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  • ゴルフ場の人手不足をどうする?

    小川朗
    山梨県甲府市生まれ。甲府一高→日大芸術卒。82年東スポ入社。「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女のメジャー大会など通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。フリージャー...
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    月刊ゴルフ用品界2018年9月号掲載
    安倍政権が「骨太の方針」を180度転換、単純労働に従事する外国人を受け入れる政策に舵を切った。ゴルフ場の人手不足が、深刻な状況に陥っている今、この決定を一筋の光明とみる向きもある。しかしキャディーやコース管理においても、求められるのは語学力。外国人を取り込むには多くのハードルが存在している。

    ゴルフ場内に保育所設置

    船橋カントリー倶楽部は8月1日から、企業内保育施設「どんぐり保育園」をスタートさせた。生後6か月から就学前までの子供をゴルフ場の敷地内で保育のプロに預けキャディーなどの仕事に専念できる。 定員は12人で、保育料は週5日以上の勤務なら無料。週1~4回勤務は1日500円となる。この他に日用品や教材費が年間6000円かかるが、月換算で500円程度の負担だ。 キャディーの日給は実働6時間半で8000~1万1000円。契約社員、常勤パート、非常勤パートがあり、週一回からの勤務が選択できる。実働時間についても相談に応じてくれるという。
    船橋CCの「どんぐり保育園」(写真・清流舎) 船橋CCの「どんぐり保育園」
    (写真・清流舎)
    船橋CCの場合、昭和37(1962)年開場と歴史もあり、年配のメンバーが多くキャディーつきへのこだわりは強い。 一方で今年の4月から55台の乗用カートを導入した。メンバーの高齢化もあるが、キャディーの体力的負担もこれで大きく軽減された。これも見方によっては職場環境改善の一手とも言える。 小倉義雄社長は、長期的な人材確保を見据えての投資であることを強調する。「キャディーの確保は年々厳しくなっています。ウチは若いキャディーが多いので、その子たちの先々のことを考えて、保育所を導入しました」。 週一回シフトのキャディーもおり、トップシーズンは研修生も駆り出され最大80人体制となる。人員確保は重要なテーマ。保育所の設立は、待機児童問題に出した名回答と言えそうだ。 しかしより深刻なのは、キャディーよりもコース管理スタッフという見方もある。 ゴルフ場の多くがそうしているように、キャディー不足はセルフプレーへの移行で解消できるからだ。その典型例は南栃木ゴルフ倶楽部だろう。

    徹底した人員カット

    月~木は18ホールスループレー。正面玄関でキャディーバッグ以外の荷物を下ろし駐車。乗用カートを車の後ろにつけキャディーバッグを積み替える。これらの作業をゴルファー自身が行いスタートする。米国のパブリックコースなどではごく当たり前のスタイルだが、日本ではまだ少ない。 ロッカー、大浴場は無料開放(タオルは持参)。完全前金制だからプレー終了後は駐車場に直行。バッグを積み込んでクラブハウスに戻り、入浴し、ロッカーにキーを付けたまま帰路につける。 この結果、月~木のハウス内運営はフロント・カート・ロッカー浴室担当の3人でまかなっている。徹底した省力化の原因は、求人が困難であること。「都市部でも求人に苦労している状況下、山奥に向かう人はいないのが現実です。ゴルフ場の先には、猿しか住んでいませんから」と関係者は冗談交じりに話してくれた。 キャディー問題はセルフ化という切り札があるわけだが、一方、コース管理の業種には、それに代わる方法がない。 今回取材したコースで、グリーンキーパーなどコース管理業務の平均年齢は60歳に近かった。21センチュリークラブ 富岡ゴルフコースの石井年晴社長は、苦しい現状をこう語る。 「ハローワークにも求人を出していて、3カ月に1人程度は面接に来ます。でも外の仕事に慣れていない方が多くて、冬の寒さ、夏の暑さは肉体的に辛いと音を上げてしまう。4人のうち1人くらいですかね。続くのは」。 一口にコース管理と言っても、機械の刃を研磨するなどのメンテナンス係、機械に乗って芝を刈る係、その他の作業の係などに分業体制を敷いているコースが多い。アウトとインの2チームに分かれ、総勢10人程度というのが平均的だ。 応募も少なく、定着率も悪い。バブル期のグリーンキーパーは花形商売で、1ホール1人が担当するのが常識だった。今は単純計算でも倍以上の仕事をこなし、1人欠けてもローテーションに支障をきたす事態になっている。 そうなった場合にはすでに引退したOBに連絡し、ピンチヒッターを頼むケースもあるという。「お掃除ロボットのような芝刈り機が出現してくれればいいんですが、そうもいきませんしね」と苦笑交じりにため息をつくしかないのが現実だ。そんな中、安倍政権が6月15日に決めた「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針2018)に、単純労働に従事する外国人労働者を受け入れる政策を盛り込んだ。 外国人労働者は「出入国管理及び難民認定法」により次にあげる5つの形態で国内での仕事に就いている。 【専門的・技術的分野】 大学教授や弁護士、医師、パイロットのほか昨年9月から介護福祉士も。(23.8万人) 【身分に基づき在留する者】 定住者(主に日系人)、日本人の配偶者、永住者と認められた者。(約45.9万人) 【技能実習】技能移転を通じた開発途上国への国際協力が目的(約25.8万人)  【特定活動】EPA(経済連携協定)に基づく外国人看護師・介護福祉士指導者、ワーキングホリデー、外国人建設就労者等(2.6万人) 【資格外活動】(留学生のアルバイト等)本来の在留資格の活動を阻害しない範囲内(1週28時間以内等)で報酬を受ける活動が許可。(約29.7万人) 注目すべきは、3番目にある技能実習制度だ。昨年の12月6日時点で77職種139作業が移行対象職種とされ、ゴルフ場のコース管理業務にリンクする作業がある。耕種(畜産以外)農業の職種の「施設園芸」における建設機械施工なども近いが、ぴったりと当てはまるものではない。 厚生労働省は9月以降、対象職種を79種に広げる方針を固めた。外国人への依存度が高まり、技能実習生の数はこの5年で2倍に。全体では127万8000人。派遣で働く人(約130万人)の数に迫っている。 6月の有効求人倍率は1.62倍と44年ぶりの高水準。売り手市場の傾向により、給与水準の低い地方は人材が集まりにくくなる。こうした声を、政府も無視できない。国際貢献はあくまで建前。人手確保のための一手だろう。 しかし、そのためには外国人の語学研修制度の整備がまず重要になる。特にグリーンキーパーらが使う機械の前部では、鋭利な刃物が高速で回転している。意思の疎通が十分に図られないと安全を確保できない。 資格認定制度の導入も必要となる。現在は特定非営利法人の日本芝草研究機構が3級から1級までの認定制度を実施。日本ゴルフ協会もこれを平成19年8月から公認している。 だがこの制度は座学が中心で、グリーンキーパーのステータスを上げる機能を発揮していないことは現実を見れば明らかだ。 昨年から日本ゴルフ経営者協会(NGK)が、最も問題意識を持って取り組んでいるように見えるが、経済産業省、厚生労働省との折衝など、越えるべきハードルはいくつもある。 すでに現場は、待ったなしの状態にあるのだが。
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