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  • 千人規模が巻き込まれたゴルフスタジアム裁判に光明みえる

    西村 國彦
    お酒は飲めないしカラオケも駄目の営業下手の弁護士。そんな男が40歳を迎える年、ゴルフを始めたことから人生も性格も激変。ゴルフ大好き仲間を求めるオデッセイになって、世界を放浪。ゴルフエッセイも書く傍ら、法的に弱い...
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    5年前、レッスンプロを中心に千人規模の被害者を出した「ゴルフスタジアム事件」が発生した。リース業界・ゴルフ業界を揺るがせた事件に発展したが、先頃、大阪高裁がリース会社の責任を認めた。販売業者と提携していた提携リース会社に「信義則違反」を認め、リース会社の請求を3割カットした判決だ。東証1部上場企業グループのリース会社が詐欺的販売業者に「加担」していたのか?被害者弁護団長の西村國彦弁護士が、緊急寄稿で複雑な事件の背景を明らかにする。

    事件概要

    (1)本件は、ゴルフ関連ホームページ制作を行うゴルフスタジアム(以下GSという)関連のリース・信販(リースという)取引に巻き込まれたレッスンプロたちに襲いかかった悲劇の話である。1000人を超える集団的な被害が生じた事件でもあり、NHKほかテレビ等でも報道され、大きな社会問題になった。 (2)平成27年、本件被告を含む被害者たちは、GSから広告料の名目で、毎月のリース料と同じ金額を送金するから実質的費用負担がないという説明のもと、ホームページ制作の勧誘を受けた。 (3)言葉巧みなGS営業マンに乗せられ、提携リース会社との間でリース契約を締結させられた被告が、平成29年3月に至り、GSが倒産した結果、原告のリース会社から残リース料およそ168万円裁判上の請求を受けてしまった。その間GSは、同年7月に破産している。 (4)形式的には、①原告被告間のGSが提供したソフトウエアを対象物件とするリース契約と、②被告がGSから広告利用料の支払いを受ける契約が存在した。 (5)契約書をよく読むと、継続的な広告利用料の支払いは保証されておらず、またGSが倒産すれば支払いが事実上ストップする構造になっていた。しかし、ゴルフを業としてゴルフに精通していても、商取引や経済活動のプロではない被害者たちは、契約締結時、将来的にリース料を支払うことになる可能性に気づくことは難しかった。 (6)リース会社と被告は面会したことはなく、もっぱら2つの契約内容の説明は、GS担当者に任されており、契約そのものにリース会社社員が立ち会うことは全くなかった。 (7)わずかに契約成立後、リース会社から被告に電話で、契約したかどうかの確認があるだけであった。 (8)本事案は、平成20年代から再三その弊害が報道されてきた「小口」提携リース被害事案である。 (9)小口提携リース取引が、悪質リース商法の原因となっている理由は、次の通り、通常のリース契約と違うやり方を採用していることによる。①販売業者は、リース会社にユーザーをあっせんすること②リース会社は、販売業者に契約締結に関する事務手続を全て行わせること (10)要するに、リース会社はユーザーに直接説明は全くせず、販売業者とユーザーだけでリース契約も成立する(つまり、販売業者がリース会社の代理人である)かのような異常とも思える取引の形なのだ。

    〈1〉提携リース会社の「悪徳販売業者への加担」が認められた新判決

    本事案について、京都地裁は東証1部上場企業グループの原告リース会社の請求を全額認めた。被告代理人の住田浩史弁護士は控訴。大阪高裁は令和3年2月16日、なんと、リース会社の「懈怠」(けたい)を認めて、信義則上、リース会社請求額の3割カット判決を下した。本事案において、本判決は、①リース会社が販売業者(大坂高裁判決では「サプライヤー」と呼ばれる)との業務提携によりリース契約を獲得して利益を得ていること、②販売業者の販売方法に関する問題改善のためにリース会社が一定の確認行為を行うことなどを内容とするリース事業協会の自主規制規則が公表されていたこと、③本件リース契約締結に際し原告による確認が不十分であったこと、などから、リース会社には私法上顧客の保護が期待されていたとして、信義則を根拠にリース料請求を一定の割合で制限したものである。

    〈2〉大阪高裁新判決の意味

    (1)実は、このようなリース会社の請求の一部を減額する判決は、リース業界では、いくつも出されている。 (2)倒産事件を担当していると、存在しないモノをリースしたり、同じモノを複数のリース会社がリース対象にしたり、犯罪まがいのリースが多い。これらは空リース、架空リース、多重リースと呼ばれる。 (3)なんとしても売上実績が欲しい販売業者は、訪問販売で虚偽説明や不実告知など嘘八百言いたい放題になりがちである。リース会社社員がそこにいれば、絶対にリース契約が成立しないような、セールストークが野放しになっている。 (4)大坂高裁判決は、業界自主規制内容をリース契約に取り込み、リース会社に法的な顧客保護義務を認めた。リース会社の言い訳は許さないという迫力を感じる判決である。 (5)本件も小口提携リースの1・2の特徴(前記事実概要(9)参照)が悪用され、契約ごとに疎いプロゴルファーたちなどが販売業者のターゲットにされたとみるべきである。

    〈3〉過去の裁判例

    (1)裁判所においても、これまで、リース契約のいい加減さがわかる案件では、信義則上の契約締結回避義務(大阪地裁平成24年5月16日判決)や、販売管理義務違反による不法行為責任(大阪地裁平成24年7月27日判決)を認めてきた。 (2)また高裁レベルでも、販売会社とリース会社に不審な動きがある事案で、信義則により請求の半分以上をカットした福岡高裁平成4年1月21日判決などもあった。 (3)本件大阪高裁判決では、GS関係事件でも信義則違反の事情を認定出来ると明言した点が重要だ。

    〈4〉今後の展開は…リース会社の責任は拡大していく。

    (1)現在、東京地裁では7社計10件のGS関係訴訟事件が、終結の段階を迎えている。 (2)ここに来て、判例雑誌で大阪高裁判決の存在が公表され、また大阪地裁でも、高裁判断に従うかのように、信義則を理由としての3割カット判決が出ている(大阪地裁令和3年12月23日判決)。悪徳リース根絶の動きがようやく裁判所において本格的になってきたのだ。

    〈5〉信用ブラック扱いの問題性ほか

    (1)なぜリース会社たちは、小口リース取引をやめられないのか? (2)それは第1に、ユーザーがリース料支払を止めると、信用調査でブラックになり、日常生活が非常にしにくくなることがポイントだ。リース契約に疑問や不満を持った市民が集団で立ち上がらない限り、彼らは皆、毎月支払を継続するので事件化しないからだ。第2に、リース会社は人も労力もほとんど使わず、大量の契約が獲得できるからやめられないのだ。 (3)この時代、販売業者が契約のほぼ全部を代行してくれて売上と利益が転がり込んできて、しかもトラブルがあっても自分たちは「善意の第三者」ぶっていれば裁判所が助けてくれる。そんないいとこ取りの商売が、なぜかこの令和の時代まで生き残っていることがおかしい。 (4)さすがに裁判所としても、ここまで社会問題化した小口リースの問題性を放置することはまずいと判断し始めたのだろうか。 (5)600名を超えるGS・リース被害者団の目標は何だろうか?大阪高裁判決を超えて逆に5割、7割以上カット判決、そして行き着くところは、10割カット判決、つまり被害者全面勝訴判決だろう。 (6)近時マスコミ報道によると、スルガ銀行「かぼちゃの馬車」事件被害者たち946名に対し、不良担保物件を手放せば、全ての銀行債務総額1500億円が消滅するとの全面救済的解決がなされている。 (7)これまでは、証拠提出を当事者に任せるあまり、裁判所が大企業の証拠隠しを事実上容認してきたことで、大企業が裁判所に逃げ込むことを許容してきた疑いがある。 (8)スルガ事件など最近の事件では、裁判所を通さない直接交渉や第三者委員会、監督官庁の調査などの方が圧倒的に裁判所より素早く、事件の真相を明らかにできることがわかり始めている。今こそ、人権の最後の砦と言われてきた裁判所の存在意義そのものが問われているのだ。
    この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2022年7月号(7月1日発行)に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
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