マイカスタム第25回 HS33m/sの女性ゴルファーに ロフト9度と30g台のXシャフト

マイカスタム第25回 HS33m/sの女性ゴルファーに ロフト9度と30g台のXシャフト
ゴルフ5プレステージといえば、アルペンの中でもひときわ目立つ高級ゴルフショップ。現在5店舗あり、外国人や経営者層が場所柄多いのが広尾店。今回は同店に夫と訪れた40代女性のAさん。HS33m/sと典型的な女性ゴルファーだが、ドライバー飛距離は140ヤード程度。悩みは球の上がらないスライス。そのAさんに薦めたのが軽量だがロフト角9度のPXG「ウルトラライト」と、軽量だがフレックスXの三菱ケミカル「バンキッシュ」(3X)の組み合わせ。それでスライスが改善され、飛距離はなんと210ヤードまで伸びたという。驚きのフィッティング術に迫る。

「身体を回す」を最初に教える その弊害がスライサーを生む

今回のフィッティングのポイントは、「日本人はスライサーが多い」ということの理由につながると、小池儀クラフトマンは説明する。 「日本人のインストラクターは、まず身体を回す、手打ちはダメと教えます。それで身体を回した結果、インパクトで身体が先に開いてスライスになります。つまり、ボールを逃がす動きを最初に教えてしまうからスライサーが多い」 ところが米国は逆で、 「最初に腕を振るということを教える。ボールをつかまえることを教えるんです。その後に体重移動を含めて、下半身の動きを教え、ボールを逃がす動きを学ぶ。その後にバランスを取るんです」 前者の「身体を回す」動きはテニスや野球経験者に多く、今回の悩める女性ゴルファーAさんもテニス経験者。悩みの種は弾道の低い飛ばないスライス。先の小池クラフトマンの分析に合致する。Aさんのスイングは、テニスでボールにドライブをかけるような動きで、インパクト前に身体を開いてしまう。身体が回りやすく、シャフトが軟らかいレディス仕様のドライバーだと振り遅れが発生する。ボールをこすってしまい、球が上がらずドライバーの飛距離は140ヤード程度だった。それを解決したい。原因は他にもあるようだ。

アッパー度合いは6〜7度 女性ではあまりない数値

Aさんのスイング特徴は数値にも表れており、女性ゴルファーの平均的アッパー度合いは3〜4度だが、Aさんは6〜7度と度合いが強い。それに加えて、女性ゴルファーはクラブが短いこともあり、ダウンブローが強い。この数値のバランスから、そもそも女性用ドライバーのロフト角は13.5度のハイロフトが多いわけなのだが、 「Aさんはアッパー度合いが6〜7度なので、インパクトロフトを相殺するためロフト角9度以下のヘッドが必要です」 さらにヘッド重量も大事な要素で、 「女性はクラブが重すぎるとスイング中にクラブを支えられず、ダフってしまうので、軽量ヘッドが必要です」 それでAさんに薦めたのがPXGの「ウルトラライト」(ロフト9度)だ。一方でシャフトは、 「Aさんは切り返しのタイミングが速く、シャフトに負荷をかけるスイング。軟らかいシャフトだと暴れるんです。なので軽量かつ硬いシャフトを選びました」 薦めたのは三菱ケミカル『バンキッシュ』の3X。できたクラブは、総重量253g、長さ45㌅、振動数266cpmという特殊なクラブになった。

フレックス選びは切り返しのタイミングで行うべき

[caption id="attachment_87905" align="alignnone" width="788"] ※写真は「5S」。実際にフィッティングで採用したのは「3X」です。[/caption] この組み合わせで、 「飛距離は最大210ヤードまで伸びたので、Aさんは大喜び。大事なことは軽量化もありますが、クラブの切り返しの速さでフレックスを選ぶこと。この視点も必要だと思います」 振り遅れが発生していたAさんは、硬いシャフトを使うことで振り遅れが改善され、低スピンのヘッドでもアッパー度合いが強いのでボールがドロップしない。スピン量も3000rpm以上だったが、1800rpmまで減少し、クラブが軽量で振り切れるようになった。45㌅の長尺でHSが上昇したことも、飛距離の大幅アップに寄与している。 「ただ、Aさんは100切りゴルファーです。今回のフィッティングは限界を求めた処方なので、ご主人の理解を得ながらのフィッティングでした(笑)」 HS33m/s前後の女性ゴルファーが総重量253gとはいえ、振動数266cpmのドライバー。常識にとらわれないフィッティングこそが、マイカスタムの要諦といえるだろう。

メーカー担当者コメント

PXGジャパン フィッター 秋元悠也氏  「インパクトロフトを考慮して、ロフト9度を選んだフィッターさんが素晴らしいです。ハイロフトと軟らかいシャフトの組合せは、インパクトでロフトが寝る可能性が高く振り遅れがち。女性ゴルファーであっても、テニス経験者でリストが強いからこそ『3X』の選択も、素晴らしい判断だと思います」

ゴルフ5プレステージ広尾店とは

ゴルフ5プレステージ広尾店 〒106-0047 東京都渋谷区広尾5丁目7−35 広尾コンプレックス 1F TEL:03-3446-5021 HP:https://www.golf5-prestige.jp/store/hiroo/ この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年6月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。