山野が淡々と語る。

「入社して、もう38年ですね。いまは荒研磨の前までの工程、ロフト角、ライ角の調角、FP調整、刻印などを担当させてもらっていますよ。簡単にいえばカスタムラインの刻印と調角ですね。

調角の難しさって、ロフト角、ライ角、FPを合わせるのは当たり前のことで、その先の研磨がしやすくないと意味がない。研磨をイメージして、最終形をイメージして調整しています。数値は絶対ですからね。

ただ、プレーヤーの見え方はそれぞれなんです。数値は基本的に絶対的な要素ですが、数値だけが合っていても面長にヘッドが見えたらダメだし、その反対もご法度です。だから、特にFPは通常前後に出し入れすると思われがちですが、当たり前のように左右にも動かします。それができていないと、研磨作業の助けにはなりませんし、プレーヤーがイメージする製品に仕上がりません。

大変な作業ではありますが、『9ポジションフィッティング』が始まったからには、調角やFP調整についても作業の効率化も考えていかなければなりません。ただ、自動化するなんて安易な考え方ではいけませんが・・・。

それと、ミウラのヘッドが雑誌に紹介されたら家族に雑誌を見せますし、『今日有名人が会社に来たよ』なんて家族に話したりするんですよ。そのようなことが刺激になりますし、注目を浴びるから、責任も重大だと思っています。それが23歳から、この仕事をやってこれた理由ですかね。自信にも繋がっていますから、数値の精度に関しては、何でも相談してもらいたいです」

服部真人さん

仕上げ研磨 社歴:13年

「仕上げ研磨は一発で決める 研磨痕すら美しく仕上げる使い手への想い」

ゴルファーがクラブを手にした時。それはメーカーとゴルファーが最初に出逢う瞬間だ。その一瞬に、すべてがかかっていると言っても過言ではない。産毛ほどのキズも許さず、一筆書きの如き研磨痕すら感性に訴える。担うのは仕上げ研磨。ゴルファーとヘッドを介して向き合う。その秘訣は「一発で決める」――。

「もともと病院の調理師だったんですが、子供が大きくなるにつれて土日のイベントが増えるでしょう。それで三浦技研に転職したのが2008年、今年で13年目ですね。

やらせてもらっているのは仕上げ研磨で、形が大きく変わる研磨ではありませんが、お客様の手にそのまま届く。磨いた時に磨いたことで違和感がないことを心がけていますね。

実際、研磨痕もそうですが、サテンをかける前のバフ掛けは、目がキツイんです。だから、ナイロンバフの目が残ることもあるんですよ。それを仕上げ研磨で直します。ペーパーを当てすぎるとキズができるし、だからといって何回も研磨すると形状が変わってしまいます。なので『一発で決める』ことを肝に銘じていますね。

子供のころからオモチャを自分で修理していたし、割れた部品も、そのつなぎ目が分からないように直すとか、手先は器用でしたし、だから仕事は楽しいですよ。

それに、仕上げ研磨ですが、その仕上がりによって色入れ作業で塗料のノリが違うこともあります。うちの仕事は次の工程の作業のしやすさを考えてやらないとお客様に迷惑がかかりますし、その想いは一人でも欠けると成り立たないから、私にとって会社は家族と似ていますね。みんなで作っていますから。

だから、うちのクラブがキャディバックに入っているのを見ると嬉しいし、手にした時にクラブが綺麗だと気持ちイイですよね。多くのゴルファーに使ってもらえるよう、製造の効率化も含めて、美しさも追求していきたいですね」

岡本敦史さん

フロント営業/来客・電話対応、注文処理 社歴:8年

「製造現場に伝える繋ぎ役 『待たせない仕組みを作りたい』」

三浦技研の取引工房はミウラクラフトマンワールドの260店余り。日々、営業担当や販売店から寄せられる注文や、問い合わせに対応するのがフロント業務だ。受発注、出荷のミスは信用問題。製造現場の進捗に目を配り、時には調整役も担う。目標は工程管理の一元可視化の構築というのが岡本敦史。ミウラの将来を担うイケメンだ。

「入社して8年ですが、最初は当社がスゴイ企業だという実感が湧かなかったんです。会長は『神の手』と言われていますが、最初はレジェンドというより『おじいちゃん』という印象でした。ただ、働いているうちに、スゴイ人たちの集団だと分かりました(笑)。

担当しているのは、電話や来客対応、注文処理ですが、仕事で注意しているのは、電話での聞き間違いや未発送のミスで、起きてはならないこと。まだまだ先輩が見てくれているという油断が何処かにあるので、反省しきりです。

それと、特にいまは多くのお客様にカスタムで納期遅れなどがあって、大変ご迷惑をお掛けしているので、申し訳ないと思っています。納期のお問い合わせも多く、お客様には明確な回答ができないこともあります。それでは信用を無くしてしまいますし、その改善が大きな課題だと思っています。

なので、製造の進捗が一元で可視化できる仕組みを作りたい。ヘッドにバーコードを付けて工程の終了ごとにチェックすれば簡単でしょうが、それで効率化してお届けが迅速になっても、コストが上がれば本末転倒です。その仕組み作りが近い将来の目標ですね。

それとやはり、お客様の要望を伺って、理解して現場に繋いでいく。私の仕事は繋ぎ役ですから、そのスペシャリストにならなければならないと思っています。

スゴイ職人さんたちが大勢いて、ゴルファーの理想を技術力でお届けしています。工場だけどメーカーで、世界に誇れる会社です。気持ちよく使ってもらえる商品をこれからもお届けして、自信を持って使ってもらいたいですね」

森本温子さん

フロント/出荷指示、売上管理 社歴:33年

「小さな『気づき』が会社を助け 『気づき』でお客様へ感謝を」

三浦技研を支えているのは男性ばかりではない。32名のスタッフのうち、10名が女性社員だ。ベテラン社員も多く、女性社員の最古参が森本温子さん。出荷指示、国内外の売上管理に、海外からの受注を管理している。これまで幾度となく試練を共にしてきたからこそ抱く三浦技研への想い、そしてゴルファーへの想いを話してくれた。

「結婚を機に市川町(兵庫県神崎郡)に住むようになりました。入社した当時は、1年に1回新商品を発売する程度でした。それから新社屋ができて、少しずつ大きくなっていきましたが、厳しい時代もあって、震災があったり、どうなるんだろうと不安になったこともありました。今年はコロナ禍で大変でしたが、何とか業績も上向きでありがたいと思っています。

ただ、販売店様に対しては、メッキやキズなどの不良品、カスタムの納期遅れもありますから、お詫び申し上げなければならないと思っております。そこは精神的につらい部分もありますが、仕事ですからね(笑)。お客様に御迷惑をお掛けしないように心掛けております。

私の場合、製造現場のことは分からない部分はありますが、分からないなりにも、お客様のために現場は一丸となって頑張っておりますので、ご理解頂きたいと思っております。

それと、私自身はあと何年かで定年ですが、三浦技研はもっともっと発展する会社です。必要なのはスタッフ全員それぞれの『気づき』で、それが製造の遅れを改善し、限られた時間の有効な活用に繋がるはずだと信じています。そしてそれがお客様の利益に繋がるのだと思っております。

三浦技研のクラブはどこにも負けないと思っております。ただ、技術が超一流であっても出荷ミスなんかあったら意味がない。それも、スタッフそれぞれの『気づき』があれば防げます。三浦技研のクラブを使っていただけること感謝の気持ちを持ちながら、仕事をしていきたいと思っていますね」

津田千春さん

フロント/経理、総務 社歴:28年

「遊び道具の製造には余裕が必要 そこからの発想が顧客満足へ繋がる」

三浦技研が居を構えるのは、兵庫県神崎郡市川町。国産アイアン発祥の地である。しかし、その史実を知らない町民は多い。社歴28年、経理、総務業務に携わる津田千春さんも、入社前は同じだった。「通勤で建物の前を通ることもあったけど、何の会社かな? と思っていた」。それが三浦技研だった。そして28年経て思うことがある。

「若いころはゴルフをプレーしていた時もあったんですよ。でも、三浦技研の存在は知りませんでした。会社の前を通勤で通ったこともありましたが、ここがゴルフの会社だとも知りませんでしたし、市川町が国産アイアン発祥の地ということも知りませんでした。で、入社したらテレビで見たことがある有名なプロが来社する。スゴイ会社なんだと思いましたね。

仕事は経理と総務ですが、この仕事も製造現場の生産管理、納期管理が上手くいかなければ仕事になりません。というか、そこに直接かかわっていなくても重要なことは分かります。どの工程が渋滞しているのか? スムーズな工程は? 人員配置は? それをチーム力で解決しなければなりません。

とはいえ、フロントが製造現場を知らないように、お互いが知らない部分がある。だから、互いを知って、意見を出し合えることも必要だと思います。それがサービスの向上に繋がりますから。

それと、やっぱりモノづくりへの執念は恐ろしいほど強いと思います。現状よりも更なる向上をという想いですね。それもただの製造所ではないですから、仕事への使命感が強い。ただ、遊び道具を作っているので、もう少し余裕があった方が斬新な発想も浮かぶし、振り返ることも必要だと思います。いままでやってきたことが正しかったのが分かると思います。

そして、販売店である工房の皆様に感謝を申し上げたい。当社はお客様との繋がり強い。ですから、いまであれば工房様にどんどんフィッティングを利用いただきたい。そして、何でも相談してもらいたいですね」

 


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ライター紹介 ライター一覧

吉村真

吉村真

1974年1月22日生まれ、長崎県出身。
パーツブランド、ゴルフ場経営、中古ゴルフチェーン、ゴルフ雑誌を渡り歩き、現在は「月刊ゴルフ用品界」で地クラブを中心に取材、執筆。
国内を始め、中国、台湾、米国のゴルフ用品工場の取材経験もあり、地クラブ・工房ビジネスへの有益な情報発信、国内外の製造拠点などの取材を通してゴルフ用品市場の発展に貢献したいと、東奔西走。ほかには日本ゴルフ用品協会広報委員会アドバイザリースタッフ、販売技術者資格(日本ゴルフ用品協会認定)取得。
プライベートでは1歳男児の日々の成長と格闘中。

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