ドライバー用シャフトにおいて、常に飛距離を追求するコンポジットテクノ。最新作の『ファイアーエクスプレス プロトタイプ CB』は、今どきの大MOI(慣性モーメント)ヘッドで飛ばせるように、超カウンターバランス(CB)設計とした。極大MOIヘッドの『Qi10 MAX』(テーラーメイド)に挿して、永井プロがテストした。
まずは動画で
バランスポイントを手元側に寄せたシャフト
永井 大型・大MOIヘッドのドライバーを使うことが多いですが、私はそのときにグリップの下やグリップエンドに鉛を貼って手元側を重くすることが多いんです。手元側にある程度の重量があることで、重い大MOIヘッドのエネルギーや遠心力に負けず、クラブを引っ張って振り下ろしやすくなります。
この『プロトタイプ CB』は、バランスポイントを従来のシャフトにはない手元側に設定して、純正シャフトと同じ長さでもバランスが2ポイント軽くなる超カウンターバランス設計とのこと。バランスポイントを見比べると、今回の試打ヘッド『Qi10 MAX』の純正シャフトに比べて『プロトタイプ CB』のほうが2㎝くらい手元寄りにあります。
大MOIヘッドを代表するモデル『Qi10 MAX』に純正シャフト(50・SR)を挿して打ちました。すると、HSが約40でも飛距離が250ヤード超えと、申し分ないパフォーマンスです。では、超カウンターバランスのシャフト『プロトタイプ CB』にリシャフトするとどうなるか検証しましょう。
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プロトタイプ CB(SR)[/caption]
純正シャフトと同じSR(54g)から始めます。クラブを手にした感じ、初めから手元側に鉛が貼ってあるような手元のしっかり感と重量感が。純正シャフトのときは、細いシャフトの先端にかなり大きい〝塊〟がついてる感じがしましたが、こちらは先端と手元の重量が等しいような感覚があります。
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Qi10 MAXの純正シャフト(SR)[/caption]
球を打つと、クラブパス(軌道)がストレートに近づいて、弾道も右へ行く度合いが抑えられました。手元側の重量感があることで、ヘッドの重さに負けないよう体の左サイドで引っ張る動きがしっかりできて、クラブがインパクトゾーンへ真っすぐ入ってきます。ダウンスイングにおいて、遠心力がかかりクラブが体から離れていこうとするチカラと、それを自分のほうに引っ張ってくる〝綱引き〟の味方が増えたということ。そのように手元側の重量感としっかり感があることで、自分なりの体のパワーや加速度が使えてHSが上がり、飛距離アップにつながりました。
ロフトが立って当たりストレート軌道になる
永井 続いては『プロトタイプ CB』のS(56g)をテストします。手元側の重量感が一段と増して、もう一人の味方がついてくれたような感覚。しかも、SRよりシャフトのしなりが抑えられたぶん、手元側のしっかり感が〝綱引き〟へダイレクトに利いて勝てました。そのように、体の左サイドでクラブを引っ張ることが「ハンドファースト」「ロフトが立って当たる」につながります。
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プロトタイプ CB(S)[/caption]
その表れが、SRよりも打ち出し角とスピン量が抑えられたこと。それから、体のエンジンをふかしてグッと回せることが、HSとボール初速、ミート率のアップにつながったのでは。もう一つのポイントは、クラブパスがよりストレートに近づいて、弾道もターゲットへほぼストレートに飛びました。
カウンターバランスにして手元側の重量感が出ることで、ヘッドと〝綱引き〟をするときの味方が増える。その〝綱引き〟に勝てれば必ず、ハンドファーストでロフトが立つし、クラブパスがゼロ(ストレート)に近い数値になってスクエアに当たりやすい。大MOIヘッドのメリットを最大限に生かして「真っすぐ飛ばせる」ということです。
最後は『プロトタイプ CB』のR(53g)です。こちらも手元側の重量を感じますが、中間から先にかけてのしなやかな動きはRらしい。シャフトがしなるぶんインパクトロフトがついて、Sよりも打ち出し角やスピン量、キャリーが増えました。しなりをハッキリと感じるので、インパクトの感覚としては「体の正面で打つ」という人だと、タイミングが合いやすいでしょう。一方で、しなってもトルクは抑えられているように感じて、フェースが左を向きません(つかまりすぎない)。この辺りも、コンポジットテクノの技術やノウハウが生かされているのではないでしょうか。
総じて『プロトタイプ CB』は、今どきの大型・大MOIヘッドと相性の悪さを感じている人にオススメします。また、アイアンで手元側の重量があるスチールシャフトを使う人が、ドライバーにこのシャフトを入れると〝同じスイングで同じ結果が出る〟という、統一感のあるセッティングになるでしょう。
「手元側に重量があるぶん、クラブを引っ張ってプレーンに乗せられます」
「フレックスがSになると〝綱引き〟の味方がもう一人、増えた気がします」
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