1000円もらいます。JGF有料化に長年の議論

1000円もらいます。JGF有料化に長年の議論
1000円が高いかどうかは、モノにもよる。個々の懐事情にもよるわけだが、日本ゴルフ用品協会(JGGA)にしてみれば「清水の舞台」とも言える金額だった。 10月22日、来年3月開催のジャパンゴルフフェア(JGF=パシフィコ横浜、3月11~13日)を有料化すると発表した。事前予約は一人1000円、当日券は1500円。 56回目にして有料に踏み切ったもの。JGGA事務局の新居秀樹専務理事が話す。 「5年前に東京ビッグサイトからパシフィコ横浜へ移転する際、有料化の話も出ましたが、移転後の初開催で読めない部分も多く、見送りました。その後有料化の議論を重ねましたが、決定打はコロナです。感染対策に費用が掛かることもあり、一般来場者へのご負担を決めました」 今年9月に総務部会で議論して全会一致で可決。その後フェア委員会で採決され決定した。 と書けば、如何にも簡単な経緯に映るが、JGFの有料化は積年の大きな課題だった。 球春到来を告げるゴルフ界最大のイベントは、2019年に過去最高の入場者(6万487人)を集めるなど、ほぼ順調に成長してきた。ところが昨年、コロナで中止に追い込まれて危機感が募る。JGFは協会の屋台骨だが、実はこれまで出展を見送るメーカーも目立ち始め、理由のひとつが出展料金。「高い」との声もあり、それを軽減する一策としてコロナ前から有料化を検討してきた経緯がある。 踏み切れなかったのは、有料化での来場者減を懸念したから。出展社を募るには「5万人規模」が最大のウリで、来場者が減れば出展の価値も減じ、出展社が減れば来場者も魅力を感じないという悪循環。それをエイヤッ!と乗り越えた。「清水の舞台」なのである。 来年の動員目標は3万人を予定。5割が報道を含むビジネス関係者で、無料。残り5割の一般来場者から料金を徴収するが、学生証の提示者と未成年は無料になる。新居専務理事との一問一答を再現しよう。 金額はどのように決めたのか。 「2019年に来場者アンケートを取った結果、妥当な金額は500~1000円の回答が多く、事前予約で1000円に落ち着きました。これにより新たに1500万円の収益が生まれる見込みですが、コロナ対策や魅力的なコンテンツ作りに使っていきます」 魅力的なコンテンツとは? 「会場での物販に、総合的に注力していきます。一番大きいのは、これまで出展社が販売する際に売上の1割を協会に納めて頂きましたが、これを来年は撤廃する。積極的に販売できる環境をつくって、来場者の満足度も高めたい」 有料化で来場者が減るのでは? 「という声はたしかにありますし、不安もあります。来場者が減れば出展を見送る企業が出るかもしれません。ただ、有料でも来場する人はコアなゴルファーだと考えられ、その分ビジネスチャンスは期待できると思うんですよ。この点を理解してもらえるよう説明を重ねます」 コロナウイルスが、過去の様々な常識を一変させたのは周知のとおり。JGF会場内での物販は過去、専門店から「店で売れなくなる」とのクレームもあったが、今後は上納金の撤廃で積極的になるかもしれない。大事なのは業界目線ではなく、来場者ファーストだ。