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プレー人口激減期(18-23問題)とゴルフ場(2)

ニュース 北徹朗
お詫びと訂正
弊誌「月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド」2021年6月号(2021年6月1日発行)90〜91ページ「プレー人口激減期(18-23問題)とゴルフ場」におきまして、重大な誤りがありました。「支配人調査によるゴルフ場改革ランキング」と題した記事で、執筆者の北徹朗様がゴルフ場支配人67人に対して7項目の改革課題をアンケート調査したもので、7つの「改革課題」に対するアンケート結果のグラフのうち、4つの「改革課題」について異なるグラフを記載。誤った調査記事となったものです。
弊社が確認を怠ったのが原因であり、執筆者の北様並びに回答支配人様の多大な労を誤報する結果となりました。関係者各位及び読者の皆様に多大なるご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び致します。以下、正しい調査結果を掲載致します。

 

 

コロナ環境下で一時的にゴルフ人口が増えているという報道もあるが、人口減少や少子高齢化の推移を見ると、今後もゴルフ人口の減少傾向が続くことは間違いない。この連載では、筆者が提唱する「18-23問題」(2018年~2023年にかけてのゴルフ人口激減)に立ち向かうための改善策や基礎資料に基づく提言を述べさせて頂く。

支配人調査に基づく「ゴルフ場改革ランキング」

ゴルフ人口拡大のための「ゴルフ場改革7つの提案」の有用性を、首都圏1都8県のゴルフ場支配人67人に問うた。前号では、結果の概略のみ示したが、今回は具体的な調査結果を見て行きたい。支配人の考え方から「今すぐ変えられそうなこと」、「すぐには変えられそうにないこと」など、ゴルフ市場活性化に繋がる何らかの糸口が見えてくるのではないか。「有用性が高い施策順」にランキング形式で示す。(調査期間:2020年8月31日〜10月30日、メンバーコース24、紹介無のビジター利用可28、パブリック14、無回答1)

第1位:スマートゴルフ場化の推進
Wi-Fiをコース内に多数配置し、自動チェックイン・チェックアウトを可能にする精算の完全オンライン化。スマートゴルフ場化が実現すれば、好きなタイミングでプレーをやめたり、始めたりすることも容易になり、プレースタイルの多様化実現に向けての期待が大きい。7割近い支配人が「有用」と回答した(図1)。

図1.「スマートゴルフ場化推進」の有用性

第2位:ゴルフ以外のゴルフ場利用
「フットゴルフ」など既に一部には人気の高い遊び方が定着している。例えば、入場料設定による公園的利用(ゴルフエリアとパークエリアの分離等)や、ゴルフ以外の遊びも可能なゴルフ場の可能性について、比較的多くの支配人が「有用」とした(図2)。

図2.「ゴルフプレー以外のゴルフ場利用促進」の有用性

第3位:クラブ規制の緩和
初心者向けクラブ等、ルールでは認められない用具がもっと積極的に販売・活用できないものか。筆者らの研究では、やさしいクラブ使用の有用性の高さを示している(北ら、2019)。

例えば、スキー場ではアルペンスキーだけでなく、スノースクーターやソリ、スノーボード、テレマークスキー、ショートスキーなどの多様な用具が使用可能であるし、リフト券にもシーズン券、1日券、半日券、回数券、1回券などがある。技術、興味、意欲の高低や濃淡によってその日の遊び方を選択できるが、ゴルフ場の場合は選択の自由性が極めて低い。この提案には「まあ有用」との回答は多かったが「大変有用」と回答した支配人はゼロだった(図3)。

図3.「用具(クラブ)ルール規制の緩和」の有用性

第4位:ドレスコードの自由化
日本のゴルフ場のうち約9割がメンバーコースであるが、「クラブライフ」の建前からか、画一的なドレスコードが敷かれていることが多い。クラブの歴史、立地や特徴など、各ゴルフ場が自らを見つめ直し、施設のグレードの高さに応じてドレスコードの有無を決めるなど、画一的スタイルをそろそろ見直してもよいのではないか(図4)。

図4.「ドレスコード自由化」の有用性

第5位:1ホール単位の料金設定
例えば「1ホール800円」など、1ホールごとの料金設定が可能になれば、その日の気分や体調、時間の有無などに応じてプレースタイルをカスタマイズすることが容易になる。費用負担も劇的に減免可能になるため、ゴルフへの敷居が低くなり取り組みやすくなる。メンバーコース(ビジター利用可を含む)の支配人の多くが「有用でない」と回答したが、パブリックコース支配人の賛同率は高かった(図5)。

図5.「1ホール単位での料金設定」の有用性

第6位:コースの時間貸し
練習場には「ボール数による販売」と「打席使用時間による販売」があるが、ゴルフ場にはそれらの発想がない。そこで、時間単位でのゴルフ場貸し出しについて問うた。少数だが「大変有用」と回答したのは全てパブリックコースの支配人だった(図6)。

図6.「コースの時間貸し料金設定」の有用性

第7位:ボウリングスタイルでのプレー
ボウリングのように同じコースを繰り返し回るプレースタイルの導入については、最も賛同率が低かった。「大変有用」と回答した支配人はおらず「まあ有用」と回答した支配人も少なかった。「まあ有用」と回答したゴルフ場は、1都3県以外のゴルフ場支配人の回答比率が高かった(図7)。

図7.「ボウリングスタイル(1ホールの時間貸し)」の有用性

ゴルフは「自由度が低いワンパターンスポーツ」から「選択の自由性ナンバーワンスポーツ」へといずれ変異して行く

かつて「接待や付き合い」、「ゴルフはしないが投機対象として」など、プレーそのものを純粋に楽しむというよりも何か別の目的のために日本のゴルフは発展してきた一面がある。ゴルフが隆盛を極めた頃には〝ニギリ〟も常態化し、賭けゴルフに負けないために必死になって練習場に通った人も多かったとされる。

近年、「社用接待のため」、「付き合いのため」、「ゴルフをしている優越感や見栄のため」、「ニギリに負けないため」など、何か別の目的のためにゴルフに熱中することは下火になり、個々での楽しみ方が広がりつつある。

例えば、「社会性やマナーを身につけるためにゴルフを流行らせよう」という類いの普及政策は、的外れで時代遅れであるし、これに似た提言や取り組みがあるとすれば、ゴルフ界が未だにバブル時代の轍(○○のためのゴルフ)から抜け切れていないことを示す典型であろう。

ワンパターンのままであり続けているゴルフ場での遊び方にバリエーションを増やし、ゴルフに取り組みやすい環境が整えば、来場者自身がゴルフ場での楽しみや付加価値をそれぞれ見出すようになって行くのではないか。
「ゴルフ場改革7つの提案」のうち、支配人賛同率上位2位の内容は、今すぐできそうな現実的な取り組みであるし、ゴルフ場での遊び方を多様化する可能性が極めて高いものであると思われる。今後の取り組みに期待したい。

■参考文献
・北 徹朗(2019)『スマートゴルフ場』実現への期待と提案、日本ゴルフジャーナリスト協会ウェブサイト(2021年5月9日確認)

『スマートゴルフ場』実現への期待と提案


・北 徹朗、中村 修(2019)初心者向けゴルフクラブ開発経緯―シャフトの接続部分をヘッドの中心寄りに設計したクラブの試作―、体育研究53、pp.13-18
・北 徹朗(2018)ゴルフ産業改革論、(株)ゴルフ用品界社
・片山哲郎(2015)ゴルフ界が抱える課題と解決策、日本ゴルフジャーナリスト協会ウェブサイト(2021年5月9日確認)

ゴルフ界が抱える課題と解決策


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ライター紹介 ライター一覧

北徹朗

北徹朗

<現職>武蔵野美術大学身体運動文化教授・同大学院博士後期課程兼担教授、サイバー大学IT総合学部客員准教授、中央大学保健体育研究所客員研究員、東京大学教養学部非常勤講師

<学歴>博士(医学)、経営管理修士(専門職)、最終学歴:国立大学法人東京農工大学大学院工学府博士後期課程

<主な社会活動>ゴルフ市場活性化委員会委員(有識者)、公益社団法人全国大学体育連合常務理事、一般社団法人日本運動・スポーツ科学学会常任理事、日本ゴルフ学会理事・代議員、日本ゴルフ学会関東支部事務局長、一般社団法人大学ゴルフ授業研究会代表理事

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