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ミウラを使う夢が叶った! 笹生優花プロ×三浦信栄社長対談

ニュース 吉村真

全米女子オープン覇者でも変わらない

GEW まず、全米女子オープンの優勝、おめでとうございます。全米女子オープンを優勝してからゴルフも含めて、心の風景とか、ものの見方とかは何か変わりましたか?

笹生 特に変わったことはないです。人生変わった? 考え方かわった? とはよく聞かれます。何も変わってないです、自然体のままです。

三浦 2020年の4月ですね? うちの会社(三浦技研)に来てくれたのは?

笹生 そうですね。

三浦 初めて来た時から、その時から全然何も変わってない。いまのこの感じも全く変わっていないし、プロとしての状況が変わってくれば、周りであったりだとか、本人であったりだとか、彼女自身、個人の変化が全くないですね。「本当に近所の小学生の男の子」みたいな感じですよ。

GEW 笹生プロは、ご自身で何も変わらないとお話しされていますが、そのような性格はこれまでの環境や経験など、どのあたりに起因すると思われますか?

笹生 もちろん、ゴルフ場にいる時とオフの時は違います。ゴルフ場にいる時は真剣ですし、ゴルフのことばかり考えていますが、オフはしっかり休んで、クラブを握らない時もありますし、何もしないでずっと寝てる時もあります。その意味では、ずっと真剣ではないです。優勝したからといって態度を変えなくちゃいけないとか、自分じゃない自分を作ってしまうことは良くないことだと思うので、自分は自分でいないとゴルフに影響が出ると思います。

GEW フィリピンで育った場所はマニラから何kmくらいの場所ですか?

笹生 何kmか、分からないです。フィリピンでは距離でなく、時間なんです。10kmでも2時間かかるところもあるので、空港からお母さんの実家までは2時間30分くらいで混んでいたらもうちょっとかかりますね。

GEW 調べると、マニラのベットタウンのように思われますが。

笹生 今はサンタロッサというラグナの方にいまして、お母さんの実家は北の方なんですけど、フィリピンツアーが多くやっている場所が南の方なので、車で1時間の場所に沢山のコースがあります。すごくいい練習環境が整っている場所です。近くで家を借りていて練習をしています。

GEW 田舎ですか?

笹生 行ったときは田舎でしたし、昔は何もなかったのですが、今はすごくきれいな街になっています。

GEW 子供の頃は田舎だったんですか?

笹生 はい、あまり家もなかったし、道路は大きくなかったですね。最近、2年前くらい前からどんどん大きくなりましたし、モールもできてアウトレットもできました。今はきれいな街です。

GEW そうすると、昔の風景と三浦技研さんにいった時の風景が、オ-バーラップすることはありますか?

笹生 すごく田舎でしたが、すごく好きな場所でした。私自身静かなところが好きですね。

GEW 三浦技研がある市川町と同じような静かなところですか?

笹生 静かなところです。ただ、日本とフィリピンはちょっと違って、日本はキレイじゃないですか! 山があって川もキレイだし、フィリピンはそんなキレイじゃないので・・・。

GEW 三浦技研のクラブを使い始めたのは2020年の4月ですか?

三浦 笹生プロとの最初のコンタクトで、笹生プロが「自分の思い通りのクラブを使いたい」というのが始まりであって、「クラブでどうとかヘッドでどうとかではなく、それを我々の技術で協力するのが要望」だと思い、それを快く受けさせて頂きました。

GEW それまでクラブに対して何かこだわりや、クラブに対する考え方はありましたか?

笹生 もともと自分はシンプルで、マッスルバックのようなすっきりしているヘッドが好きでしたが、なかなかそういうヘッドがない。それに近いようなヘッドを使っていました。

GEW 三浦技研は軟鉄鍛造で有名ですが、笹生プロはご存じでしたか?

笹生 自分が16歳くらいの時に、テレビで見たハンドメイクするクラブ会社さんのクラブを使うのが夢でした。その当時、ゴルフ場で使っているひとがいて 三浦のアイアンは高価で、「いいないいな」ってみんな言ってました。ハンドメイドですし。知ってはいたんですけど、高くて買えなかった。

GEW そして、三浦技研を訪問されました。工場もご覧になったと思いますが。

笹生 訪問する少し前にプロになって、ハンドメイドのアイアンを探していた際に、「9ポジションフィッティング」については知っていましたが、あまり身近なプロが使用していないハンドメイドのクラブで、「私に使うことができるのかなぁ」という不安はありました。

GEW 「使えるのかなぁ?」というのは?

笹生 ちゃんとフィッティングしてクラブを作ってもらえるのだろうか? と思いましたし、使いたいという憧れがあった時に、スポンサーさんに紹介して頂いたら、いきなり工場に行くことが決まったんです。

GEW 工場を訪問された時、どんな印象でしたか?

笹生 すごく楽しかったですよ。初めて工場内に入って、クラブを削っているところなどを見ることができて楽しかったですね。

GEW 何が楽しかったですか?

笹生 自分も削ってみたいと思いました。削れなかったけど(笑)。私はクラブの完成品しか見たことがなかったけど、間近で作っている工程が見れたことが貴重な経験となりました。

三浦に行くのが夢だった! 

9position
三浦技研の軟鉄鍛造

GEW 工場を見られてこんなに大変に作ってるんだ、自分でも作りたいなと思ったと。製造工程を見た後に、ゴルフクラブに対する考え方とか捉え方は変わりましたか?

笹生 変わりました。

GEW どのようにクラブに対しての考え方などが変わりましたか?

笹生 製造工程を最初から説明して頂いて、クラブには変えられるところがあることや、ゴルフクラブってこうやって作られているんだ、こういう動きをするんだということを考えるようになりました。もっとクラブに対してどうやったら自分に合うようなヘッドなどを作れるのかっていうことが分かったような気がしました。これまではどのようなクラブが自分に合うのかを知らなくて、感覚でやっていたので、こういう風にやってくださいと思うことができました。

GEW 三浦社長は過去の経験上、クラブに対して「良いですね」以上に、次の言葉を発する女子プロは会ったことがないとお話しされていましたが?

三浦 プロ自身がクラブが良いとか悪いとかは、実際に打っている球を見たり、音を聞いていれば分かります。それが、2~3球の試打の間に自分の中で弾道をイメージできる、球筋を再現できそう、フェースに球がのっている時間など、それを感覚的な要素だけではなく、言葉にできるプレーヤーが若い女子にいたことに驚きました。

なので、笹生プロに対して「スゴイ」という印象でした。テレビなどで素振りを見た時にとんでもないゴルファーが居ると思いましたし、とんでもない女の子がいるというのは知人から聞いていました。だから、実際に試打している現場を見たら、スイングしている力感にびっくりしましたね。

GEW 最初に三浦技研さんに行った時に、工場を見てフィッティングしてもらった感覚を三浦会長と話しながらヘッドを研磨してもらったと思いますが、1発目からビタっとハマったんですか?

笹生 フィッティングは5時間くらいかかると思っていましたが、3時間くらいで終わりましたね。2本目を打った時はイマイチでしたが、3本目で「これだ!」と決まったんです。削ってもらいながら打っていたら感覚も一致しました。

三浦 実際は2時間半くらいでしたね。

GEW 想像よりも早い時間で終わったことも驚きましたか?

笹生 驚きはなかったですが、逆にその方が良かったですね。フィーリング的に、1発打った時に決まったので、そのヘッドに決めました。

GEW クラブに対する勉強も必要だと、先ほどお話しされていました。三浦技研さんと遣り取りも含めて、何を勉強しないといけないと思いますか?

笹生 私自身はクラブに対して、特にアイアンは柔らかいというか空気を打ってるような打感、打音を大事にしていましたし、そのようなクラブを求めていました。その中で三浦技研さんにお世話になっていますが、ヘッドの削る場所によってヘッドの挙動や当たり方が変わることや、鉛を貼った時の弾道など、弾道の変化やクラブの細かい部分を勉強させてもらいました。それに対してやっぱり自分がゴルフしてる時に、ラフから打ったりとかしなくちゃいけない状況の時に、クラブヘッドを理解していた方が、自分のゴルフに取り入れやすかったと思います。

GEW 笹生プロの印象は「小学生の男の子みたいな」イメージで意外と楽観的な人格だと、先程も三浦社長が仰っていましたが、意外とクラブやゴルフに関して細かいですね。

笹生 ゴルフに関しては、まとめて話してしまう人が多くて、それではプロゴルファーとしてダメなんじゃないかなって思います。意外と大雑把に見えがちなんですけど、クラブの話になると細くなってしまいます。

GEW 何故、細かくなってしまわれたのか?

笹生 プロゴルファーとしては、クラブ以外に他に必要ないってことかもしれないですね。でも、クラブのことを考えるのは、本当に自分に必要な時だけしか頭に浮かばないです。

GEW 笹生プロは考えることが全部ではなく、こだわりが強いとか潔癖症とかじゃなくて、こだわらない部分もある。それは、様々な場所で暮らし、色んな場所で試合をして、様々な国の人と関わって、そのような性格がなったんでしょうか?

笹生 無意識でこうなったのかもしれないですし、お父さんと一緒に行動してるから変わったのかもしれない。そこは分かりません(笑)。

GEW 過去に色んな国で暮らして、幼少期から試合に出場すると周りには大人が多いですよね。お父さんと一緒に動かれてたからそういうのもあるんですかね?

笹生 自分より年上の方って知識が豊富ですよね。ゴルフ以外の経験もそうですし、いろいろ勉強になります。

GEW 1回のフィッティングでクラブが出来て、もっともっと自分がクラブに対する知識も勉強して、プロゴルファーとして全部の分野ではありませんが、詳しくなりたいと思っていますか?

笹生 ゴルフってすごく深いので、まだ私は浅い所にいると思います。クラブのことも本当に少ししか知らないので、歴が短い私はまだまだ学ぶことだったり、知らないことが沢山あると思います。

GEW その中で今回色んな縁があって三浦さんのグラブを使ってらっしゃると思いますが、笹生プロからみて三浦技研さんのいいところってなんですか??

笹生 まず本当にクラブが良いこと、そして、フィッティング前に2~3時間しか話していないのに、私が必要としている望んでいることを理解してもらえました。

GEW 具体的にどういうことですか?

笹生 ハンドメイドのところが一番です(笑)。

GEW つまりハンドメイドの良さって何ですか? ハンドメイドという言葉には様々な解釈があると思いますが。

笹生 クラブへのこだわりが強いので、普通の市販品とは違うクラブですし、ハンドメイドだと全部自分のこだわりの理想のクラブを作っていただけることです。プロとして選手としてすごく安心して自信をもって使えるという意味ですね。

GEW 三浦社長、カスタマイズがひとつの三浦技研の大きな強みですが、これは感覚を形にするという次のステップで、やはり高いレベルの技術力を求められますか?

三浦 クラブづくりに関しては、プレーヤーとの会話、何をプレーヤーが考えているのか、どうボールに対して向き合っているのか、クラブに関しての向き合い方、ターゲットに合わせて構えた時にどこを基準として見ているのか? その先にどういう球のイメージをしているのか? 振りやすく振れているのか? 全体の動き方の状態をみて、笹生プロの場合は本当にすぐに合っちゃったんで、細かくやり取りしていませんね。

笹生 一番はボールに当たる前の瞬間ですね。クラブに当たるときのタイミングの感触がよかった。

GEW 先ほど、空気を打っているような打感と打音が決め手と話されていましたが?

笹生 そうです。当たったなという感触の時に、これだと思いました。

三浦 クラブを使う上で、何が嫌なのか話した時に、左にいってしまうのが嫌と話していましたが、「そんなことなんて後でなんとでもなるから、そんなことはもうどうでもいいよ!」と話したんです。

彼女のスイングを見た際に左に行きやすいスイングはしていましたし、手元の位置や地面にコンタクトするソールの接地の仕方、インパクトへ向かうヘッドの入り方など、当然左に手首がひっくり返るスイングでした。嫌がれば嫌がるほど、すごいストレスを抱えたスイングやアドレスをしていましたね。

それと、初めて顔合わせた時に食事する機会がありまして、彼女はその時が一番緊張していました。なんでこんなに強張ってるのか? そう思うくらい緊張していましたね。

GEW クラブをもっともっと勉強したいと思いますか?

笹生 勉強したいです。ただ、勉強したからといってこだわりが強くなるのは別だと思います。

三浦 笹生プロが勉強したいというのは、どちらかといえばショットに対してで、プレー中の状況に対してという意味ですね。プレーヤー目線からするとそこで一打でも縮めるのが仕事ですし、そのためだけの道具というのはまた違うと思いますが、信頼性の強いものを使いたいと思っていると思います。

GEW クラブに対してはですよね? それは信頼があるから他にもっともっとこうで気をつけないといけないとか、ライとかマネジメントとかそういうことですね? そういう風に受け取っていいですか?

笹生 自分とクラブがセットっていうイメージです。わたしがここに立ったら、ここにクラブがあるイメージですし、仕事の道具として誰よりも一番大切に一番近くにあるけど、過保護にもしていないけど、これを生かすためにはもっと大きい事がゴルフ場にあるわけで、そこに何があるのかを理解しないといけない、と思います。

GEW 面白いですね。だからもう、ここにクラブと笹生プロがセットで、それはもうアイアンは三浦ということですね。クラブと一緒に寝たりとかしますか? お風呂に入るとか? そういうゴルファーもいるんですよ。

笹生 それはないですね(笑)。

三浦 愛情をもってというか、愛着をもって、それが信頼になるんでしょうね。そういう気持ちで使ってくれてると感じています。やっぱりそれを余分な事なく素直に使ってくれてるっていうか。身近においてくれていると思います。

ゴルフの多様性に何が正しいかの正解はない

GEW 三浦技研では鋳造アイアンの『PI-401』など、三浦技研の過去の歴史を考えるとクラブにも多様性が出てきていますが、ゴルフ自体も多様に広がっていると思います。ゴルフの多様性ってすごく難しい質問かと思いますが、ゴルフにも様々な形があり、様々な国の人がプレーしています。それに対してゴルフ界を引っ張っていく立場にあるプロゴルファーとして、どのように考えていますか?

笹生 私は、ゴルフ界を引っ張っていくことなんか思ったこともないですし、自分がゴルフ界を変えていけるとも思っていないです。自分も何かを変えようとも思っていません。ゴルフに関しては様々なスタイルがありますけども、何が正しいのか正しくないのかはプレースタイルや、日本のコースやリンクスやフィリピンみたいに芝がナチュラルといった国によってゴルフの仕方も違うので、正解がないんじゃないかなと思います。

GEW 過去に、アニカ・ソレンスタムやミシェル・ウィーが男子ツアーに参戦しましたが、多様性という意味ではどう考えてますか?

笹生 女子と男子ではツアーの飛距離やコースセッティングが違うので楽しいんじゃないかなと思います。男子ツアーに混ざってプレーしてみたいと思います。

GEW クラブの多様性はどうですか?

三浦 タイガーが復活優勝した際に当社の会長と話をしたんですが、タイガーが復活優勝した際のクラブのロフト角と、ジャック・ニクラウスの全盛時に使っていたクラブが、ロフト角という点において何が違うのか? そのような話をしたんですね。それを考えた時に、30年、40年、50年経ってもトッププレーヤーが考えること、やってることって変わらないんじゃないかなってなったんです。マッスルバックもずっと残ってるし、これからも残り続ける証なのではないかと思ったんですね。

もしかしたら笹生プロが5年後、10年後、変わっていくことが体力的なことなのか、考え方なのか、そのような状況が起きたら道具で対応したい。例えば、これから何十年変わらないものから、自分達の企画ベースで作ることができる寛容性が高いキャストクラブがあれば、いかなる状況に対しても対応できると思います。


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ライター紹介 ライター一覧

吉村真

吉村真

1974年1月22日生まれ、長崎県出身。
パーツブランド、ゴルフ場経営、中古ゴルフチェーン、ゴルフ雑誌を渡り歩き、現在は「月刊ゴルフ用品界」で地クラブを中心に取材、執筆。
国内を始め、中国、台湾、米国のゴルフ用品工場の取材経験もあり、地クラブ・工房ビジネスへの有益な情報発信、国内外の製造拠点などの取材を通してゴルフ用品市場の発展に貢献したいと、東奔西走。ほかには日本ゴルフ用品協会広報委員会アドバイザリースタッフ、販売技術者資格(日本ゴルフ用品協会認定)取得。
プライベートでは1歳男児の日々の成長と格闘中。

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