~ゴルフ練習場経営者リレー連載~多田ハイグリーン(4)LINEとQRを活用した 一気通貫CRMシステムの展開へ‼

~ゴルフ練習場経営者リレー連載~多田ハイグリーン(4)LINEとQRを活用した 一気通貫CRMシステムの展開へ‼
昨年の春、私達は「リライト式カードリーダの製造終了」に伴い「LINEアプリ」と「QRコード」を活用した次世代練習場システムについて本誌で紹介しました。そして、1年がかりの開発を経て、本年4月2日より本格展開することが決まりました。私達の想いは、お客様と良好な関係を築くために、お客様に関わる1)情報の収集・管理、2)情報の確認・可視化、3)情報の活用、4)お客様動向の定量検証を新システムにて一気通貫で展開し、私達が抱える顧客関係管理(CRM)の課題解消に繋げることにあります。 そこで、新システムの導入で4つの「CRM課題」が、いかに解消されるのかを紹介してゆきます。 1) お客様情報の収集・管理 練習場で管理する情報には、氏名・住所などの個人情報と残高・利用履歴などのカード情報がありますが、個人情報とカード情報の連携には、お客様が個人情報を提出し、私達がお客様のカードに個人情報を紐づける必要があり、稼働負担が大きくなります。この課題に対して「LINEアプリ」と「QRコード」を活用し、「LINEアプリ」のカメラで「QRコード」を読み取ると、LINEを通じてお客様が入力した個人情報と、QRにてチャージした残高や利用履歴が自動的に紐づくため、情報連携の稼働軽減とシステムのカードレス化に繋がります。 2)お客様情報の確認・可視化 お客様情報を収集・管理することで、私達は情報を遠隔で確認できる反面、お客様はチャージ機や配球機でしか自分の情報を確認できないので、利便性が低下します。この課題に対して「LINEアプリ」に「QRコード」と共に、新システムのサーバーから転送したデータを表示させることで、LINEでのチャージや球出しに加え、残高・利用履歴を遠隔で確認できるため、利便性の向上に繋がります。 3)お客様情報の活用 お客様情報を収集・管理し、確認・可視化することで、私達はお客様の行動履歴や属性を分析できます。しかし、情報を分析し傾向を把握しても、お客様へのアプローチ(情報の活用)が、対面営業やDM施策といったアナログな活用に留まり、システムを活用したアプローチが困難でした。この課題に対して、以下で紹介する3つの「CRMツール」を開発し新システムに搭載することで、効率的で有効なアプローチを展開し、お客様との良好な関係構築に繋げます。

【デジタル会員証】

私達とお客様を繋ぐ会員証は、アナログのカードからデジタルへと移行しています。最近では独自アプリを開発し、会員証の表示やお得な情報を発信する企業が増えています。しかし、お客様の端末に様々なアプリが氾濫すると、独自アプリは埋もれてしまい、お客様とのコミュニケーションが滞ってしまいます。 そこで、お客様がコミュニケーションツールとして頻繁に使用している「LINEアプリ」とデータ連携し、LINE上に「QRコード」を添付したデジタル会員証を表示することで、お客様との接点機会を向上させます。

【メンバーシッププログラム】

また、会員登録したお客様の利用履歴をもとにリワード(特典)を進呈する「THGメンバーシッププログラム」を導入し、ロイヤリティの向上に繋げます。これは、期間中のチャージ金額と来場回数に応じてランクを付与し、ランクに応じてボール単価や付帯サービスの割引が享受できるプログラムです。お客様は、チャージ金額・来場回数・ランクを「LINEアプリ」でリアルタイムに確認でき、ロイヤリティの高いお客様ほど魅力的なサービスを享受できます。ランクやリワードは個別に自動更新するので、効率的なロイヤリティの向上に繋がります。

【カスタマイズ通知】

さらに、個々のお客様の利用履歴や属性をもとに「LINEアプリ」でお得な情報を発信する「カスタマイズ通知」を展開します。DMは郵送費用がかかり、メールでは情報が埋もれ、またLINEでは個々のお客様へカスタマイズした情報発信が困難です。 そこで新システムでは、収集したデータをもとに様々な条件でフィルタリングをかけ、個々のお客様の利用状況やステータスに応じて、カスタマイズされたお得な情報をLINEで通知することで、綿密なコミュニケーションに繋げます。 4)お客様動向の定量検証 私達は地域で暮らすあらゆる世代の人々に対して、健康で豊かな暮らしにつながるサービスを提供し、お客様が生涯に渡りサービス享受していただくことを目指しています。そのためには、付加価値の高いサービスを提供し、ロイヤリティを高め続けることが重要です。しかし今まで、私達はお客様のロイヤリティを高めるために展開したアプローチの影響や効果を定量化して検証する術がありませんでした。 この課題に対し、新システムでは、お客様へのアプローチにより得た影響や効果をLTV(顧客生涯価値)で検証してゆきます。LTVは、購入期間×購買単価×購入頻度で算出されます。新システムでは、期間中(購入期間)の、チャージ金額(購買単価)と来場回数(購入頻度)により、個々のお客様のステータスを7段階でランク分けします。 つまり、新システムで付与されるランクは、お客様のロイヤリティをLTVで定量化したランクであるため、期間中のアプローチにより変動した各ランクのお客様の増減数を分析することで、ロイヤリティの定量検証に繋がります。 このような想いを込めたシステムが、4月2日より本格稼働します。今後試行と検証を繰り返すことで標準化し、多くの練習場に広く水平展開することで、私達と共にCRM課題の解消につなげてゆければ幸いです。私達の挑戦は続きます。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年3月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら