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  • プレー人口激減期(18-23問題)とゴルフ場(第14回) 暑熱環境下におけるキャディユニホームへの提言(1)

    北徹朗
    <現職>武蔵野美術大学身体運動文化教授・同大学院博士後期課程兼担教授、サイバー大学IT総合学部客員教授、中央大学保健体育研究所客員研究員、東京大学教養学部非常勤講師 <学歴>博士(医学)、経営管理修士(専...
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    コロナ環境下で一時的にゴルフ人口が増えているという報道もあるが、人口減少や少子高齢化の推移を見ると、今後もゴルフ人口の減少傾向が続くことは間違いない。この連載では、筆者が提唱する「18―23問題」(2018年~2023年にかけてのゴルフ人口激減)に立ち向かうための改善策や基礎資料に基づく提言を述べさせて頂く。

    最も考えられるべきキャディの熱中症対策

    本誌2021年9月号および10月号の連載において「ゴルフ場の労働環境と社員の健康」の観点での調査結果を報告した。そこでは、キャディやコース管理など屋外業務従事者が不足していること、キャディの骨密度は高めの傾向が見られたこと、労働時間中の歩数は「コース管理従事者」が最も多く(4万3629歩)、次いでキャディ従事者が多かった(2万1606歩)ことなどを報告した。 歩数が最も多かったコース管理従事者については、最初の組がスタートする前の時間帯(早朝)と最終組がホールアウトする前後の時間帯(夕方)にまとまった活動量が見られた。要するに、酷暑の時間帯を避けた朝夕での活動が多いが、キャディの場合は最も気温が高くなる時間帯に活動している。 近年、「観測史上最高」という言葉が頻繁に聞かれるようになり、突発的な猛暑に見舞われることが増えている。キャディはプレーヤーに随行しつつ、「4人分のクラブを運ぶ」、「ボールを探す」、「カートに乗らずに移動する」等々の行動からもわかるように、プレーヤーよりも活動量は多い。すなわち、暑熱環境下におけるキャディの熱中症対策はプレーヤー以上に考えられる必要があるし、気候候変動が著しい近年の状況からはこれまで以上に慎重になる必要がある。 こうした背景から、本号から数回に渡りキャディの暑熱対策について各種データからの提言を述べさせて頂く。

    関東地方のAゴルフ場での実地踏査(2021年8月20日)

     データ収集に協力頂いたAゴルフ場は名門と言われるゴルフ場である。キャディユニホームの特徴、調査日の環境等は以下であった。 〈キャディユニホームの特徴〉  ・ポリエステル95%、綿5%  ・背中の中央部分(肩甲骨下部あたり)がめくれる通気構造で、その内側はメッシュ素材  ・帽子はヘルメット 〈測定日と環境〉 ・被検者:50代女性、キャディ歴14年 ・記録時間:9時24分(スタート)~15時30分(ホールアウト) ・環境(ゴルフ場での実測):気温:29・6度~41・8度、湿度:38・7%~67・2%、WBGT:27・7~33・9、風速:0・10~3・49

    キャディ業務前後の生理的応答

    鼓膜温(深部体温)についてラウンド後に約3度の上昇が見られた(表1)。気温や湿度が高い場合、身体から熱を逃がし難くなる。さらに、キャディの場合、運動量が多いため大量の熱も産生される。 熱中症は暑さに晒されることで、脱水や塩分不足、循環の悪化、体温上昇等により生じる。一般的に、体温が異常に上昇する(深部体温40℃以上)と脳機能に障害が起こることが懸念され、高体温が続くと脳だけでなく、肝臓、腎臓、肺、心臓といった全身の臓器に障害が起き得、生命の危険も懸念される。

    サーモグラフィによるキャディ業務前後のユニホーム表面温度

    着衣表面温度をサーモカメラ(FLIR社製)で測定した。スタート前の最高温度は33度程度であったが、ホールアウト後は38・9度まで上昇した(図1)。

    キャディ業務従事中の着衣内(前胸部)の温湿度変化の観察

    サーモレコーダ(エスペミック社製)を着衣内(前胸部)に装着してもらい、15秒おきに温度・湿度のデータを収集した(図2)。赤いグラフが「温度」、黄色いグラフが「湿度」を示す。全体的にみると、ラウンド開始後、午前10時前後の約1時間に着衣内の高温状態(35度程度)が継続し、昼食休憩時に最低値に落ち着いていることがわかる。 この日、このゴルフ場で観測された最高気温は41・8度(11時13分)であった。外気温の上昇とともに、着衣内温度も最高温になっていたことがわかる。

    キャディ業務従事中の帽子内(頭頂部)の温湿度変化

     8月の直射日光下に1時間暴露した帽子内温度を測定した研究(北ら,2022)では、最も高温になった素材はナイロン製の42・8度であった。前半9ホール後の帽子内温度を測定した別の先行研究(北ら,2019)でも、最も高温となった黒帽子は43・7度まで上昇したことが報告されているが、今回のキャディに対する検証ではそれらを上回る高温であった(図3)。 この要因として、キャディの帽子は実際にはヘルメットであることが考えられる。午前業務は高温環境下のため特に注意が必要であるし、これを改善するための工夫が急務である。特に、午前~13時頃までのラウンドでは、着衣内・帽子内が最高温度に到達する可能性が高い。

    新時代のアイデア創出と製品化が急務

    本稿で紹介した検証では、被検者のキャディはホールアウト後に深部体温が39・2度まで上昇していた。先行研究では、活動時の皮膚温を低下させると深部体温上昇を抑制できることが報告されており、着衣条件における皮膚温の変動は深部体温や体温調節反応に関係していることが示唆されている。 こうした知見を踏まえて、次号では、新しいキャディユニホームの工夫と製品化提案、暑熱対策のための行動変容アイデアなど、具体的な事例を述べたい。 註:本研究は(公財)日本ユニフォームセンター「ユニフォーム基礎研究助成」により実施された
    この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2022年7月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
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