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キャンピングトレーラーの導入と自習室・サロンの新設により全世代が利用可能な総合スポーツ施設へ

ニュース ゴルフ場 小川朗

ジュニア層には自習室、現役世代にはワーケーション、シニア世代にはサロンを用意。トップトレーサー全打席配備のゴルフ練習場に、プラスアルファがてんこ盛りだ。バッティングドーム、テニスコート、フットサルコートにフィットネスジム、温浴施設にキャンピングトレーラー2台を備えたワーケーション施設まである総合スポーツ施設の存在を、今回はリポートする。

ワーケーションには最適の環境

小春日和の11月19日、金曜日。兵庫県川西市の「多田ハイグリーン」を訪れると、練習場の打席でゴルファーたちが心地よい打球音を響かせていた。

その脇にあるスパ&フィットネスクラブ棟では、多くのシニア世代が汗を流していた。建物を回り込むようにして歩を進めると、目に飛び込んできたのが2台のキャンピングトレーラー。天然芝のサイトにデン、と鎮座していた。

全国でもなかなかお目にかかれない光景である。一体ここで何が起きているのか。

実はこれ、全国でレンタカー事業を展開する(株)ワンズネットワークと包括連携協定を結んだことにより、川西市が無償で借り受けることとなったキャンピングトレーラー10台のうちの2台。

同市の広報誌によれば「同社の所有する「MobiHo」(モビホ)は、全長4・8メートルで全幅2・2メートル、全高約2・4メートル。乗用車でけん引が可能で、必要なときに必要な場所へ移動させることができる。

内部には、ソファや二段ベッドの他冷蔵庫、エアコンなどが備え付けられており、車両のプラグを家庭用コンセントにつなぐことで電源を確保する。最大3人まで宿泊でき、子どもが同伴の場合は、おとな2人子ども2人が宿泊可能」だという。

トレーラー内に入ってみると、落ち着いて仕事をするには、ちょうどいいスペースであることが実感できた。疲れたらごろりと横になれるベッドもある。リモートワークにはうってつけの設備だろう。

用途としては災害時の避難場所などを想定しているが、必要な時に必要な場所へと移動できるメリットがあるだけに、平時にも活用したいところ。そこで市民からも活用方法のアイデアも募集した。

イベント時の救護室や授乳スペース、移動可能なリモートオフィスなどが提案される中で、多田ハイグリーンも手を上げた。ゴルフ練習場施設内での活用を提案したところこれが認められ、実証実験がスタートした。

多田ハイグリーンでは大きく分けて3つのトレーラー活用法を提案している。まず第1にランチピクニック。レストランからトレーラーに食事をデリバリーするプラン。2番目はキャンピングカーとBBQ窯をセットで貸し出すサービス。

そして3番目が個人の書斎・勉強部屋、会議室として、また事業者の打ち合わせ、催事会場、営業ブースとしての活用するアイディアだ。

プライバシーを保てるため、リモート会議や商談も落ち着いてできるし、デスクワークにも集中できることは間違いない。

クラブハウスのレストランも近いし、温浴施設、温水プール、トレーニングジムも目の前。仕事の合間にゴルフの練習をするのもよし、ジムで一汗流すもよし。一日が中身の濃いものとなりそうだ。

自習室やサロンとしても

朝9時から夜9時までの「一日まるまる満喫プラン」(1人当たり中学生以上3980円、中学生以下2980円)はトレーラーとスポーツアクティビティ、入浴がセット。

仕事や勉強がサクサクと、はかどるはずだ、実は多田ハイグリーンの野原和憲社長、さらに先のことを考えていた。

「この近くには小・中・高と多くの学校があります。私にも子供が3人いますが、今どきの子供たちは、放課後は塾の自習室で勉強している子も多いと聞きます。ならばトレーラーや施設内に自習室を作り、集中して勉強をしてもらうのもいい。ゴルフのレッスンも時間を作ってぜひ受けてもらいたいですね」。

ジュニア世代の自習室が、総合運動施設の中にあるというのは、悪くない。学習とスポーツの両立が、ここでなら可能だ。

一方で野原社長はシニア世代への提案も忘れない。「トレーニングに来ている方たちが、ストレッチマットで話に花を咲かせている姿をよく目にします。コーヒー1杯を飲みながら知り合いと話をするために、来てくれる方もおられるわけです。ならば、サロンのスペースを、施設内に作ってしまおうとも思っているんです」。

サロンのスペースと、自習室のスぺースはかなり接近している。これによりジュニア世代とシニア世代のふれあいも、自然に行われることになる。

ジュニアにとってみればシニア世代との交流は視野を広げる機会になり、シニア世代にしてみれば孫世代との会話は癒しにもなる。多くの人々との交流は、フレイル予防のメリットもある。

目前に迫ってきた2025年問題。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、65歳以上も総人口の30%を超えることが確実視されている。

そうなるとクローズアップされるのが、フレイル予防の重要性。定年退職後に周囲との関係性がなくなり自宅にこもりがちになる、一日中パジャマやジャージでの生活が続き、加齢に起因する筋力や筋肉量の減少が拍車をかけると活動、エネルギー消費量が低下していく。

その状態では食欲が湧かないので食事の摂取量が減り、タンパク質をはじめとした栄養の摂取不足による低栄養の状態にもなる。

それが続くと体重が減り、筋力や筋肉量がさらに減少。こうした悪循環がフレイル・サイクルと呼ばれるわけだ。

その先にあるのが転倒や骨折、あるいは慢性疾患の悪化が引き金となった要介護状態。フレイル・サイクルが招く最悪のパターンだ。

フレイル・サイクルの入り口が、引きこもりがちな生活であったというのは良く指摘されるところ。デイサービスに一度は出かけてはみたものの、その後足が遠のく原因の一つが「みんなで同じ体操をさせられたり、歌を歌わされたりして大人の幼稚園みたいだったから」。

そうした不満も、多彩な施設が揃う多田ハイグリーンには無縁だ。「『俺は、スポーツクラブに行ってんねん』、という自覚が、お客様の元気のよりどころにもなっているようです」と前出の野原社長。

スポーツ施設に行くことが習慣化するためには、そこが出掛けて行きたくなる、魅力的なものであることが大前提。

練習場だけでではない、多田ハイグリーンが持つプラスアルファの選択肢の多さこそが、魅力のベースにあることは間違いない。

取材後記

以前「ゴルフ場を造った男たち」という連載で、鳴尾ゴルフ倶楽部のことを書いた。国内2番目のゴルフ場である横屋ゴルフ・アソシエーションとして発足した後、鳴尾競馬場の隣に移転。その後売却話が出て、クラブ運営に深く関わっていたクレーン3兄弟による移転先探しが始まった。

▶だが候補地は遠すぎたり価格が高すぎたりで、なかなか見つからない。能勢電鉄畦野(うねの)駅近くにようやく土地が見つかったが、十分な広さがなかった

▶その時救世主のように現れたのが、畦野村長・野原種次郎氏。ゴルフ場ができれば村の将来にも大きなプラスになると考えた野原氏は、関係地主の説得に当たった。これにより15万坪の土地がまとまり、鳴尾ゴルフ倶楽部の移転が実現。名門・鳴尾ゴルフ倶楽部の誕生である

▶賢明なる読者の皆様はもうお気づきだと思う。今回ご登場いただいた野原社長の曽祖父が種次郎氏なのだ。現在、鳴尾の広報委員も務めている野原氏のゴルフ愛と、事業に対する情熱は、まさしく曽祖父譲り。この人ならば、コロナ後のゴルフ界に、新たなプラスアルファが生み出せる。そう信じずにはいられなかった。

データボックス

《多田ハイグリーン》
▷住所&TEL
〒666-0155 兵庫県川西市西畦野南山2
℡ 072-793-4522 FAX 072-792-4722
▷アクセス
電車の場合=阪急能勢電鉄・平野駅・徒歩15分/阪急バス・陽明小学校前下車・徒歩1分
車の場合=阪神高速池田線・木部IC・10分(無料駐車場300台完備)
▷ゴルフ練習場
総天然芝300㍎121打席 トップトレーサー導入済み ベント芝の練習グリーンあり
ゴルフクリニックもあり
▷ バッティングドーム
準硬式3台/軟式6台完備。 球速は軟式の70㌔(右打席)~準硬式・軟式の130㌔まで
B・Bパートナーと連携し、野球用品の販売・買取も。バット・グローブも無料で試すことができる
プロ野球選手によるマンツーマンレッスンもあり。
▷テニスコート
ナイター完備・8面 ジュニアスクール・レギュラースクールも。
▷フットサルコート
天然芝に近いロングパイル人工芝を使用したフットサルコートを3面完備。ナイターも24時まで営業
キッズ・ジュニアのスクールも。
▷スポーツクラブ
ウォーキング&ランニング用のアクティブスペース、ウォーキング&スイミングができるガラス張りの温水プール、マシンがずらりと並ぶフィットネスジム完備
▷温浴施設
スポーツクラブの1Fにある、平野の高台から汲み上げた天然水使用の温浴施設。露天風呂のほかテレビ付サウナも完備
▷岩盤浴
40℃~45℃に温めた天然岩を使用した岩盤浴施設。室内の温度38℃、湿度60%の中で様々なヨガポーズをとる「ホットヨガプログラム」もあり。
▷鍼灸接骨院
健康保険適用施術のほか、健康保険外、交通事故・労災の施術にも対応。
▷レストラン
喫茶・軽食から食事までOK
▷カルチャースクール
陶芸教室 毎月第1・第3 水・金・土・日曜日  午前の部 10:00~12:00 午後の部 1:00~3:00
▷貸し会議室
会議室としても、友人とのサークルスペースとしても利用可
▷キャンピングトレーラー
川西市と提携して「トレーラーハウス活用事業」2台が試験的に稼働中。練習グリーン、クラブハウスが至近距離にあり、ワーケーションとして利用するには最適の環境。
▷バーベキューガーデン
自然の中のアウトドアバーベキュー施設。好きな食材や飲み物を持ち寄ってすぐに始められます。火おこしや、食後の片付はお任せで。特別価格で、ひらの湯も利用可。


この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2021年12月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。

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ライター紹介 ライター一覧

小川朗

小川朗

山梨県甲府市生まれ。甲府一高→日大芸術卒。82年東スポ入社。「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女のメジャー大会など通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。フリージャーナリストとして本誌を始め、日刊ゲンダイで「ホントにゴルフは面白い!」(毎週金曜日)を連載中。

終活ジャーナリストとして「みんなの介護」でも連載中。日本自殺予防学会会員。週刊誌、ニュースサイトなど各方面に執筆中。㈱清流舎代表取締役COO。東京運動記者クラブ会友。日本ゴルフジャーナリスト協会会長。

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