日本版『ザ・ファースト・ティ』が船出

日本版『ザ・ファースト・ティ』が船出
「ほかのジュニア育成と大きく違うのは『9つの徳目』を骨子にしていることです。正直、忍耐、思い遣りなどを、ゴルフを通じて教育する。ゴルフはあくまで手段に過ぎず、目的は人格形成。米国ではこのプログラムを通じ、非行少年が更生した例が多数あります」(渡邊一美理事)――。 世界最大のジュニアゴルフ教育プログラム「ザ・ファースト・ティ(以下TFT)」がいよいよ日本で活動を開始。昨年10月、NPO法人ファーストピース(氏家正道理事長)が米国The First Teeとチャプター契約(日本支部認証)したもので、呼称も「ザ・ファースト・ティ・オブ・ジャパン」へ変更する予定だという。 その国内初のプログラムが4月11日、大相模CC(神奈川県)で行われ、小学生から高校生までの男女6名、ボランティア9名が参加。1プログラム9回を基本に、以下『プレーヤー』、『パー』、『バーディー』、『イーグル』、『エース』の計5ステップで構成される。 当日は、2クラスに分かれて礼儀を骨子としたゴルフ教室を実施。第二部はパッティンググリーンへ移動し、グリーン上でのマナーとスナッグゴルフを用いてレッスンを行った。約2時間のプログラム終了後は、保護者及びボランティア向けのロックアップを開催。今後、ボランティアの組織化を図りながら全国へ普及させる構え。 ヘッドコーチの古屋浩氏は元々、県立厚木北高校の英語教諭でゴルフ部顧問を歴任。教え子には女子プロの斉藤愛璃、吉田弓美子がいる。定年退職後はTFTへ本腰を入れるため、本場米国へ2回足を運んでもいる。コーチトレーニングを受けてレベル1の資格を得ている。 「定年後も3年間は教員として残れたのですが、公務員だからアルバイトは一切禁止。TFTの活動に専念するため、スパっとやめちゃった。ゴルフが好きなんでしょうね(笑)。技術指導はインストラクターが行いますが、TFTはあくまでも教育プログラム。我々はスコアといった結果でなく、プロセスに重点を置いています。なので、指導は教員経験者でないと伝えられない部分もある。理想ですか? TFTを受講したヤングボランティアたちが次の子供たちの面倒を見ること。そういったプログラムも将来的に考えています」 米TFTはこれまでに、世界のゴルフ場や学校など700ヵ所以上で累計1000万人以上の子供の参加実績がある。日本版は果たして? 第二回は5月18日、東名CCでの開催を予定。 次に渡辺一美理事との一問一答を再現しよう。 TFTジャパンの現状と計画について。 「活動は寄付に頼りますが、現状ではスポーツ関連企業1社から1000万円を頂きました。どうにか初年度の事務費とコーチのトレーニング費用は賄えそうです。3年後には国内12コース、参加者1万人を目指したい」 参加料金の設定は? 「料金設定は未定ですが、大相模CC、東名CCの実施をモデルケースとして検証しながら3回目以降、有料化に踏み切りたい」 日本でTFTを定着させるには? 「日本と同様、米国のゴルフ産業も下降気味ですが、TFTが下支えの助けになっている。経済的理由で、続けたくても続けられない人には奨学金制度を設けるなど、その成功を参考にしながら、日本でも根付かせたいと思っています。そのためには活動資金が必至で、米国ではジョンソン&ジョンソンをはじめ大企業が大口スポンサーに名を連ねている。個人の寄付も多く、活動が認知されている。翻って、日本ではほとんど知られていない。まずは、現場でどういったことを行っているか? 撮影したVTRを持参してスポンサー周りを行っていきたい。併せて賛助会員も募っていく。スポンサー、ボランティアにご協力頂ける方を現在募集中です」―-。