振り心地は自分で決める!STMの重量可変グリップ「G-Jack / G-Jack+」開発の背景

振り心地は自分で決める!STMの重量可変グリップ「G-Jack / G-Jack+」開発の背景
今年3月に発売され、一部YouTuberの間でも話題となっているSTMの重量可変グリップ「G-Jack / G-Jack+」。そこで今回は、昨年11月に本社移転をしたSTM本社を訪れ、企画開発室部長の金山敬史氏に本社移転の狙いと「G-Jack / G-Jack+」について話を伺った。

まずは動画でインタビューの様子を

開発体制強化のために本社移転

―まず、本社移転の経緯についてお聞かせください。 金山 2023年11月に本社を大阪市住吉区から堺市に移しました。目的は「開発力の強化」です。従来は滋賀県の長浜工場で量産を中心に行い、一部製品については外部に依頼していた部分も多かったのですが、堺への移転に伴い、3Dモデリングから金型製作、射出成形までをすべて自社内で完結できる体制を整えました。 ―まさに一貫生産体制を強化されたわけですね。 [caption id="attachment_90145" align="aligncenter" width="788"] 新社屋外観。1階に研究開発施設や工場、3階に本社事務所や試打ブース等をそなえている。[/caption] 金山 そうです。長浜工場は引き続き量産拠点として稼働していますが、堺では新素材のテストや新製品の開発を中心に進めています。自社でモデリングから金型までできることで、開発スピードが格段に上がりました。OEMの細かい依頼にも迅速に対応できますし、ゴルフ以外のスポーツ分野からもパーツなどの試作の相談をいただくようになりました。国内メーカーとしてのフットワークの軽さをさらに活かせる環境になったと感じています。

「G-Jack」開発のきっかけ

―その新体制での最初の製品が「G-Jack / G-Jack+」になるのでしょうか。 金山 はい。今年3月の展示会に合わせて販売を開始しました。従来品「G-Rex」の外形をベースにしながら、グリップエンドに樹脂製のパーツを埋め込み、そこに着脱式のウエイトを装着できるようにしたのが大きな特徴です。 [caption id="attachment_90146" align="aligncenter" width="788"] 1階工場内部。射出成型機4台をはじめマシニングセンタ等を完備し、3Dモデリング、金型製作、射出成型まで一貫して行うことが可能になった[/caption] ―重量可変グリップというのは珍しいですね。 金山 これまでも「カウンターバランスで手元を重くする」といった発想はありましたが、私たちはもう一歩進めて「重心をフローさせる」ことを目指しました。つまり、単に重量を足すのではなく、グリップ単体の中で重心位置を移動させることで振り心地を調整できるようにしたわけです。 ―その発想に至った背景には、どのようなエピソードがあったのでしょうか。 金山 あるゴルファーの方が、非常にパワーがあるのにドライバーの飛距離が伸びないという悩みを持っていました。ヘッド側を重くしても改善せず、逆に手元を重くしてみたところ急にスイングに合って飛距離が伸びたのです。個々の体格や筋力、スイングタイプによって「最適な振り感」は違う。そこに着目して開発が始まりました。

重量可変の仕組みとその効果

―具体的にはどのような仕組みになっているのでしょうか。 金山 グリップ本体としては38gの「G-Jack」と48g「G-Jack+」の2種類があり、それぞれに1.2gのウエイトが標準装着されています。さらに2gから20gまで、2g刻みのウエイトを別売りで用意しました。アルミ、ステンレス、タングステンと材質を変えることで、重量調整を可能にしました。 ―調整幅はどのくらいですか。 金山 「G-Jack」なら約39gから58gまで、「G-Jack+」なら約49gから68gまで調整できます。たとえば同じ50gでも、単純に本体が50gのグリップと、38gのグリップに12gのウエイトを装着したものでは重心位置が異なり、振り感も大きく変わります。前者は重心位置がほぼグリップの中心に来ますが、後者はよりグリップエンド側に重心位置が移動するわけです。ここが「G-Jack」シリーズの最大のポイントです。 ―実際のプレーヤーの反応はいかがでしょう。 金山 アベレージゴルファーの方からは「飛距離が伸びた」「振り抜きが良くなった」といった声をいただいています。ウェッジでは「ヘッドの入りが安定する」という評価もありますね。一方で、プロや上級者からは「自分のセッティングに合わせた微調整ができる」という点が評価されています。人によって最適解が違うため、一概に「この重量がベスト」「この組み合わせがベスト」とは言えませんが、それこそが本製品の面白さだと思っています。

ゴルフをより楽しむための新しい提案

―読者に向けて、最後にメッセージをお願いします。 金山 私たちはあくまでも黒子の立場で、ヘッドやシャフトの性能を邪魔しないグリップを作りたいと考えています。そのうえで、「G-Jack / G-Jack+」はゴルファー自身が振り心地を追求できる新しいツールです。グリップを交換するだけでクラブの表情が変わり、一度諦めたクラブがエースクラブになるかもしれません。 ―まさに「振り心地は自分で決める」というわけですね。 金山 はい。私自身もゴルフは上級者ではありませんが、練習場で重さを変えながら試すだけで驚くほど球筋が変わるのを実感しました。これは〝調整〟であると同時に〝遊び〟でもあります。大人の趣味としてのゴルフを、より深く楽しんでいただくきっかけになれば嬉しいですね。

ライターAが実際に体感!

[caption id="attachment_90159" align="aligncenter" width="788"] 最終的に、自身のクラブと同じようなスペックがもっとも振りやすく感じたことが判明し、ひと安心[/caption] 最初はもっとも軽い組み合わせから試してみました。ヘッドは7番アイアンで、シャフトはN.S.850GH(S)、グリップは標準ウエイト(1.2g)の「G-Jack」。この状態で総重量は410g、クラブバランスはD0.7でした。 次にウエイトを一番重い20gに交換すると、総重量は429g、バランスはC5。前者のほうが総重量は軽いのですが、相対的にヘッドが重く、効いています。逆に後者は、総重量は重いものの、ヘッドが相対的に軽く感じるようになります。 7番アイアンということもあり、飛距離等に劇的な数値的な変化はなかったのですが、振り心地は全然違います。自分好みの振り心地を探すには、最初に両極端のスペックを試して、徐々に軽いほうを重く、重いほうを軽くという順番で試していくと、「ここだ!」という振り心地が見つかります。グリップのウエイトを変えるだけで、こんなに振り心地が変わるとは……。ぜひ、この違いを体感してほしいです。 お問い合わせ:(株)STM ☎072-362-7770 http://www.stmgolf.com