種類の『オデッセイ』と感性の『ピン』
今回はLPGAにおけるパターの動向について報告します。シーズン開幕戦からは使用するパターブランドの変更や使用モデルの変更が起こり、各パターメーカーのシェア、使用率にも変化が起きていて、最終戦近くの状況が今シーズンの集大成となってきます。まずはLPGAで使用率トップのキャロウェイの「オデッセイ」についてです。
2024年シーズンでは約60%前後の使用率を確保、残りをピン、テーラーメイド、スコッティ・キャメロンで分け合っている格好です。

オデッセイでは、ネオマレットの「No7」とワイドブレードの使用選手が目立ち、各モデルにフェースインサートの素材や装着シャフト(スチール・カーボン・ストロークラボ)と、そのバリエーションも多いことが選手からの支持を受けているようです。同じモデルでも、「シーズン当初の芝の速さ」「遅いグリーンへの対応」「後半戦での速くなるグリーンへの対応」も問題なく行われているようです。
パター担当の柳田氏によれば、
「『速いグリーン』にはホワイトホットフェースの軟らかさ、『標準、または遅いグリーン』にはミルドフェースやチタンインサートを薦めることが多いですね。また、自分でパターを動かしてコントロールしたい場合はスチールシャフト、オートマチックに動かしたい場合や手の動きが悪い場合はストロークラボを薦めています」
河本結プロも、
「バリエーションが多いことで、どんな状況にも対応が可能」
と全幅の信頼をおいています。

次にピンの状況です。2024年シーズンは20%前後の使用率を確保していて、使用モデルは『PLD』(パター・ラボ・デザイン)が多くなっています。『PLD』は、ステンレスのフルミルド製法を採用し、ソリッドでダイレクトな打感とボールの直進性を確保する目的で設計された上級者モデルで、パターがうまいプロが特に評価をしてくれるとのこと。岩田氏によると、下記のプロが使用しています。
桑木志帆プロ PLDアンサー2
鈴木愛プロ PLDアンサー2
山下美夢有プロ PLDオスロ3
阿部未悠プロ PLDアンサー5

★この2社の特徴はかなり異なっており、オデッセイは群を抜くヘッド形状とネック形状のバリエーションの多さ。またインサート素材によるボールスピードと打感のコントロール、そして相対的に科学されたパター理論を形にするための開発力には頭が下がります。一方、ピンはソリッドでダイレクトな打感を重視するプロに評価され、プレーヤーの感性をうまく引き出すパターチョイスを提案するミクロの調整がすごいと思いました。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年12月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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