2024年9月、中国の天津に突如、巨大インドアゴルフ場がオープンした。運営するのはゴルフゾンの中国法人・ゴルフゾン中国社で、施設名は「CITY GOLF」(シティゴルフ)という。
施設面積は東京ドームの3分の1の広さである約5000坪で、天高は約18m。総工費4000万元(約8億円)を投じた巨大インドアゴルフ場だ。敢えて「インドアゴルフ場」と記したのは同施設が一般的な「インドアゴルフ練習場」とは異なる特徴を持っているからだ。
ゴルフゾンジャパンは4月、メディア向けに同施設の体験ツアーを実施。GEW記者も参加してきたので以下で体験レポートを掲載する。
【動画】「シティゴルフ」をレポート&体験
まずは「シティゴルフ」の体験動画を観てもらいたい。
デジタルとリアルのハイブリッドゴルフ
施設内には18打席が完備されているが、通常のインドアゴルフのように1打席で18ホールを完結するわけではなく、1ホールごとに打席を移動しながらプレーしていくスタイルだ。つまり、ゴルフ場のように1番から18番までを順番に回っていく。

1組に1人、キャディがつき手引きカートでクラブを運んでくれる。キャディはシミュレーターを操作してくれるだけでなく、「ナイスショット」などのかけ声で積極的に盛り上げくれるため、気持ちの良いプレーを味わうことができる。シミュレーターは最新モデル『TWOVISION NX』で、内蔵のコースは同社オリジナルのコースだ。

まずは通常通りシミュレーターでラウンドをしていく。『TWOVISION NX』はシミュレーター内の芝の状況とリンクしてショットマットやスタンスマットが複雑に傾斜する構造になっており、リアルなラウンドが体験できる。

そしてここからが「シティゴルフ」の最大の特徴だ。グリーンオンもしくはグリーンエッジ付近までボールが到達すると自動的にスクリーンが開き、その向こうに広がる実際のグリーンで残りのプレーを行うのだ。

グリーンはシミュレーター内のグリーンと同じ形状に作られており、天井に吊るされたレーザーマーカーで各プレーヤーのボール位置を色分けして示す仕組みだ。グリーンは人工芝だが、本物のグリーンさながらの微妙なアンジュレーションがあり難易度が高い。グリーンエッジ、ラフも再現されており、ラフからのチップショットはウエッジが下を潜ってしまうため、ボールにクリーンにコンタクトする必要がある。
中には池やバンカーが備え付けられているグリーンもあり、場合によってはバンカーショットをすることもできる。バンカーは細かい石が敷き詰められており、砂のように散らばらない。

ホールアウト後はグリーン脇に備え付けられたタブレットにパット数を入力しスコア登録する仕組みだ。この作業もキャディが行ってくれる。

体験前は侮っていたが、ラウンドを進めるにつれて次第に疲れてショットが乱れてくる。グリーンの難易度も次第に増してきて油断をすると3パットを連発してしまう。インドアでありながら限りなくゴルフ場に近い、「インドアゴルフ場」という新たな形態を確立している。
入会金10万元のメンバーシップ制

天候に左右されない快適な環境で、限りなくリアルに近いゴルフが体験できるとあってゴルフの敷居が下がりそうだが、入会金は10万元(約200万円)、プレフィーはメンバー平日248元(約4960円)・同伴者500元(約1万円)、祝日はメンバー300元(約6000円)・同伴者600元(約1万2000円)と、富裕層向けだ。
会員は400名を上限で考えており、現在は20名。他にも、メンバーからの紹介のみで、1年限定会員を入会金2万元(約40万円)で5名のみ募集している。
同施設の責任者であるシン・ディ総経理は、

「8月にも延吉市に2号店をオープン予定で、上海、北京、大連、深圳などの国内を中心に海外展開も計画しています。ゴルフゾンのハイクオリティ戦略を軸に3年で300施設を目標にしたい。近年は中国のプロが世界大会やオリンピックで好成績を収めたことで、中国国内でもゴルフが注目されています。商機はあると思っています」
同社のアンバサダーを務める、てらゆープロは、

「初心者にルールやマナーを教えるのは難しい。実際のゴルフ場だと後続組のこともあるので落ち着いて教える時間はありません。その点、『シティゴルフ』のような施設が日本にもあれば、ルールやマナーも落ち着いて教えられる。ラウンドレッスンにも最適だと思います。それと人工芝なのでいつ来てもグリーンが同じクオリティを保てることも利点です」
ゴルフゾンは今後、日本にも同様の施設を展開したいという。天津の「シティゴルフ」は富裕層向けの施設だが、日本では料金含め違った展開方法になる可能性もある。利用しやすい価格帯になれば新規ゴルファー創出に一役買うかもしれない。
今後の「シティゴルフ」の展開に注目だ。