群馬県高崎市のゴルフプラスといえば、北関東を代表するゴルフショップ。毎年大規模な地クラブ試打会を主催することでも知られており、本店(高崎店)と前橋店、そして系列会社でゴルフ練習場、インドアゴルフも経営している。今回のマイカスタムは、本店の荒井貴之店長に話を聞いた。荒井店長にお悩み解決を依頼したのが48歳の男性Aさん。ゴルフ歴は5年と浅いが、HS50m/s前後のハードヒッターだ。スライスを嫌がりチーピンが癖になった。当たれば飛ぶが、方向性に悩まされている。提案したのは操作性に長けたヘッドwaowwの『BANG』と藤倉コンポジットの限定シャフト『ベンタス ホワイト』。これでチーピンは治ったのか?
「やさしい」はそれぞれのゴルファーでまったく違う
ゴルフプラスはフィッティング販売が中心で、地クラブのみならず、大手メーカーのクラブも扱っている。「AI」や「10K」、そして「高MOI」など、いま流行りの商品も充実するが、だからこそ荒井店長は警鐘を鳴らす。
「多くのメーカーが『やさしいクラブ』とPRしていますが、ゴルファーそれぞれに『やさしい』は違うんです。例えば『高MOI』イコール『やさしい』といわれても、ヘッドを操作できないゴルファーにはフェースが開いたら開きっぱなし。ヘッドが回転すれば、ずっと回転してつかまり過ぎる。ゴルファーにとって難しいクラブになりますね」
高MOI=安定する、メーカーはお題目のように唱えるが、ゴルファーは千差万別だと強調する。
今回の患者Aさんにも当てはまる。Aさんはサッカー経験者で、上半身、特に腕の使い方が分からない。スライスに悩んでドローに憧れるが、下半身が強く軸もシッカリして、インサイドから煽って球をつかまえようとリストを使いすぎる。結果チーピンが発生する。
高MOIのヘッドだと、ヘッドは回転しすぎてチーピンが発生。フェースが開いたままだと右プッシュとなる。そこで提案したドライバーヘッドが、ディープフェースで投影面積の小さいwaowwの『BANG』。シャフトは藤倉コンポジットの限定品『ベンタス ホワイト』のフレックスR2。
ヘッドが勝手に動いてシャフトでタイミングをとる

もともとAさんは、流行りの高MOIヘッドと60g台のXシャフトを使用していた。
「球が曲がるゴルファーに多い思考として、シャフトが硬くなれば曲がらないと思っている。だけどシャフトのしなりを作れなければ、リストや腕を使いすぎてつかまり過ぎたり、フェースが開けば右プッシュも出る。Aさんの症状です」
そこで、同じ高MOIでも投影面積が小さく低スピンの『BANG』、そして40g台の『ベンタス ホワイト』(R2)を提案した。ヘッドの選択理由は、
「ディープで小ぶりに見えて、つかまるヘッドに見えるからです。Aさんは、無理に操作しなくても勝手にヘッドが動いてくれるように見える。それと低スピンという特徴も決め手でした」
インサイドから煽っても、ヘッドは低スピン。加えてシャフトは40g台でR2の『ベンタス ホワイト』。
「Aさんのスイングは腕の関節を使わないロボットのようで、しなりを作れていなかった。さらに重いシャフトで球にヘッドをぶつけていました。そこでタメ、しなりを作り、先端が当たり負けしない軽くてタイミングが取れるシャフトにしたわけです」
シャフトが軟らかいため打ち急げず、ゆったりしたリズムを意識して、結果しなりが作れるようになった。ヘッドが勝手に動いてくれるように見えるから、リストを必要以上に使わない。
「そのようなスイングに改善され、飛距離も安定して真っすぐ300ヤード。平均スコアも80台になりました」
というから、Aさんの喜ぶ顔が目に浮かぶのである。
長い目で見たフィッティング ゴルファーの未来を繋ぐ

今回のフィッティングでは、
「ヘッドを変えるだけでも良かったと思います。なぜなら、手をこねなくてもヘッドが回転するように見えるから、無理に球をつかまえに行く動きをしなくなります。ただ、長い目で見ると、それではタメもしなりも作れないスイングが身についてしまう。だから、シャフトも軟らかくしました。一種の矯正ですね」
荒井店長は対処療法ではなく、根本的に改善するフィッティングを施した。
「この先もゴルフを楽しんでもらいたい。未来に繋がるようなフィッティングを心掛けました。加えて、なぜ球が曲がるのか? その仕組みも今回のフィッティングで分かってもらえた。それでスコアアップにつながったようです」
ゴルフを楽しく続けられる。その未来をクラブで繋ぐのも、工房ならではと言えそうだ。
メーカー担当者コメント
WAOWW 我妻弘津江 社長
「市場では『BANG』よりも高MOIのヘッドが山ほどありますが、その意味でいうと『BANG』は、ある程度操作の出来るヘッドとして開発しました。この方の場合、『ヘッドを返したい』とのことですので、『BANG』がミートしたと思われます。でも、力がある方なので、返しすぎてしまうきらいがある。そこで40gR2というスペックがハマったのでは? シャフトは、重い=硬い、軽い=柔らかい、というのが定説です。また、操作性の部分では、硬いシャフトは敏感に反応する一方、柔らかいシャフトは鈍感です。つまり、遊びが大きいため、操作してもし過ぎない点が好結果に結び付いたのでしょう。近年は軽量で柔らかくても当たり負けしない『シャフトの進化』を痛切に感じます」
ゴルフプラス本店とは
〒370-0069
群馬県高崎市飯塚町485
TEL:027-395-0763
FAX:027-364-8569
https://www.golf-plus.net/
なお、この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2025年9月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。