マイカスタム第21回【4plus Fitting Labo & Golf Salon】ダウンブローで開いた当たりからマッスルでつかまえて重心に当てる

マイカスタム第21回【4plus Fitting Labo & Golf Salon】ダウンブローで開いた当たりからマッスルでつかまえて重心に当てる
2022年、元マミヤの吉川仁氏が立ち上げたのが、「ギアーズ」「トラックマン4」「GCクワッド」などの最新計測器を設置した『4plus Fitting Labo & Golf Salon』だ。レッスン、フィッティング、工房に加え、食事やお酒なども楽しめるサロンも完備。ゴルファーの憩いの場となっている。今回の悩めるゴルファーは47歳の女性Aさん。独特のスイングはダウンブロー度合いが強く、アイアンの球が上がらず飛距離をロスしている。Aさんに薦めたのがグラインドワークスのマッスルバック『MB101A』と藤倉コンポジットの『MCI』(50S)の組み合わせ。Aさんの飛距離は伸びた?

ドローの球筋が必ずしもインサイドアウトではない

最新鋭の測定器が揃う4plusはレンジ、レッスン、フィッティング、クラフトに加えサロンでの飲食も楽しめる。それぞれの会員合計は200名ほどで、そのほとんどが熱心なゴルファー。だから、トレンドに影響を受けやすいゴルファーも多いと吉川氏は解説する。 「特にシャローなスイングですね。ゴルフを始めるとスライスに悩まされる時期があるから、ドローボールへの憧れが強い。それで『ドローを打つスイング』=『インサイドアウト』と思い込んでいるゴルファーが多いんです。それで流行りのシャローなスイングを取り入れてしまう。今どきの高慣性モーメントのドライバーとは相性が悪いですから、球が散らばると思いますね」 そんな流行に左右されるゴルファーが多い一方で、今回の悩める女性ゴルファーAさんは流行には見向きもせず、独特のダウンブローでゴルフを楽しんいる。 「ボールを投げるなど、下半身から動き出す動作のスポーツ経験がない女性ゴルファーの多くは、上半身だけでスイングするのでシャフトをしならせる時に必要なタメができない。それで直線的にインパクトを迎え、入射角が強く、バウンスの強いソールだとハネる。打点位置と重心が合わず、飛ばないんです」  まさにAさんがそれだ。低重心で幅広ソールのアイアンに、タメが作りにくいスチールシャフトのセッティング。7番アイアンでキャリーが100ヤード未満と悩んでいた。

高重心、短重心距離で打点位置と重心を合わせてつかまえる

Aさんに推奨したヘッドはグラインドワークスの『MB101A』。以前使っていたヘッドより重心は5㍉ほど高い。 「ダウンブローで入射角が3〜6度あって、ヘッドの重心より上に当たっていたインパクトを、比較的重心の高いマッスルバックのヘッドで打点と重心を合わせました」  さらに『MB101A』は重心距離が短く、ボールをつかまえてくれる。それによりミート率も向上したという。加えてソール幅が狭いため、ハネ返りが軽減されてヌケも改善された。シャフトは藤倉コンポジットの『MCI』(50S)をセッティング。その理由を吉川氏は、 「以前使用していたスチールシャフトは、直線的なインパクトを迎えるスイングだとタメを作れなかったと思います。そこでカーボンのしなりでタメを作り、さらに先端が当たり負けしない厚いインパクトが可能になりました」  結果、入射角も2〜5度程度に抑えられ、つかまったインパクトでキャリーも115ヤード程度まで伸びたという。長さは7番で以前の37.75㌅から37㌅と0.7575㌅短くなった。短くなればアップライトにクラブを振りがちになるが、その点にも『MCI』を勧めた理由があるという。

縦にクラブを振る女性は多い 軽く短い初心者セットの弊害

[caption id="attachment_88898" align="alignnone" width="788"] ※実際採用されたのはフレックス「5S」[/caption] ここでひとつ疑問が浮かぶ。Aさんのスイングはアップライトでダウンブローが強く、重心と打点が合わないことで飛距離をロスしている。なのに、アップライトなスイングになりがちな短いクラブを推奨した。その理由について、 「『MCI』はタメを作りながらシャフトのしなり戻りが強いんです。結果として、横方向の挙動が強くてボールを拾ってくれました。今回のケースに限ってはヘッド特性との相乗効果で、短いクラブでもインパクトでのダウンブロー度合いが軽減されたと思います」 この現象は女性用の初心者セットでよく見られるという。 「軽くて短いクラブを上半身だけでスイングする女性は多く、ダウンブローのインパクトになって飛ばない女性は多い」 Aさんのケースで、吉川氏は新たな発見があったという。 「Aさんの場合は『やってみよう!』ということで、このセッティングを試して効果があったんです。身体の動きもインパクトの現象も複雑なので、試してみることが重要だと再認識しました」 常識にとらわれず、試してみる。フィッターの探求心がゴルファーの悩みを解決したといえるだろう。

メーカー担当者コメント

藤倉コンポジット プロモーションチームリーダー 飯田浩二氏 「『MCI』(50S)」はヘッドスピード40m/sのゴルファーが対象ですから、Aさんに合っているシャフトだと思います。そして、シャフト重量の割には硬くないという特徴がタメを作る要素になったと推測できます。フィッターの経験が生きたセッティングだと思いますね」

4plus Fitting Labo & Golf Salonとは

〒162-0846 東京都新宿区市谷左内町5 Lowp B1 TEL 03-6842-9033 URL https://4plus-golf.com/ なお、この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年2月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。