朝日ゴルフ用品が「神戸ゴルフ総合研究所」を設立。その役割とは
「ゴルフというスポーツを総合的に研究して、スピード感を高めていく。また、当社は1990年初頭にロジスティックセンターを設立(神戸市須磨区)して、本社機能も集約しましたが、場所柄、人材確保や情報発信に弱かった。研究所が位置する三ノ宮は神戸の玄関口だから、優秀な人材も確保しやすくなるでしょう」(内本浩史社長、画像左)
今年、創業60周年を迎える朝日ゴルフ用品は先頃、旧居留地に神戸ゴルフ総合研究所を開設した。
この地は1899年に返還された外国人自治区で、異国情緒溢れる街並みが特徴。同研究所は、日本のゴルフ発祥といわれる神戸ゴルフ倶楽部を作ったアーサー・グルームの旧事務所(グラバー商会)から南へ100mほどだから、ゴルフ界の未来を思索するには格好の地といえる。
同社はゴルフ問屋として創業したが、現在は「健康・健全創造企業」を旗印に新たな方向性を構築中。その活動拠点が研究所であり、初代所長の橋本貴紀課長(マーケティング担当、画像右)は、
「ここはゴルフクラブを研究する施設ではありません。社内のプロダクトマーケティングとGPS研究部門の計9名が異動して、主にゴルフに関する情報収集と発信機能を担います」
いわゆるモノからコトへの転進である。
自社製品の約5割を占めるGPS距離計
このような進路を決定づけた代表作が、GPS距離計の『イーグルビジョン』。ゴルファーの様々な履歴をインプットできる利便性がウケ、自社製品の約5割を占めるヒット商品に成長している。
昨年11月、取引業者を集めたコンペ『イーグルビジョンカップ』(兵庫県、花屋敷GCよかわC)ではカートナビ『EZ CART』を披露したが、最新の『イーグルビジョン』はスマホアプリの「リーダーズボード」で各チームのスコアと順位をリアルタイム表示でき、チーム全員の「総合飛距離」を競うドラコン大会もできるなど、製品を通じて新たなゴルフの楽しみ方を訴求している。
また、時代性に合わせたゴルフ文化の創造を企業ミッションに掲げる同社は今春、社名から「用品」を取ってコト消費を鮮明にする方針を明らかにしている。
「日本のゴルフ発祥地で未来を創造する」―。
今年還暦を迎える老舗企業は、ゴルフ雑誌の『バズゴルフ』を発行するなど総合化を模索してきたが、軸は「用品」を通じた新たなゴルフ文化の創出である。
「ゴルフ用品」の概念を独自の目線で変えることが、研究所の役割といえるかもしれない。