充実した設備が提供するのは「体験」

2021年3月23日、日本でも屈指の高級住宅街である自由が丘(東京都目黒区)に、KBSシャフトを展開するFST JAPAN 合同会社が「KBS GOLFEXPERIENCE TOKYO」(通称:KBS GOLF X)を開設した。
「KBS GOLF X」はカールスバット(米国カリフォルニア州)に次ぐ2号店として、日本で初となる施設。各クラブメーカーのヘッドを備え、弾道計測器トラックマン4を使用してのフィッティング、シャフト試打、工房を完備して、予約制でシャフトに関する相談を受けてくれる施設。もちろん、「KBS GOLF X」の最大の特徴は、すべてのKBSシャフト150本以上が体験できる場だということだろう。
ただ、それだけを聞けば単なるフィッティングスタジオに聞こえるかもしれない。しかし、「KBS GOLF X」はそうではない。30坪の室内には試打ブースだけではなく、ゆったりとゴルフ談義に花を咲かせることができるカウンターバー。一枚板を使ったカウンターでは、4種類のクラフトビールに舌鼓を打つことができる。そして、リラックスしてゴルフの悩みを相談できる革張りのソファーセットが、ゴルファーに至極の時を与えてくれる。
だから、施設名には「フィッティング」という言葉ではなく、「EXPERIENCE」という文言が使われている。それは「KBS GOLF X」が単に「KBS」のシャフトを試す場としてだけではなく、「KBS」の世界観を余すことなく体験してもらう場をゴルファーに提供したいという想いの表れなのだ。それが目に見えるものであっても、目に見えないものであってもだ。
その役割を担うのが「KBS GOLF X」。伝えたい想い、そして「KBS」の世界観とは?
ゴルフを通じて豊かな人生を
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神崎進司シニアエグゼクティブマネージングディレクター[/caption]
米PGAツアーをはじめ、世界のツアーで多くのプレーヤーの勝利に導いている「KBS」。しかし、ツアープレーヤーだけのシャフトではない。その証拠に米国用品市場で「KBSシャフト」のシェアは約4割。アマチュアゴルファーにも深く浸透している。
しかし、「『KBS』の想いは、米国ほど日本では浸透していない」
そう語るのは、神崎進司シニアエグゼクティブマネージングディレクター。世界第二のゴルフ市場といわれる日本では、その意味でも競合他社に後塵を拝している。
無論、「KBS GOLF X」は「KBS」の認知度向上も担うが、それだけでない。神崎氏が続ける。
「『KBS』の創始者であるデイビッド・チャンがしばしば言うのが、『ゴルフを通じて、ゴルフだけではなく、人生が豊かになってもらいたい』というものです。ゴルフならスコアが良くなる、ゴルフが良くなる。そんなシャフトを提供していく。それができれば、ゴルフも楽しい、プレー後のお酒も楽しい。そして仕事も楽しくなる。そうなれば人生が豊かになります。『KBS』は、単なるシャフトメーカーではありません。そんな想いがあるんですよ」
この想いは、創始者のデイビッド・チャン氏だけではない。シャフトの開発責任者であるキム・ブレイリー氏も同じ想いを持つスタッフだ。
「彼はツアープレーヤーのためだけに、シャフトを開発しているわけではありません。すべてのゴルファーのゴルフが向上することに高い意識をもって開発に取り組んでいますね」
だから、「KBS」の製品は、ツアープロのためだけではない。そしてスチールシャフトだけでもない。シャフトを通じて豊かなゴルフライフ、そして豊かな人生を送るお手伝いをしたい。その想いが「KBS GOLF X」の根幹にある「KBS」の世界観なのだ。
ツアープロのフィッティングでその先の未来へ
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服部大輔フィッター[/caption]
もちろん、フィッティング施設でもある。フィッティングを担当するのは、JGTOのツアープロである服部大輔フィッターだ。プロになって7年。「KBS」のツアーレップとしても、トッププロたちのクラブをフィッティングしてきた。
「僕自身は試合に出ながら、『KBS』のツアーレップを手伝ってきました。ギアオタクでもあるんですよ(笑)」
ツアーでのフィッティングは選手たちの生活に直結する。そのツアーで培ったノウハウが一般ゴルファーに提供される。
「基本的には、アイアンなら使用されている7番アイアンをお持ちいただきます。問診で悩みを伺い、試打をしながらフィットするシャフトを見つけていきます」
アイアンであれば、着目するのはスピン量、弾道の高さ、着弾する際の落下角度「ランディング・アングル」だという。
「アイアンは点を狙うクラブです。スピン量は、おおよそ番手×1000rpmが目安で、着弾する際の落下角度は45度以上を理想としています」
興味深いのはランディング・アングルだ。同氏によると、
「落下角度が浅く45度以下になれば、ボールは着弾して前方へ転がる傾向が強く、止まりづらい。なので、ボールを止めたいのであれば、45度以上のランディング・アングルが理想ですね」
これは、米国LPGAのツアー選手のデータから導き出した考え方。その数値も服部氏が適正なシャフトを導き出す起点となっている。
もう一人、同施設でゴルファーに対応するのがクラフトマンの吉岡賢一郎氏だ。同施設ではレッスンのサービスはないが、同氏はPGAのティーチングプロA級を保有している。
ツアーで磨いたフィッティングの腕、そしてPGA有資格者がアマチュアゴルファーの悩みに寄り添い、これまで見えなかった新たな世界にゴルファーを誘っていく。
メーカー採用に開発拠点としての存在意義

一方で「KBS GOLF X」は「KBS」のビジネス的な観点で新たな役割を担っている。
それは開発拠点としての存在意義であり、一般ユーザーのデータ収集から日本のゴルファーに向けた商品開発、クラブメーカーへの標準シャフトとしての採用、そしてカスタムストックシャフトとしての採用を目的とした活動拠点という意味合いだ。
神崎氏いわく、
「一昨年、米PGAショーを視察した際、あるクラブメーカーのブースに陳列されているクラブの多くに『KBS』のシャフトが採用されていました。あたかも『KBS』のブースのようであり、一方で衝撃的だった記憶があります。ところが、日本ではそのような光景を目にすることは残念ながらありません」
「KBS」の設立は2008年。スチールのプロ集団「FEMCO STEEL TECHNOLOGY」(台湾)がシャフトブランド「KBS」を立ち上げた。後発メーカーでありながら米国では徐々に認知度を上げ、米PGAツアー、そして米国ゴルフ市場での存在感を急成長させた。
結果として、多くの米国クラブメーカーに「KBS」が採用されている。しかし、米国市場向け商品での採用であって、日本国内では老舗メーカーに先手を取られている。だから、
「これまではクラブメーカーの担当者へ、数種類のサンプルを提案することしかできなかった。しかし、『KBS GOLF X』にはすべての『KBSシャフト』が試打できる状況が整っています。さらに、クラブメーカー各社のヘッドも用意がありますから、クラブメーカーとしては競合他社のヘッドも『KBSシャフト』で試打できる。それらの結果から新しいシャフトを開発し、新たな提案をさせて頂くことも可能となります。そんな役割も『KBS GOLF X』は担っているんです」
ゴルフ用品市場は日米を問わず、大きなチャンスを迎えている。その中で「KBS」の存在がゴルファーの人生を豊かにしていく。「KBS」の新たな船出が、いま始まろうとしている。
KBS GOLF EXPERIENCE TOKYO
【所在地】〒152-0035 東京都目黒区自由が丘1丁目26-9 三笠ビル2F
【TEL】03-6421-4762
【最寄り駅】東急東横線大井町線自由が丘駅正面口より徒歩2分
【営業時間】10:00 ~ 19:00(平日)※10:00 ~ 18:00(日祭日)
【定休日】不定休
