マイカスタム第34回【ヤード・アップ】生涯一のウエッジへの出会い 重軟シャフトとつかまるヘッド

マイカスタム第34回【ヤード・アップ】生涯一のウエッジへの出会い 重軟シャフトとつかまるヘッド
栃木県宇都宮市の中心部から少し離れた住宅街。そこで30年以上にわたりゴルファーの面倒を見ているのがヤード・アップの山中敦取締役。御年70歳の同氏は量販店に14年勤務した後、独立して工房を立ち上げた。クラフトマン歴は半世紀に近い。そのベテラン職人を頼ったのが、遥か千葉県幕張市から来た73歳のシニアゴルファーで、悩みはウエッジのザックリとトップ。原因は硬すぎるシャフトに、つかまらないヘッド。薦めたのはキートンのウエッジ『SCREW TYPE R』とターフの『PROTOTYPE』。ザックリは治ったのか?

数値に頼るゴルファー 重要なのは3つの物差し

クラフトマン歴45年。パーシモンから現代のクラブまで、ゴルファーに寄り添いながらクラブを提供してきた山中氏は、計測器の進化に一家言持っている。 「弾道計測器が時代と共に進化して、そのデータに頼り過ぎ、自分自身の中に独自の物差しを持っていないゴルファーが多いと思います」 山中氏のいう「独自の物差し」とは、クラブの長さ、重さ、硬さへの感じ方だという。 「自分が使っているクラブに対して、長く感じるのか、短く感じるのか。重く感じるのか、軽く感じるのか。硬く感じるのか、軟らかく感じるのか。3つの物差しは人それぞれですが、この感覚を失って数値だけに頼ってしまうと、いろんな症状が出るんですよ」 その「3つの物差し」を持ち、ウエッジにボンヤリとした違和感を覚え、山中氏を頼ったのが73歳のベテランゴルファーA氏。ドライバーのHSは35m/s前後とゆったりとしたスイング。週1回のゴルフを欠かさないという。 「ウエッジでザックリとトップが止まらないということでした。原因は硬すぎるカーボンシャフトとアドレス時にボールがつかまらないように見えるヘッドでした」 そこで薦めたのが、キートンのウエッジ『SCREW TYPE R』と、ターフの『PROTOTYPE』だった。ザックリとトップは直ったのか?

つかまるネック形状 軟らかく速いしなり戻り

A氏が使っていたのが、しなりが少ないカーボンシャフトとネックの飛球線側が少し膨らんでいるヘッド。 「まず、しなりが少なく硬く感じるカーボンシャフトですが、しなりが少ないためA氏には少し硬すぎた。A氏のスイングはゆったりとしてシャフトがしならない。ボールに上手く当てようとして身体が浮き上がっていたんです。それがザックリとトップの原因でした」 そこで薦めたのが『PROTOTYPE』。重めのシャフトだが軟らかく、しなり戻りが速い。ゆったりスイングにはその重さと軟らかさ、そして絶妙なしなり戻りで身体が浮き上がらないスイングになったという。 一方のヘッドだ。ウエッジは多くの場合、リーディングエッジが直線に見えず丸みを帯びて見え、それが出っ張りに見える。また、ネックの飛球線側の形状が丸みを帯びたウエッジは、それも出っ張りに見える。出っ張りが2つあると、その2つが直進するように見えて、ボールがつかまりづらく見えるという。 「それでキートンの『SCREW TYPE R』を選びました。このウエッジはネックの側面がストレートに見えて、ネックとフェースの繋がり部分の懐を明確に視認できる。アドレス時にボールがつかまるイメージが出るんです」 この組み合わせでA氏の症状は改善され、60度のウエッジを含め、同じ組み合わせで一気に5本購入したという。

悩むゴルファーに心地よさを売っている

5本のウエッジを新調したA氏から山中氏に喜びの電話があったという。 「朝の10時半くらいでしたね。『いま現場だけど、73年生きてきて、こんなに合うウエッジは初めて!』だと、プレー中のゴルフ場から電話をくれました。嬉しかったですね」 山中氏は45年のベテラン工房マン。それゆえ多くのゴルファーを診てきたという。山中氏がいう「3つの物差し」を持ち、ウエッジに違和感を覚えたベテランゴルファーA氏のフィッティングは、大成功に終わったようだ。 山中はゴルフクラブを売りながら、別の「何か」を売っているという。 「昨今はヘッドとシャフトを接着するだけの工房が多いと聞きます。独立して30年も続けられるのは、手前味噌ですが、丁寧な仕事をしてきたからだと思うんですよ。何を売っているかの? たぶん、心地よさを売っているんでしょう」 パーシモンで修行して、計測機器も頼り過ぎない。そんな職人が、73歳のシニアゴルファーに生涯一のウエッジを提供できた。職人の技が冴える。

メーカー担当者コメント

KEYTONE 営業部長 飯野秀樹氏 「ヤード・アップさんはベテランで知見も経験も豊富。そのため『キートン』の顔やネック周りの形状について、深く理解してもらえているのが、今回のフィッティングの成功につながったのではないかと思います」

ヤード・アップとは?

〒320-0831 栃木県宇都宮市新町2-7-4 TEL 028-651-2722 https://yard-up.com/ なお、この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2026年3月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。