5月30日に行われた「日本ゴルフツアー選手権森ビル杯」(宍戸ヒルズCC、茨城県)のプロアマ大会で、片山晋呉が同伴競技者に「不愉快な思い」をさせ、「プレーの続行を断念」した一連の「プロアマ問題」について6月27日、記者会見が開かれた。
会見は都内のホテルで、開始は17時頃という案内だったが、1時間以上前に到着するも既に会場の外には報道陣の列ができている。報道関係者は34社98名と注目の高さを伺わせた。
17時を少し過ぎた当たりに、報道陣のフラッシュを一斉に受けて、出席者が入場。JGTOの青木功会長以下、石川遼副会長兼ジャパンゴルフツアー選手会長、佐々木孝悦常務理事兼事務局長、野村修也理事、片山晋呉の5名。
青木功会長より冒頭挨拶
まずは青木会長が冒頭で頭を下げた。
「2018年5月30日に開催されました日本プロゴルフツアー選手権のプロアマ大会におきまして、参加されたご招待者様が片山晋呉プロの対応に関し不愉快な思いをされ、プレーの続行を断念したという事態が起きました。まずはこの招待者及び本大会に関わった全ての方々に対し、改めてお詫び申し上げます」
約5秒間頭を下げ、続けて日頃から男子プロを支え協力している全ての関係者への謝罪も述べられた。
「会長になり2年半、選手と共に頑張ってきたが、今回のことが起きてしまい残念。片山プロへの処分に対する意見は全て会長である自分が受け止める覚悟」
ツアー改革半ばで起きた今回の失態に苦渋が見て取れた。
青木会長によると、片山への処分はトーナメント規定(15条)に則り行われ、30万円の制裁金と、厳重注意処分を実施。規定上懲戒処分は適用しないとした。
経緯と再発防止策の説明
次に野村理事より、一連の事件に関する経緯と調査結果が時系列で報告された。今回は当事者及び、関係者などへのヒアリングを行う必要があったため、外部の弁護士に依頼して調査を実施したことも報告された。
続いて、佐々木常務理事より再発防止策の説明が行われた。プロアマでの個人練習に関しては同伴アマチュアに承諾を得た場合のみとするなど規定の整備を急ぐと同時に、プロアマ大会におけるホスピタリティの向上に向けた研修会を実施していくとのこと。また従来の制裁規定を見直し、より明確かつ厳罰化していくとした。
原因は片山晋呉プロの「ホスピタリティの欠如」?
今回の経緯は、プロアマ当日片山晋呉が招待客のプレー中に自分の練習を優先し、アマチュアの対応を疎かにしたことで、当該アマの気分を害したというもの。ただ、新たに分かったことは、当該アマが激昂してコースを後にする前に、直接片山に対して苦言を呈しており、その段階で片山も謝罪をしていたということ。また、一部の報道であったような片山による当該アマへの侮辱的な言動はなかったということだ。現に片山自身もこの招待客がコースを後にした際、
「なぜ帰るのか分からなかった。謝罪した段階で解決していると思っていた。同伴者も『どうして帰るんだろう?』という感じだった」
と困惑した思いを語っている。また、プロアマ中に個人的な練習をすることに関しても
「20年以上、プロアマに参加してきているが、今回のこと(練習)は昔から特に変わっておらず、アマチュアから苦言を呈されたこともない」
とも語った。しかし、野村理事によると
「他のプロに比べて片山プロは自分の練習を優先してきた。これまで一緒に回ってきたアマチュアが片山プロに苦言を呈さなかっただけで、当該アマチュアが過剰反応だというわけではない。片山プロが甘えてきたことが原因」
と片山の配慮の足りなさを厳しく追及した。これに対して片山自身も、
「初めてプロアマに出た時から、誰からもプロアマでの対応について指導がなく、そのまま来てしまったこともいけなかった」
石川遼選手会長「プロアマはゴルフにしかない良さ」
次に、石川遼選手会長より謝罪の言葉が述べられた。
「選手会を代表して、今回の件においてご迷惑をかけた方及びご心配をおかけした方にお詫び申し上げます。
プロアマはプロゴルフの良さの一つです。プロとアマチュアが一緒に一日を過ごせる時間があるというのは他のスポーツにはないと思います。今回の件はアマチュアの期待を裏切ることになってしまったと思うので、プロアマが魅力あるものと映るように、選手会を代表して一層頑張っていきたいです」
片山晋呉プロ「これからのゴルフ人生の糧にしていきたい」
最後に片山本人より謝罪が行われた。プレーをやめたアマチュアに対して、またゴルフを支えている関係者やファンに対しての謝罪を直立しながら述べた後、
「青木会長より、これからもゴルフトーナメント、プロアマをより良いものにするために一緒にやっていこうと言われました。今回のことを反省し、自分自身がやらなければいけないことを見極め、これからのゴルフ人生の糧にしていきたい」
質疑応答
最後に報道陣からの質疑応答が行われ、本誌は以下の質問を行った。
ゴルフトーナメントはスポンサー依存体質が強い。調査結果が明らかになる前に謝罪文を出したのは、森ビルへの過剰な配慮があったのでは?
青木功会長「(しばらく悩み)そのことにははっきり答えられないが、今回の件を教訓にして皆と協力しながら、会長として出来る限りのことをやっていきたい。全ての責任は自分がとっていく。それだけです。」
質問の意図は、ゴルフの「スポンサー依存体質」が今後の男子ツアーの発展を考える上で、どう影響していくのかを聞きたいということです。スポーツ興行は入場料と放映権料の収入を見込むための努力が必要、という見方もある。
佐々木常務理事「日本独特のツアーの形態があるので、スポンサーに依存ではなく、スポンサーの考えを尊重しながら共存していきたいと考えています。
「共存」に対するディテールが欲しい。具体的なアイデアはあるのか?
青木功会長「皆さんが納得できるよう頑張ります」
石川遼選手会長の公式謝罪は「個人的な判断です」
(石川選手会長へ)選手会長とJGTOの副会長を兼ねる立場は、労働組合の委員長と会社の副社長を兼ねるようで大変だが、万一、片山プロに重い処罰が下されていた場合、選手会とJGTOの間に不穏な空気、選手が離反する流れになる心配はなかったか?
石川遼選手会長「もし罰則が重かった場合、プロアマというものが選手にとって『恐怖』のような形になってしまう可能性があるのではないかと心配でした」
6月7日に石川選手会長から出された謝罪文は選手会の理事会を通したのか?
石川遼選手会長「(一瞬の間の後、登壇者の間で言葉が交わされ・・)リリースを流す前日に臨時で選手会が開かれ通しました」
臨時理事会の具体的な参加人数や規模は?
石川遼選手会長「都内某所にて、選手会から5~6名いました」
具体的にどのような話し合いが持たれたのか?
石川遼選手会長「JGTOの理事から、調査委員会を設置する旨のリリースをしたということが報告されたというだけなので、選手会長名としての謝罪文を出したのは個人的に判断しました」
「石川遼個人」として出した謝罪文が「選手会の総意」と受け取られたことに対して選手会から不満が出るのでは?
石川遼選手会長「そうですね。僕も時間をかけずに出してしまったことは反省しています。」
謝罪文のリリースを急いだのは、片山プロの行為に対する無念さ、怒りゆえのことか?
石川遼選手会長「調査結果が出る前ではあったのですが、事実としてお客様が不快な思いをしてプレーを続行できなかったという状況が普通ではないと捉えましたので、自分の名前で出させていただきました。このことに関しては次回のトーナメントの前に選手会でしっかりと説明したいと思っています」
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