栃木県宇都宮市では屈指の入場者数を誇る筑波ジャンボゴルフセンター。その片隅で営業するのが、SKゴルフショップ。練習場に通う常連客からプロゴルファー、そして初心者まで面倒見るのが鈴木康友店長だ。今回の悩みの主は、40歳の女性ゴルファーAさん。週1回プレーするヘビーゴルファーで、スコアは80台後半。悩みは女性に多いバンカーからの脱出。そのAさんに鈴木店長は、比較的重い310gのヘッドと超軽量スチールシャフトの組み合わせを提案。ポイントは「重い」「タメ」「短い」だった。
女性ゴルファーには分からない 「カットに入れる」って何?
SKゴルフショップに集うゴルファー は様々で、腕前もいろいろ。むろん、女性ゴルファーも多いのだが、男性に通じ るゴルフ用語が、女性には通じないことが多いという。
「女性ゴルファーにはバンカーが苦手な人が多いですね。そうなると男性ゴルファーなら『カットに入れる』『ボールの手前から砂をエクスプロージョンさせる』などとアドバイスすれば、そのスイングをイメージしてもらえますが、女性は言葉からイメージできる人が少ない。スイングをあれこれ言っても効果がないことが 多いんです」
その典型が今回のAさん。鈴木店長によると、ティーショットや芝からのショット、スイングは申し分ないが、どうし てもバンカーから出せない。
「Aさんの悩みを聞いて、最初はスイングの仕方を話していましたが『どうやって良いか分からない』と。これはクラブで何とかしなければならない。そう思ったんです」
そこで提案したのがアクシスゴルフの『Z5TOUR WEDGE』と日本シャフトの超軽量スチールシャフト『Zelos6』。その組み合わせでバンカーから脱出できるようになったのか?
「重さ」で落として「シャフト」でタメを作る

今回のヘッドはアクシスゴルフの『Z5TOUR WEDGE』で、ヘッド重量310g 、ロフト56度のモデル。通常のヘッドは300gだが、
「ヘッドの重さで砂を爆発させてバンカーから脱出させたかったので、310gのモデルに決めました。バンスが大きすぎ ないのも決め手です」
バンスが大きいと、非力な女性はヘッドが弾き飛ばされるからだ。そのヘッドに組み合わせたのは先調子だがタメが作りやすく、68.5gとスチー ルでは超軽量の日本シャフト『Zelos6』。グリップを入れて総重量は428gのバランスC8。大手クラブメーカーが展開 する女性用ウエッジに比べれば 30gほど総重量が重くなる。
シャフト選定の理由も明確だ。
「バンカー脱出にはダウンスイングでタメを作って、一気にコックを解いてヘッドを手前から入れることが必要ですが、タメを作れる女性は少ないんです。それをシャフトで補いました」
Aさんの身長は160cm ライ角64度だから34 ㌅

もうひとつポイントだったのがクラブ長。Aさんは身長160㎝。それに対して今回のヘッドのライ角は64度。市販の女性用ウエッジは35㌅が多いが、今回の組み合わせは1㌅短い34㌅で組み立てた。
「ロフトが56度だからアプローチでも使うことが前提です。クラブが35㌅だと160㎝のAさんはトウが浮いて左にひっかけてしまいます。短いと扱いやすく、重いクラブなのでボディーターンでスイングしやすくなる。アプローチでボールを突っつくなどがなくなって、安定すると思いますね」
さらに、鈴木店長が補足する。
「バンカーだけならクラブ全体の重さが最優先なので、シャフトはDGS200でも良いと思います。ただ、ロフト56度のウエッジはアプローチでも使う。非力な女性ゴルファーへのセッティングが前提なので『Zelos6』を選びました」
とはいえ、ヘッドは重量級、シャフトは軽量級、長さは短いと意外なセッティングだといえる。鈴木店長は、
「女性がバンカーにつかまると気分が相当落ち込むそうです。それを手助けするために工夫しました」
女性の悩みを解決したバンカー脱出ウエッジ。意外な組み合わせが、マイカスタムの本領発揮といえる。
メーカー担当者コメント
アクシスゴルフ 代表取締役社長 大越和幸氏
「『Z5TOUR WEDGE』の通常モデルはヘッド重量が300gなんです。ただ、多くのティーチングプロと話すと、女性がバンカーで困っているという話を聞いて、少し重めのヘッドを作った経緯があります。今回のフィッティングでも、それがハマったと思いますので、是非、参考にしてもらいたいですね」
SKゴルフショップとは
〒321-0917
栃木県宇都宮市西刑部町1951-1筑波ジャンボゴルフセンター内
TEL&FAX:028-656-9925
URL:http://www.sk-enterprise.co.jp/web/index.html
なお、この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年4月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。