本間ゴルフが直営店で『ハドラス』を採用! メーカーにもたらす付加価値の中身とは?

本間ゴルフが直営店で『ハドラス』を採用! メーカーにもたらす付加価値の中身とは?
アドウェルがゴルフ業界に展開するガラスコーティング剤『ハドラス』が今年に入って新たな動きを見せている。顧客満足と販売店の利益を両立する点が注目され、韓国のゴルフ市場が取り扱いを開始。今後は世界展開も視野に入れる。 そして6月中旬より、ゴルフクラブメーカーの本間ゴルフが直営30店舗での採用を決めた。販売店が育てたビジネスが、ついにメーカーにも公式に認められた。 そこでGEWでは本間ゴルフの小川典利大社長とアドウェル富山暁社長の対談を誌面化。『ハドラス』導入の決め手を徹底取材した。

アドウェル×本間ゴルフ

『ハドラス』は販売店が育ててきた商材ですが、それがメーカーにも採用されたことは業界的にも注目のニュースだと思っています。小川社長は以前から『ハドラス』をご存知だったのでしょうか? 小川 私はスポーツ業界が長かったので、量販店やメーカーとお付き合いをする中で、『ハドラス』のことは聞いていました。よく週末にショップを回るのですが、パンフレットや店内POPで訴求されているのを見て認識していました。 『ハドラス』採用の経緯は? 小川 弊社は日本国内に最大級の自社工場(酒田工場)を持っており、30店舗の直営店も運営しています。その中で我々の考えはとにかくユーザー第一ということ。カスタムを通してユーザー一人一人に合うクラブを提供していきたい。その観点で、社員から『ハドラス』のことを聞いた時、カスタムの一つとして、率直に素晴らしい商材だと思いましたし、採用したら面白いんじゃないかなと思いました。 ハドラス 本間ゴルフ アドウェル 富山 そこが素晴らしいですね。私もゴルフメーカーに30年いましたが、外部の商材をメーカーのトップが採用するってなかなか難しいんですよ。立ち上げ当初、メーカー各社を回った時、試打クラブへの施工を検討してくれましたが結局採用にならなかった。一方、本間ゴルフさんはものすごいスピード感で導入してくれてとても驚きました。 小川 そこは自然な感じで決まりましたね。弊社は『T//WORLD』を年1回、『BERES』を2年に1回出していこうという中で、本来は毎回買い替えてほしいわけです。でも今の時代、モノを大切にする、今使ってくれている本間ゴルフのクラブをより長く使ってもらうという考え方も重要だと。そのために『ハドラス』は非常に有効だと思いました。 富山 メーカーとして本音は新製品に買い替えてほしい。販売店からも当初、シューズに施工すると長持ちするから新品が売れなくなると言われました。ところが実際は施工件数が増えてもシューズの売上は落ちない。それどころかお客さんの方から今回も『ハドラス』をやっておいてと頼まれて、リピートビジネスになっている。モノからコトへの転換というか、小川社長がおっしゃるように、せっかく買った大切なクラブを長く綺麗にというのがお客さんにも響いたんですよね。 小川 なるほど。それと私の中で、本間ゴルフと言えばパーシモンというイメージがあるんです。酒田工場で昔のパーシモンのクラブを見ると、しっかりコーティングされていて今でも光輝いているんですよ。これはもう感覚の部分ですが、本間ゴルフと『ハドラス』の相性がすごく良いなというイメージが湧いたんです。ただ、もちろん採用に際しては、工場で弊社の職人が様々な検査をさせていただきました。 どのような検査をやられたんですか? 小川 弊社のユーザーは同じクラブを長く使う方が多いので、例えば『ハドラス』がシャフト変色や劣化、破損の原因にならないか、シャフトの再コーティングや、ヘッド塗り替えサービスの際に、その作業を阻害してしまう成分はないかなどです。専門の品質保証部署が様々な検査をして全く問題がないということでした。 ただメーカーによっては『ハドラス』コーティングした製品は保証の対象外にするという話もあります。 小川 そういった事例があることは『ハドラス』を推奨した弊社の商品企画部からも聞いていました。各社色々な考え方があるので私がどうこう言うことではありませんが、本間ゴルフとしては工場での検査で全く問題ないと判断しました。お客様にも自信を持ってお勧めできると考えています。 ハドラス 本間ゴルフ アドウェル 富山 ありがとうございます。御社は先入観を持たず、実際に調べた上で結論を出されています。その企業姿勢は素晴らしいと思います。

1週間で100人に施工 ゴルファーとの会話のきっかけに

『ハドラス』を始めて店舗スタッフの声はいかがですか? 小川 6月16日から開始して、まだ10日ほどですが、まず第一に新しいサービスができたということで、お客様との会話が生まれました。直営30店舗の大半ではレッスンもやっていますが、レッスンに来るお客様は本間ゴルフの古いクラブの方もいるし、約50%は他社のクラブなんですね。そういう方に新しいクラブだけでなく、『ハドラス』単体の施工も勧められる。既に店舗では獲得に注力していますし、店の利益に寄与していると思います。 実績はどのくらいですか? 小川 開始から1週間のデータですが、「ハドラスW」(ウッド、ユーティリティ、シャフト用)が137枚、「ハドラスUSED」(アイアン・ウエッジ用)が120枚出ているので、単純計算で257本のクラブに施工していることになります。客数で言うと約100人のお客様に施工しています。 富山 1週間で250枚以上? それはすごいですね! 在庫が足りないんじゃないですか? 小川 実際に各店の店長からもなくなると困るので補充してほしいという声が出ていると聞いています。特に高崎店では1週間で60枚。件数で言うと30件と好調です。数日前に数字が送られてきた時に、想定より件数が多いので最初は嘘じゃないの? と思ったくらい(笑)。これは可能性がある商材だなと。現状は既存顧客にお勧めしてアイアンセットなどにまとめて施工している状況で、高崎店の成功事例を他店にも共有し、今後は新品クラブへの施工を伸ばしていきたいと思っています。 ハドラス 本間ゴルフ アドウェル 富山 数日前に実施した『ハドラス』のオンライン勉強会でも、スタッフの皆さん熱心で、深く理解しようとしてくれているのが分かりました。ある店長からはシューズにも施工できないのかと質問があったくらいです。 小川 それは良かったです。シューズに関しては、競争の激しい市場ですので我々も慎重になっているというのはありますが、パトリックとのコラボモデルなど自信の持てる商品もできたので検討してもいいかもしれません。 シューズの施工に関して、ある販売店では毎月の1店舗当たりの施工件数は約200件あるそうです。別の販売店では持ち込みでの施工も多いと聞きました。 富山 エコージャパンも『ハドラス』にお墨付きをくれています。 小川 なるほど。そういう話を聞くと、持ち込みのことも含め前向きに検討したいと思いますね。

新しいクラブ開発を実現する『ハドラス』の可能性

富山 先程の小川社長のパーシモンの話で言うと、「ハドラスUSED」を塗ることで木材への水の浸入をシャットアウトできます。そこで私はパークゴルフ協会に『ハドラス』をコーティングしていいか確認に行ったら、後から塗るのは認められないと。ただ、製造段階で最初からコーティングしておけばルール違反にはならないとのことでした。 ハドラス 本間ゴルフ アドウェル 小川 なるほど。最初からならOKなんですね。 富山 御社はパークゴルフのクラブも作っていると思いますが、例えば製造段階で『ハドラス』をコーティングしておけば、ユーザーも朝露などを気にせず使えると思うんです。 小川 パークゴルフのクラブは別の考え方ではあるのですが、次の段階として検討できるかもしれません。 以前USTマミヤから『ハドラス』を最初から施工した『ハドラススマッシュ』というシャフトが発売されました。御社でもそのような製品を作る可能性はありますか? 小川 可能性はあると思います。クラブの素材もパーシモンからカーボンに変わりルールも変更されてきた。その中で我々も開発の枠を閉じてはいけないと思っています。おそらく外資メーカーは自分達の枠を超えた開発にチャレンジしているはず。一方、日本企業は真面目だからなかなかユニークさを入れないけど、そこは老舗として弊社は品質を守りつつ、色々な開発にチャレンジしていきたいと思っています。 富山 そういった柔軟な考え方は素晴らしいですね。ここ数年、外資メーカーに押されて国産メーカーは旗色が悪い。小川社長の柔軟な発想があれば、本間ゴルフさんが楔を打てるかもしれない。 実は実験してみて面白い現象が2つあったんです。まず1つは、あるボールメーカーに調べてもらったら、今まで何をやっても変わらなかったボール性能が、『ハドラス』でかなりの違いが出たということ。 もう1つは、クラブのフェース面に『ハドラス』を施工するとスピンが減るということ。今メーカーは打ち出し角の確保と低スピンという、相反する性能の両立という壁に当たっていますが、もしかしたら『ハドラス』をフェースにコーティングしてスピン性能を落とし、例えばロフトを13.5度にしたらすごく飛ぶドライバーができるんじゃないかって。もちろん後からコーティングするとルール違反ですが、『ハドラススマッシュ』のように最初からコーティングしていれば問題ないわけなので。 小川 なるほどね。 外資メーカーと渡り合うには、素材革新が重要だと? 富山 はい。だから今後御社が新製品を開発する時に、「ガラス」というものを採用して何かを作られた時にとんでもない製品ができる可能性もあると思うんです。 小川 その辺りは企画や開発の担当者と相談しながら、最初からコーティングするのか、あるいは直営30店舗で後から施工するのかも含め検討したいと思いますね。

本間ゴルフ×『ハドラス』の未来

ハドラス 本間ゴルフ アドウェル 富山 実は2021年に一度、御社に『ハドラス』を提案したことがあったんです。その時は前に進みませんでしたが、小川社長の体制になってご一緒できた。小川社長は以前、デサントジャパンの社長を務めていらっしゃいましたが、実は先日、弊社にデサントジャパンの方が3人でいらして、今市場で『ハドラス』が受け入れられているので、自社シューズとの相性を見るために試したら、撥水性や汚れの付きにくさが確認できた。そこで革でも試してみたいと言ってくれたんです。嬉しかったですね。でもそれはもしかしたら、小川社長が残した考え方が、今でもデサントで生きているのではないかと思ったんです。 小川 それはどうかは分かりませんが、コカ・コーラ、アディダスというグローバル企業から、初めての日本企業であるデサントに行った時に、一人一人のユーザーのために、日本の国内工場からより品質の高いものを世界に発信していかないとグローバル企業には勝てないと思ったんですね。それは常々社内にも伝えていました。勝手な想像ですが、高機能・高品質のシューズ開発に取り組む中で、撥水性、防水性、傷つきにくさを追求して、今の若手メンバーが『ハドラス』の性能を確信して、御社に行かれたのかもしれないですね。 富山 そんな雰囲気は感じました。 最後にまとめをお願いします。 小川 次回の『T//WORLD』は私が1から携わったモデルで、性能は他社に負けない、すごく良いものができました。その次の『BERES』、さらに次の『T//WORLD』くらいになると、いよいよ本間ゴルフが出てきたなと感じてもらえると自信を持っています。その中で、私はクラブは工芸品であるべきで、ゴルファー一人一人が信頼できる品質でなければいけないと思っています。その意味でも『ハドラス』は我々の武器になると自信を持っています。 富山 私が学生の時、本間ゴルフのクラブに憧れていました。反発規制で性能が横並びの中、これからはステータスだとか付加価値を与えられるメーカーが勝つと思うんです。今日の対談で小川社長がそういった感覚をお持ちの方だと分かりました。これからの本間ゴルフさんが楽しみですし、そこに『ハドラス』が少しでもお役に立てたら嬉しいと思いますね。 小川 頑張らないといけないですね。 富山 今後ともよろしくお願いします。