グローブライドは9月、2年ぶりのフルモデルチェンジとなる『ONOFF KURO』(オノフKURO)を発売した。今作は市場ニーズにマッチした高MOIと他社にはない独自機能を組み合わせた意欲作。
そこで、自らも『オノフKURO』を愛用する、ゴルフ5 プレステージ新宿店の隠岐和也フィッターが『オノフKURO』のドライバーからアイアンまでを一挙に試打。一新した『ラボスペックシャフト』も含め徹底解説する。
隠岐 個人的にオノフは長年使っていますが、特に気になっていた『KURO』が出るので楽しみにしていました。早速試打していきたいと思います。
【動画】『オノフKURO』(2026)をエースフィッターが徹底試打
まずはエースフィッターの隠岐氏によるドライバーからアイアンまでの一挙試打動画を観てもらいたい。
即体感できる高初速で圧巻の飛び! 振り心地もアップしたドライバー
■ ドライバー(10.5度)
隠岐 まず前回の『KURO』に比べて少し投影面積が大きくなりましたが、『KURO』らしいスッキリさも残っています。
早速打ってみましたがこんなに飛ぶんですね。驚いて言葉が出ませんでした‥。インパクトで球を押し込める感覚があり、打った瞬間、初速が出たのが分かりました。前作は自分でうまく打てれば飛ぶという感じでしたが、今作は何もせずに易しく飛んでいく感じ。パワートレンチを改良して、ソールのプレートで剛性を高めているとのことですが、それが影響している可能性は高いです。
データを見て驚いたのがバックスピンの少なさ。1939回転と、2000回転を割っているのでかなり効率良く飛ばせていることが分かります。今作はフェースの場所によってレーザーミーリングの密度を変えており、センターは密度を低くしてスピン量を抑え、逆にトゥとヒールは密度を高くしてドロップなどを抑えるようにしています。この低スピン弾道はフェースの効果が出たと言えそうです。
それと感じたのが振り心地の良さ。従来の「クロスバランステクノロジー」に加え、今作はシャフトの手元側にタングステンを混ぜて重くすることでアマチュアゴルファーに多い手元の浮きを抑えています。振り心地の良さはこれらが効果を発揮した結果と言えそうです。
一新した『ラボスペックシャフト』で弾道も変化!
[caption id="attachment_90076" align="alignnone" width="2560"]

上:純正シャフト 試打データ
中:SHINARI 40 試打データ
下:TATAKI 40 試打データ[/caption]
隠岐 今回は『ラボスペックシャフト』の『TATAKI 40/50/60』と『SHINARI 50/60』が一新され、さらに『SHINARI 40』と『ST-65』が追加されました。中でも気になるのは『SHINARI 40』と『TATAKI 40』。ドライバーの弾道がどう変化するのか試してみたいと思います。
■ SHINARI 40
隠岐 ワッグルすると確かに軽いですがしっかり感があります。打ってみると、しっかり感はありつつシャフトが動いてくれる感覚。『HASHIRI』ほど戻ってくる感じが強いわけではなく、つかまりはほしいけど引っかけたくないという方に丁度良いシャフトだと思います。これはフィッティングする上で便利そう。マッチする方が多そうですね。
■ TATAKI 40
隠岐 次に『TATAKI 40』を試打しましたが、『SHINARI 40』と比べて全く違う振り感ですね。先端が硬めで、左に巻き込むミスを軽減してくれます。各社から元調子系のシャフトが色々出ていますが、この重量帯でこれだけはっきりと元調子の特徴が出ているモデルはあまりない。その意味でも元調子が好きだけど、今の重量がしんどくなってきた方が重量ダウンする際に選択肢に入ってきそうなモデルだと思います。
ライ角調整可能で真芯ヒット率アップ! “驚”弾道の飛びフェアウェイウッド
■ フェアウェイウッド(5番)
隠岐 実は個人的に10年くらい前のオノフの3番ウッドをずっと使っているので、今作の試打を楽しみにしていました。
まずヘッドは小ぶりでシャープな印象ですね。オノフはウッドの顔が綺麗ですが今作にも踏襲されています。それと従来モデルに比べてリーディングエッジが適度に出ており球を拾ってくれそうですが、過度な出っ張りは感じない。工夫した顔になっています。
試打してみましたが、またしても言葉が出ませんでした‥。トータル234ヤード。普通はここまで飛ばないんですけど、これ本当に5番ウッドですよね? 実は今、若干ダフリ気味だったんですが非常に抜けも良かった。

もう1球打ってみましたが、これは気持ち良いですね! 音も打感も最高です。明らかに従来モデルと比べて初速で前に球を飛ばしてくれています。それでいて危なっかしい低スピン感がない。この辺りはパワートレンチの効果もありそう。私もようやくフェアウェイウッドを変えられそうです!
それと今作には可変スリーブによる弾道調整機能もついておりロフトの調整で最適弾道を出すことができるようになりました。私の中ではライ角をフラットに変えられる点がポイントが高いです。というのもフェアウェイウッドは比較的アップライトに作られていることが多いので、トゥアップでインパクトしているお客様が非常に多いんですね。そういった時にライ角をフラットにすることで、ソールも滑りやすくなりスイートエリアでとらえやすくなる。この調整ができるようになったのはフィッターとして非常に嬉しいですね。
左を恐れず高弾道! 寛容性もアップした狙えるユーティリティ
■ ユーティリティ(4番)
隠岐 まず構えてみると前作に比べてヘッドが大きくなった気がします。従来の『KURO』のユーティリティはシャープで、どちらかと言うとアイアン寄りだったのですが、今作は丸みも増して安心感があります。

試打してみましたが、フェードの弾道になりました。見た目に反して、『KURO』のユーティリティの特徴である左に飛ばないという良い部分はしっかり引き継いでいますね。ユーティリティで左に飛ぶミスはバックスピンが減って致命傷になってしまうんです。正直打つまでは、大きくなったことでつかまりが良くなり左のミスを誘発するのではと懸念したのですが、それも杞憂で、球の上がりやすさも進化していました。
フェアウェイウッド同様に可変スリーブでロフトやライ角を調整できるので、これもかなり活躍してくれそうですね。
重量変えずに重心距離を変化! 新機能搭載の高完成度アイアン
■ アイアン(7番)
隠岐 まず見た目がカッコいいです。それとバックフェースに「ターンウエイト」というアルミのプレートが付いており、それを回転させることでヘッド重量を変えずに重心距離を変えられるという機能がついています。
まずは通常の状態で打ってみました。驚いたのは打点がフェースの下(データ参照)だったのですが、手が痺れることもなく打感もソフトで、距離も通常の7番と同じくらいでした。ヘッド内部の樹脂量を増やし、フェース下部も薄肉化しているとのことで、その構造が効果的に働いていそうです。

次に「ターンウエイト」を回転させて重心距離を短くして打ってみましたが、狙い通り弾道が変わりましたね。1球目のフェード気味の球に対して、2球目はドローボールになりました。

私自身、そこまでヘッドサイズが大きいアイアンを使っていないので、重心距離を短くしたことで自分のアイアンに近い振り心地になって打ちやすかったです。それとリーディングエッジが削られているので、非常に抜けも良かった。
今の検証からも分かるように、重心距離を変えられることでアスリートライクなアイアンの振り感とフルキャビティの振り感を両方再現できると思います。ヒールヒットの方は重心距離を短くし、トゥヒットの方は重心距離を長くするなど、打点の傾向で「ターンウエイト」を変えることもできますし、「ターンウエイト」の中心にあるウエイト重量を変えることで様々な調整ができそう。その意味でも広いゴルファーに合うアイアンだと思います。
意外と打てる! 幅広くマッチする新『オノフKURO』
隠岐 全体を通しての感想は「すごい!」の一言。
ウッドはとにかく初速が速い。圧倒的な飛距離性能に、従来の『KURO』にはなかった易しさが乗ってきた印象です。一方、アイアンは軟鉄の打感の良さを味わえると同時に寛容性もある。中空の良い所を引き出せている非常に完成度の高いアイアンだと思います。
細かい調整も色々できるので、これまでの『KURO』ユーザーの方はもちろん合いますし、従来の『KURO』だと難しすぎるかなと敬遠していた方も、「意外と打てるな」と思っていただけるのではないでしょうか。フィッターとしては、今作は非常にフィッティングのし甲斐があるモデルだと思います。是非幅広い方に打っていただきたいなと思いますね。