電気代の高騰は、ゴルフ場経営にとって「一気に跳ねるリスク」となっている。
磯子カンツリークラブが『ソーラーカーポート』導入に踏み切った起点も、まさに電気代だったが、ゴルフ場特有の運用実態が、駐車場に想定外の「付加価値」を生み出した。
名門ゴルフ場の設置にまつわる話を、磯子カンツリークラブ総務部向山寧彦氏と、しろくま電力 電力事業部阿部夏実氏に聞いた。
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磯子カンツリークラブ向山寧彦氏(左)、しろくま電力阿部夏実氏(右)[/caption]
電力単価急騰が突きつけた「経営リスク」
GEW
まず磯子カンツリークラブ(以後磯子CC)さんの特徴から伺います。都心近接の利便性に加え、「飽きのこないゴルフ場づくり」を続けていると。
磯子CC
はい。1960年開場で、今年で66年の歴史になります。立地条件として都心に近く利便性が抜群です。オーナーの意向もあってリニューアルは常に行い、「飽きのこないゴルフ場」を目指しています。
GEW
今回のテーマである『ソーラーカーポート』ですが、導入のきっかけは「電気代削減」だったと伺っています。
磯子CC
私たちは、2021年9月ごろから、脱炭素社会の実現に向けて、磯子CCでも何かできないかと検討を始めました。
加えて翌年からのロシアによるウクライナ侵攻以降、電力単価が急騰し、前年4月はkWhあたり20円くらいだったのが、その後わずか1か月程度で36円になり、このままいくと50円になるのでは?という試算がありました。
当時クラブハウスの年間電力費は約1500万円でしたが、50円になると2800万円規模になると予測されました。
この試算だと経営を圧迫するので、何としてでも自家消費に置き換える必要があると思い、クリーンエネルギーを活用した検討を急ぎました。
トンネル上3mという制約 特殊立地が生んだ難題
GEW
ただ磯子CCとの場合、導入までが一筋縄ではなかった。トンネルの上に駐車場があるという特殊条件があったそうですね。
磯子CC
駐車場の下が横浜市のトンネルで、トンネルと駐車場の間隔が3mしかなく、荷重制限が厳しい。
最初は環境省の資料で、リーディングカンパニーとして名前が出ているところに相談しましたが、荷重制限で設置が難しかったり、「トンネル上だと責任が持てない」と言われたりして、辞退されました。
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柱の無い「片持ちタイプ」のカーポート[/caption]
「柱を立てない」という選択と片持ち構造との出会い
GEW
交渉していた施工会社が辞退とのことで、イチから探し始めたそうですね。そこから軽量で、屋根を片持ちで支えるタイプを採用している『しろくま電力』に行き着いたと。
磯子CC
はい。従来の四本足タイプのカーポートだと「必ず柱に車両をぶつける事故が起きやすい」ことを知りました。
磯子CCはお客様の年齢層が高いし、高級車・大型車も多い。前に柱があったら事故が起きる可能性が高いなと考えました。
屋根を後ろ側だけで支える『片持ちタイプ』を探して、ようやく条件に合うところに辿り着いたのがしろくま電力でした。
AI『グリーンマップ』で発電量を可視化
GEW
提案にあたり、しろくま電力としては、ゴルフ場案件は手探りの部分もありましたか。
しろくま
はい。ゴルフ場への導入は当時まだ少なく、「ゴルフ場という特徴に対してどういうご提案ができるか」を徹底して考えました。
片持ちで駐車しやすいこと、日除け・雨除けとしての価値、長時間駐車が前提の施設に合う点などにおいて、ゴルフ場との親和性は非常に高いと思っていました。
提案に際し、当社はAIを活用した『グリーンマップ』を用いています。地域ごとの日射量データや日陰の影響も踏まえて発電量を算出し、適正なPV容量(太陽光発電システムが発電できる電力の最大量)や蓄電池容量を選定します。
ただし駐車場は多種多様で、マップでは確認できない大木などもありますので、最後は現場に赴き、人の目で確認して最終判断を行いました。
年間24万kWhを自家消費 700万円削減のインパクト
GEW
磯子CCさんは2024年4月に運転開始したそうですが、導入した結果、削減効果は数字に出ましたか。
磯子CC
導入前、クラブハウスの年間電力使用量が約52万kWhでした。直近の実績だと、年間の電力使用量が約28万kWhになっていて、差分の約24万kWh分を『ソーラーカーポート』で賄えている。
金額で言えば、導入前が年間約1500万円かかっていましたが、直近では約800万円と、約700万円の削減になりました。
これはかなり大きい効果です。蓄電池の運用はまだ試行錯誤なので、改善できればさらに削減できると思っています。
GEW
「電気代削減」以外のメリットはなにかありましたか。
磯子CC
最初は雨が降った時に屋根があればいいなという程度でしたが、異常気温に加え暑い時期が長い。
ゴルフ場は車の駐車時間が長く、野ざらしだと帰る頃に車内が暑くてすぐ乗れない。従業員の車もそうです。
これは費用換算できませんが、メリットは本当に大きい。コストの点と、日除けの点で一・二を争うくらいの効果がありました。もちろんお客様からは大好評です。
104台・総額1億円超 補助金活用という現実解
GEW
今回の導入規模や費用感についてお聞かせ下さい。
磯子CC
屋根がかかる箇所の駐車台数は104台です。費用はEV設備や蓄電池、またそれに付随する設備などの費用を合わせて約1億超円で、国や自治体の補助金も活用し金額はかかりましたが、メリットはとても大きいです。
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初期費用0円の『オンサイトPPA方式』[/caption]
初期費用0円の『オンサイトPPA方式』という選択肢
GEW
磯子CCでは設備の購入を選択しましたが、しろくま電力では、今後は『PPA方式』も提案の中心になると聞いています。
しろくま
近年は当社が設備を保有し、初期費用0円で導入いただく『PPA方式』をご提案しています。
20年間の電気料金を固定で弊社にお支払いいただきますが、電気代の変動リスクを抑えられる点、および国や自治体などの補助金を活用できる点も含め、ゴルフ場様の安定経営に寄与できると考えています。
近年、猛暑が続いているので、「初期費用なしで駐車場に屋根が設置できる」メリットもあると思います。
GEW
「電気代削減」から始まりましたが、結果として「駐車場の価値」を引き上げました。磯子CCの事例は、他のゴルフ場にとっても導入検討の入口になりそうです。
磯子CC
そう思います。磯子CCは、特殊条件もありましたが、電気代高騰のリスクはどこも共通です。「コスト」と「屋根」の効果が見えたので、増設を早急に進めたいと考えています。
お問い合わせ しろくま電力 ☎03‐6868‐5268
https://corp.shirokumapower.com/